日本茶を、世界一クールな産業へ
アメフト日本代表選手から一次産業の未来を創る若き挑戦者
アメフト日本代表から、日本茶の未来をつくる若き起業家

京都府南部・和束町。千年続く茶文化を背景に、美しい茶畑が広がるこの地から、日本茶産業の未来を変えようと挑む若者がいる。WMATCHA & CO. 合同会社の創業者、竹谷俊哉(たけたに・としや)だ。
高校時代、立命館宇治高校のアメリカンフットボール部で頭角を現し、後に日本代表選手として選出。アメリカのフィールドで試合を経験し、異国で日の丸を背負う緊張と誇りを胸に刻んだ。「150人近い組織の中で、個人としてどうあるか、どう働きかけるかを、16歳から常に考え続けてきた。これは今も、日本の茶業関係者という巨大なパイの中で何ができるか考え、全体の中での自分の役割を問い続けることにつながっている」と語る。その戦略思考と仲間への信頼が、後の起業へとつながっていく。

京都府和束町の元茶農家の家系に生まれ、19歳でアメリカンフットボール日本代表選手に選出される。その後、サンフランシスコ州立大学でInternational Business学科を修了。在学中にVRスタートアップ Thirdverse, Inc. のプロダクトローンチに携わりながら、シリコンバレーでのネットワーキングを通して起業家精神を学ぶ。ニューヨークと東京でコンサルと投資の実務経験を積んだ後、日本茶の衰退という課題に向き合うため、京都発の農業スタートアップ WMATCHA & CO. を創業した。
■ “茶源郷” 和束町を未来へつなぐ使命
竹谷は和束町で300年以上続く家系に生まれた。しかし、曽祖父の事故、祖父の急逝、そして高度経済成長期の産業構造の変化により、代々続いてきた茶業は一度途絶えた。
大学で国際ビジネスを学び、シリコンバレーで働いた経験を通して、「日本人であることの誇り」と「茶の文化的価値」を再認識する。帰国後は茶業の知識ゼロから和束の生産者に教えを乞い、失われかけていた家業の技術を学び直した。
「ご先祖様が守ってきた茶園を、次の世代につなぐことは使命だと思いました。」
若い世代の一次産業参入を促進し、次世代育成にも取り組んでいる。
■ “人を救う仕事がしたい”——一次産業への挑戦
コンサルティングや投資の現場でキャリアを積む中で、竹谷は「より本質的に人の生活や価値観に影響を与える仕事」に向き合いたいと考えるようになった。日本茶産業の現場に入り、生産者と向き合う中で、後継者不足や低所得、非効率な流通構造といった課題を実感する。
「金融やビジネスの知見を、もっと直接的に人を豊かにする領域で活かしたい」
その思いから、日本茶産業を「稼げるクリエイティブ職」として再定義し、若い世代が誇りを持って参入できる産業へ変えていくことを使命に掲げた。
総じて、「日本茶生産者が世界一クールな職業だと証明する」ことを掲げ、クリエイティブの力で一次産業の所得向上を目指している。

■ 提供するのは “生産ストーリーと品質の透明性”
竹谷が立ち上げた WMATCHA & CO. は、京都・宇治産の粉末緑茶を中心に海外輸出と自社ブランド商品を展開。創業半年で14カ国以上への輸出を実現し、カンヌ国際映画祭での抹茶提供や、ニューヨークでのコラボイベント、東京・GINZA SIX内施設での提供など、国内外で活動を広げてきた。
現地バイヤーとの直接対話を通じて見えてきたのは、抹茶ブームの裏にある構造的課題だった。海外バイヤーは生産背景やストーリーを理解した上で直接購入したい一方、中小規模生産者は言語や輸出手続きの壁に直面している。また、加工場不足により小ロット生産が後回しにされるという課題も浮き彫りになった。
■ 革新的なダイレクトトレードで生産者を支える
これらの課題を踏まえ、竹谷は中小規模生産者と海外バイヤーを直接つなぐ「ダイレクトトレード型プラットフォーム」を構築。さらに加工場整備も視野に入れ、生産者とバイヤー双方にとって透明性の高い取引環境の実現を目指している。
ダイレクトトレードにより、生産者は適正価格で販売でき、バイヤーは中間コストを削減できる。加えて、生産現場の可視化やストーリー発信により、単なる商品ではなく「文化」として日本茶を届ける仕組みを構築している。
ダイレクトトレード日本茶プラットフォーム「WTEA」
このモデルにより、生産者の所得は最大3倍に向上する可能性があると見込まれている。


■ 今後の展開——和束町に、日本茶文化の拠点を
竹谷が次に描くのは、「文化の入口」となる場所づくりだ。和束町に、世界基準の日本茶カルチャーを発信するカフェを開く構想を進めている。
霧が立ちのぼる茶畑、季節ごとに変化する風景。その中で、生産者のストーリーとともに日本茶を体験できる場を提供する。観光客や海外バイヤーが訪れ、日本茶の本質に触れる拠点となることを目指す。
単なる飲食店ではなく、日本茶を愛する人々がつながるコミュニティとして、日本茶産業の未来を形づくる場を構想している。
■ 日本茶を、世界で最もクールなブランドへ
竹谷はこう語る。
「日本茶は、ただの飲み物ではありません。1000年かけて育まれた日本の精神文化の中心にある存在です。その価値を、正しく、誇りを持って世界に届けたい。」
アメフト日本代表として世界で戦った経験を持つ竹谷は、今、新たなフィールドである「日本茶の未来」に挑んでいる。伝統を次世代へつなぎ、日本茶を世界で最もクールな産業へと進化させるために。

WMATCHA & CO. の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
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