【岡山大学】クリーンエネルギーで注目!可視光応答型光触媒の長年の謎を解明-高活性と長寿命を両立する原理を発見-

国立大学法人岡山大学

2026(令和8)年 6月 19日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

<発表のポイント>

  • 光触媒で生じるプラスの電荷(正孔)が、材料によって深いトラップ状態に捕捉される場合と、浅い状態にとどまる場合があることを、世界で初めて Type A/B/C の3つに分類し、統一的に説明しました。

  • 可視光で働く光触媒では、構成元素の電子的性質により正孔が深いトラップ状態に落ちにくく、結晶欠陥があっても活性が維持される「欠陥耐性」が生まれることを明らかにしました。

  • この成果は、太陽光の大部分を占める可視光を利用し、かつ、クリーンエネルギー分野で注目される光触媒の高活性化と長寿命化を実現する明確な材料設計指針を与えます。

◆概 要

 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の高等先鋭研究院を構成する岡山大学異分野基礎科学研究所の山方啓教授、信州大学のJunie Jhon M. Vequizo特任助教、堂免一成特別栄誉教授らの研究グループは、可視光で動作する光触媒において長年謎であった「正孔(電子の抜けた状態)の振る舞い」を解明しました。


 本研究では、時間分解過渡吸収分光法※5)を用いて光照射により生成した正孔の動態を詳細に解析し、可視光応答型光触媒では、正孔がバンド端※6)近傍にとどまる「浅いトラップ状態」を形成することを明らかにしました。この状態では、正孔の過度な局在と失活が抑えられるため、高い反応性を長時間維持できると考えられます。


 一方、従来の紫外光応答型光触媒では、正孔は格子歪みにより強く局在して深いトラップ状態を形成することが性能低下の一因であると考えられてきました。


 今回の研究により、可視光応答型光触媒で長年未解明であった「トラップ正孔がバンド端近傍に鋭い吸収ピークを示す」現象は、アニオンの高い分極性や軌道混成によって格子緩和が抑制されることで生じることを初めて明らかにしました。


 さらに、このような電子状態は、欠陥が存在しても深いトラップを形成しにくい「欠陥耐性」をもたらし、高い触媒活性の維持につながることも示されました。


 本研究成果は、光触媒の性能を支配する光励起キャリア挙動の理解を大きく前進させ、高効率かつ長寿命な光触媒材料設計の新たな設計指針となるものです。


 本成果は、米国化学会誌『Journal of the American Chemical Society』に2026年3月26日付け(現地時間)でオンライン掲載され、同誌2026年4月22日号のカバーアートにも採用されました。

図. 正孔トラップの統一的メカニズム。
紫外光応答型酸化物(A)では、正孔が強く局在して大きな格子歪みを生じ、深いトラップ状態を形成する。その結果、幅広い吸収帯が観測される。
一方、可視光応答型酸窒化物(B)および可視光応答型複合酸化物(C)では、アニオン分極性や軌道混成により格子歪みが抑制され、正孔はバンド端近傍の浅いトラップ状態にとどまる。このため、鋭い吸収ピークが現れる。

◆山方啓教授からのひとこと

 2012年に可視光応答型光触媒のトラップ正孔がバンド端に吸収を与えることを発見して以来、その理由をずっと考えてきました。
 今回、これまでに測定してきた数多くの材料のデータを比較する中で、トラップ正孔の吸収が3つのパターンに分類できることを見いだし、その起源を統一的に説明できました。さらに、この知見から、可視光応答型光触媒には、欠陥があっても性能が落ちにくい「欠陥耐性」が本質的に備わっていることも分かりました。
 この発見は、光触媒材料の設計指針を大きく前進させる可能性があります。1日も早い光触媒による水素製造の実用化を期待しています。

◆論文情報
 論 文 名:Shallow Hole Trapping and Intrinsic Defect Tolerance in Visible-Light Photocatalysts
 掲 載 誌:Journal of the American Chemical Society
 著  者:Akira Yamakata, Junie Jhon Vequizo, Kazunari Domen
 D O I:https://doi.org/10.1021/jacs.6c00026
 U R L:https://doi.org/10.1021/jacs.6c00026

◆研究資金
 本研究は、岡山大学と信州大学の連携によるクロスアポイントメント体制のもと、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(岡山大学:JPJS00420230010、信州大学:JPJS00420230007)の支援を受けて実施されました。さらに、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(24H00485、24K21809、25H01674)および日本板硝子材料工学助成会の支援を受けています。

◆詳しい研究内容について
 クリーンエネルギーで注目!可視光応答型光触媒の長年の謎を解明-高活性と長寿命を両立する原理を発見-

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260427-1.pdf

◆参 考

・国立大学法人岡山大学研究大学宣言

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003808.000072793.html

・岡山大学 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)

 https://j-peaks.orsd.okayama-u.ac.jp/

・岡山大学異分野基礎科学研究所

 https://www.riis.okayama-u.ac.jp/

・岡山大学異分野基礎科学研究所 表面物理化学研究室
 https://okadaichem.jp/surface/

・信州大学アクア・リジェネレーション機構

 https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/arg/

・信州大学アクア・リジェネレーション機構 堂免・久富研究室

 https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/rism/domen-hisatomi-lab/

岡山大学異分野基礎科学研究所が所在する岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)

◆本件お問い合わせ先
<研究に関する件について>
 岡山大学異分野基礎科学研究所 教授 山方 啓(やまかた あきら)
 TEL:086-251-7832

 信州大学アクア・リジェネレーション機構 特別栄誉教授 堂免一成(どうめん かずなり)
 TEL:026-269-5225

<報道に関するお問い合わせ>
 国立大学法人岡山大学 総務部 広報課

 TEL:086-235-7292

 国立大学法人信州大学 総務部 総務課 広報室
 TEL:0263-37-2193

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究機器の共用の体制・整備等の強化促進に関するタスクフォース(略称:チーム共用)
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8705
 FAX:086-251-7114
 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

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会社概要

国立大学法人岡山大学

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URL
https://www.okayama-u.ac.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
電話番号
086-252-1111
代表者名
那須保友
上場
未上場
資本金
-
設立
1949年05月