【花粉症対策に関する調査】花粉症の人のうち、4人に1人が食習慣の対策も意識。医師に訊く・アレルギー症状対策のために摂るべきものは?
専門知見に基づき、包括的な医療を提供する立川パークスクリニック(所在地:東京都立川市、院長:久住 英二)は、2026年1月、全国の20代以上の花粉症の男女500名を対象に花粉症対策に関する調査を実施しました。

その結果、トップ5は「マスクを着用する」(329人/500人中(以下、同))、「鼻をかむ」(176人)、「帰宅後すぐにうがい・手洗いをする」(174人)、「花粉飛散量の多い日の外出を控える」(138人)、「薬を服用している」(135人)でした。
「マスクを着用する」「花粉飛散量が多い日の外出を控える」といった花粉を物理的に避ける対策を取っている人は全体の約89%(443人)を占め、「薬を服用している」などの医療的な対策をしている人は約38%(191人)でした。また、4人に1人(124人)が、特定の食品や栄養素を意識的に摂るなど、食事での対策を意識していることがわかりました。
花粉症は、免疫が花粉に過剰反応するアレルギー反応の一種。日常の栄養摂取や生活習慣を通じて免疫のバランスを穏やかに整えることが、症状の緩和につながります。近年は、腸内環境が病気との密接な関係を持っていることが明らかになっており、腸内細菌の種類やバランスがアレルギー反応に関与しています。腸内環境や生活全体から整える花粉対策について解説します。

【プロフィール】 久住英二(くすみ・えいじ)
立川パークスクリニック院長・内科医。感染症や免疫を扱う血液専門医であり、血液病、感染症、ワクチン、免疫に詳しい。正確な医療情報の発信を行い、テレビ、新聞、Webメディアなどで幅広く活躍。クリニックは内科、小児科、皮ふ科それぞれ専門の医師による診療と、立川髙島屋SCに立地という通いやすさを重視した医療体制が特長。身近な不調から専門的な治療、予防接種まで、包括的な医療を提供している。
花粉症は「免疫の過剰反応」。食事で整えるうえで意識すべきは腸内環境
消化管は口から食道、胃、小腸、大腸を経て肛門まで続く一本の管状構造で、両端が外界とつながっています。つまり消化管は体の中にありながら、その内面は外界と接しているのです。食物は栄養源であると同時に、ウイルスや細菌、真菌などの病原体が付着していて体に害を為すことがあります。病原体から体を守るため、消化管の表面は粘液で覆われ、さらに多様な免疫組織や細胞が存在し、粘膜表面には抗体が配置されています。この防御システムは「腸管免疫」と呼ばれ、体を守る最前線の一つとなっています。
小腸にはパイエル板と呼ばれる免疫組織が存在し、T細胞やB細胞、NK細胞などが集まり、侵入してきた病原体に対応しています。大腸には膨大な数の腸内細菌が共存する腸内細菌叢(フローラ)が形成されており、病原体の増殖を抑えるほか、消化を助け、体に必要な栄養素の合成にも関わっています。この腸内細菌叢は免疫機能とも深く結びついており、バランスが保たれていると免疫は適切に働きますが、乱れが生じると花粉症の症状など、体にとって好ましくない反応が生じやすくなります。そのため、腸内環境を良好に保つことは、健康を維持するうえでとても重要なのです。
●発酵食品は積極的に摂りたい ― 【酢酸菌(さくさんきん)】もお奨め
腸内環境を整える食生活の工夫の筆頭が、発酵食品の活用です。プロバイオティクスとして知られているのは乳酸菌ですが、酢酸菌の有用性が近年解明されつつあります。ろ過する前の“にごり”を残した『にごり酢』や、お茶と糖を混ぜて発酵させて作る飲料『コンブチャ』などの発酵飲料に豊富に含まれます。酢酸菌が免疫細胞を刺激することで、アレルギー体質に傾いた免疫バランスを調整する可能性が示されてきています。市販の透明なお酢は、短鎖脂肪酸の一つとして、もちろん健康に良いものです。一方、にごり酢では、にごりの部分に、ふんだんに酢酸菌が含まれます。
酢酸菌を「腸内環境を整えるための食生活上の選択肢の一つ」として、毎日無理なく取り入れることが健康管理に役立つ可能性があります。サラダや調理に使うお酢をにごり酢に変えるだけならば、手間なく習慣化できます。全国各地の酒蔵で、玄米由来のものや柿やりんごを使ったものなど、個性豊かなにごり酢が造られているので、原材料や製法により違う香りや味わいを楽しんで使い分けるのも楽しいでしょう。健康を意識して赤酢やにごり酢を取り入れる飲食店も登場しています。
●腸の掃除と修復をする短鎖脂肪酸の材料、【食物繊維】
海藻類や野菜に多く含まれる食物繊維は、人の消化酵素では分解されにくく、小腸で吸収されずに大腸まで届きます。ここで食物繊維は、腸内に存在する善玉菌の栄養源として利用=発酵が起こります。この発酵の過程で酢酸や酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸が生み出されます。短鎖脂肪酸は単なるエネルギー源ではなく、強力な免疫調節因子として機能します。とくに酢酸には様々な効果のあることが解明されつつあります。
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「IgA抗体」の産生促進 酢酸は、腸管に存在する樹状細胞や上皮細胞の受容体に作用し、B細胞がIgA産生細胞へと分化するのを促進します。IgAは花粉や食物抗原などの「異物」が粘膜を通り抜けて体内に侵入するのを防ぐ最前線の防御壁です。IgAが適切に分泌されることで、過剰なIgE抗体の反応(アレルギー反応)を未然に防ぐ「免疫排除」がスムーズに行われます。
