【岡山大学】地球深部の主要鉱物は“ほぼ乾燥”していた~深部の水の行き先が判明~

国立大学法人岡山大学

岡山大学と愛媛大学、広島大学、帝京科学大学、京都大学、高輝度光科学研究センターの共同研究成果プレスリリースです

2026(令和8)年 9月 3日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

<発表のポイント>

  • 地球深部の主要鉱物の一つデイブマオアイトが、従来想定よりはるかに少量しか水を取り込まないことを、超高精度高温高圧実験により明らかにしました。

  • これまで「下部マントルの水を担う可能性がある」と考えられてきたデイブマオアイトは、実際にはほぼ乾いた状態で存在することが判明しました。

  • この発見は、深部水が主に沈み込んだ地殻物質に集中するという新しい描像を提示しました。

◆概 要

 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の高等先鋭研究院のひとつである惑星物質研究所の石井貴之准教授、広島大学の高市合流特任助教、愛媛大学、帝京科学大学、京都大学、高輝度光科学研究センター、中国北京高圧研究センターの国際共同研究グループは、大型放射光施設SPring-8において、川井型マルチアンビル高圧発生装置と放射光X線を組み合わせ、地球下部マントルの主要鉱物であるデイブマオアイトの含水下の体積を、下部マントル最上部条件までの高温高圧下で精密測定しました。

 この成果は2026年7月24日、英国の地球科学誌「Communications Earth & Environment」に掲載されました。

 デイブマオアイトの水含有量は、実験的に決定することが難しいため、地球深部の水循環モデルを構築するうえで大きな障壁となっていました。本実験結果から、乾燥・含水条件で合成したデイブマオアイトの体積はほぼ同じで、水溶解度は従来の推定の1/10以下(0.08 wt%以下)であることが明らかとなりました。主要下部マントル鉱物が水を保持しないことから、深部の水は沈み込む地殻物質に集中するという新しい水循環モデルを提案しました。本成果は地球内部の物質循環と進化の理解を大きく前進させるものです。

 本情報は、2026年8月31日に岡山大学から公開されました。

図.沈み込むプレート内の水の分布。沈み込むプレート内部では、深さによって水の保持能力が大きく変化します。マントル遷移層までの深さでは、ウォズレアイトやリングウッダイトが数wt%の水を保持できるため、プレート内部の水は主にこれらの鉱物を含む領域に蓄えられます。一方、プレート表層の地殻物質層では、シリカ鉱物が一部の水を取り込むことが知られています。下部マントルに入ると、ブリッジマナイト、フェロペリクレース、デイブマオアイトなどの主要下部マントル鉱物は水をほとんど保持できません。そのため、プレート内部の水はペリドタイト中にはとどまらず、より水を保持できるシリカ鉱物を含む地殻物質層へ再分配されます。シリカ鉱物は下部マントル条件で高圧相へと相転移し、さらに多くの水を保持できるようになるため、深部へ進むにつれて水は地殻物質層に集中していきます。このように、下部マントルでは水の輸送と保持が近く物質層によって制御され、深部の水は主にシリカ高圧鉱物を含む沈み込む地殻物質に蓄えられると考えられます。

◆石井貴之准教授からのひとこと

 今回の成果は、日本が世界をリードしてきた放射光×マルチアンビルプレス技術を、国内研究グループが最大限に融合させたことで実現しました。マルチアンビル実験は、「地球深部をそのまま実験室に再現できる」強力な手法として進化を続けています。この知と技を次世代へ継承し、学生や若手研究者が「自分もマルチアンビルで地球の謎に挑みたい」と心から思える環境を広げていきたいと考えています。興味を持たれた方は、ぜひ一緒に研究しましょう!

◆論文情報
 論 文 名:Limited water incorporation in davemaoite under lower-mantle conditions
 掲 載 誌:Communications Earth & Environment
 著  者:Takayuki Ishii, Goru Takaichi, Yu Nishihara, Kyoko N. Matsukage, Shoichi Itoh, Yanhao Lin, Tetsuo Irifune, Daijo Ikuta, Bin Zhao, Dilan H. F. Diyalanthonige, Noriyoshi Tsujino, Sho Kakizawa, Yuji Higo
 D O I:10.1038/s43247-026-03856-7
 U R L:https://www.nature.com/articles/s43247-026-03856-7

◆詳しい研究内容について
 地球深部の主要鉱物は“ほぼ乾燥”していた~深部の水の行き先が判明~

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260831-1.pdf

◆参 考

・岡山大学惑星物質研究所

 https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/

・国立大学法人岡山大学研究大学宣言

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003808.000072793.html

・岡山大学 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)

 https://j-peaks.orsd.okayama-u.ac.jp/

◆参考情報1

・【岡山大学】プレート内の“見えない水の流れ”が深発地震とプレート大変形を制御していることを発見

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004164.000072793.html

・地球内部660kmの境界形成はガーネットが支配していた〔岡山大学, 学習院大学〕

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004084.000072793.html

・地球の奥深くに沈み込んだ海底の岩石を発見-実験・理論計算・地震観測を組み合わせ、プレートが核付近まで到達したことが明らかに-〔明治大学, 高輝度光科学研究センター, 東京大学, 岡山大学〕

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004074.000072793.html

・【岡山大学】初期地球内部の環境が酸素濃度によって制御されていたことが明らかに -地球の進化過程の解明へ-

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002378.000072793.html

・【岡山大学】独自開発の高温高圧実験技術により、マントル中部の特異な対流現象を解明 ~原因はマントルに含まれる鉱物の相転移だった!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001572.000072793.html

◆参考情報2

・【岡山大学】岡山大学高等先鋭研究院 惑星物質研究所の石井貴之准教授が「日本鉱物科学会研究奨励賞」を受賞

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002517.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学異分野基礎科学研究所の菅倫寛教授、中島芳樹助教、岡山大学惑星物質研究所の石井貴之准教授が令和8年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰」を受賞!

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004027.000072793.html

岡山大学惑星物質研究所(鳥取県三朝町)

 ◆本件お問い合わせ先

 岡山大学惑星物質研究所 准教授 石井貴之
 〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827
 TEL:0858-43-3754
 FAX:0858-43-2184

 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1600.html

 広島大学大学院先進理工系科学研究科 特任助教 高市合流
 TEL:082-424-5271

 FAX:082-424-0735

 愛媛大学 先端研究院地球深部ダイナミクス研究センター 教授 西原 遊
 TEL:089-927-8150

 FAX:089-927-8405

 帝京科学大学 生命環境学部 自然環境学科 教授 松影香子
 TEL:03-6910-1010

 FAX:03-6910-3800

 京都大学大学院理学研究科 地球惑星科学専攻 准教授 伊藤正一
 TEL:075-753-4152

 FAX:075-753-4189

 高輝度光科学研究センター 回折・散乱推進室 試料環境開発チーム 研究員 辻野典秀
 TEL:050-3496-8988

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 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

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 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

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会社概要

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
電話番号
086-252-1111
代表者名
那須保友
上場
未上場
資本金
-
設立
1949年05月