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腸管バリア機能の維持 酢酸は、腸管上皮細胞同士の接着装置であるタイトジャンクションの発現を維持する役割を担っています。このバリアが弱まると、未消化のタンパク質や細菌毒素(LPS)が血中に漏れ出し、全身性の慢性炎症を引き起こします。これがアレルギー体質を悪化させる要因となります。また、酢酸は腸内環境を酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を抑え、アレルギー悪化因子である腐敗産物の生成を抑制します。
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「母子間の免疫移行」への関与 近年の研究では、妊娠中の母親の腸内環境と子供のアレルギー発症リスクに強い相関が見つかっており、特に酢酸が注目されています。妊娠中に高食物繊維食を摂取し、腸内での酢酸産生が高まると、胎児の胸腺におけるTreg(制御性T細胞)の分化に関わる遺伝子にエピジェネティックな変化が起こることが示唆されています。これにより、生まれてきた子供が将来、喘息やアレルギー性疾患を発症するリスクを低下させることが動物モデルや疫学調査で報告されています。
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「腸―肺相関(Gut-Lung Axis)」 腸内で作られた短鎖脂肪酸が血流に乗って肺に到達し、肺の免疫細胞をマイルドに保つことで、喘息の炎症を抑えることが動物モデルなどで確認されています。また、乳幼児期の腸内細菌叢における短鎖脂肪酸の濃度が、将来の食物アレルギー発症リスクと相関するというデータもあります。
前述のにごり酢などに含まれる酢酸菌は、この酢酸を産生する菌の一種でもあり、食物繊維と組み合わせて取り入れることで、腸内環境をより支える一助になると考えられています。
●免疫バランスを整える、魚介類に含まれるアミノ酸 【タウリン】
また、魚介類に多く含まれるアミノ酸の一種【タウリン】の摂取も、花粉症シーズンの体調管理に役立ちます。タウリンは免疫細胞の働きを支えるほか、自律神経のバランスを整え、炎症反応を穏やかにする働きが報告されています。アレルギー症状は炎症反応の一種であるため、日常的に魚介類を取り入れる食習慣は、花粉症症状の緩和を含めた体調全体の底上げにつながると考えられます。
発酵食品と魚介類をあわせた魚の西京焼きや鍋に塩麹を入れるなどのひと工夫もおすすめです。タウリンは水溶性なので、お鍋はお出汁に溶けだした栄養素も摂取できて非常に合理的です。
睡眠と栄養バランスも重要な土台
栄養に限らず、十分な睡眠と生活リズムの安定は重要です。睡眠不足や生活リズムの乱れは疲労を蓄積させ、自律神経のバランスを崩し、免疫反応が過敏になりやすい状態を招きます。就寝・起床時間をなるべく一定に保ち、体をしっかり休ませることが、体調の悪化を防ぐ基本です。
“花粉除去系”おすすめ習慣は鼻うがい
セルフケアとしての鼻腔ケアも有効です。生理食塩水を用いた鼻うがいは鼻腔内に付着した花粉を物理的に洗い流し、粘膜への刺激を減らす方法であり、市販の鼻洗浄器具や専用洗浄液を用いることで安全に行え、薬物療法と併用することで症状のコントロールがしやすくなる場合もあります。子供では、生理食塩水スプレーを鼻にスプレーすることで、夜間の鼻づまりによる息苦しさが大幅に解消されることが最新の研究で明らかになりました。
医療による対処
花粉症治療の基本となるのは薬物療法で、抗ヒスタミン薬や点鼻用ステロイド薬はアレルギー反応による炎症を抑え、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状を緩和します。即効性がある一方で眠気などの副作用や生活への影響もあるため、医師と相談しながら自分に合った薬を選ぶことが大切です。
近年は、舌下免疫療法に代表される免疫療法も、アレルゲンを少量ずつ取り入れて免疫が過剰に反応しにくい体質へと導く治療法として注目されています。スギ花粉のオフシーズンに治療を開始するのが一般的で、5月頃に内科や小児科、アレルギー科などを受診されると相談にのってもらえます。
鼻がつまって夜中に目が覚める、午後に眠くなりやすい、という方は、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)かも知れません。いまは自宅での簡単な検査で診断できます。太っている人の病気と誤解されていますが、骨格的に気道の狭い日本人では、肥満のない無呼吸症の人が大勢います。なんと、睡眠評価アプリで「異常なし」でも無呼吸症の場合があるのです。
花粉症シーズンには、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症と見分けて感染拡大を防ぐことも重要。花粉症は透明でさらっとした鼻水やくしゃみ、目のかゆみが中心となる一方、感染症では目の症状はなく、数日で鼻水が黄色や緑色に変化し、発熱や喉の痛み、全身のだるさを伴います。
症状が強いときは医療の力を借りつつ、普段から睡眠や食事、腸内環境を整えることで、花粉シーズンを乗り切りましょう!
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