約2人に1人が「カスハラ」被害、コロナ禍の直近2年でカスハラ増加の実感57.1%■交通・運輸・観光産業の深刻な「カスハラ」2万人実態調査
鉄道・バス・タクシー・トラック・船舶・港湾・航空・観光など全国60万人の労働者が加盟する「交運労協」調べ
消費者によるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題として認識され、2020年6月施行「改正労働施策総合推進法」指針で、初めて国として「顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組」が示された一方、本調査結果から、交通・運輸・観光産業を支える現場の「キーワーカ―」に対する理不尽なハラスメント実態が浮き彫りになりました。
~~悪質クレーム(迷惑行為)アンケート概要~~
・調査対象:交通運輸・観光サービス業に従事している全国20,908名の組合員(17構成組織)
・調査期間:2021年5月20日~8月31日 ・調査手法: 紙面及びアンケートフォーム
・調査の詳細は「悪質クレーム(迷惑行為)アンケート調査報告書」を参照下さい。
https://bit.ly/3EGDnZK
・リリース掲載グラフをまとめた簡易版レポートはこちらからご覧頂けます。
http://www.koun-itf.jp/publics/index/43/
<<調査結果ピックアップ(グラフは文末参照)>>
迷惑行為・悪質クレームなどのカスハラ被害経験あり 46.6%
鉄道、バス、海運港湾などでは被害経験11回以上が10%を超えた
直近2年以内、カスハラは増加していると感じる 57.1%
増加の実感が高かった産業は「航空(69.1%)」「バス(63.8%)」「トラック(56.5%)」「鉄道(54.4%)」
最も印象に残っている利用者からのカスハラ行為1位 「暴言」、2位「同じ内容を繰り替すクレーム」、3位「威嚇・脅迫」
●カスハラの特徴●
「暴力行為」は「鉄道」、「タクシー」で多く、スマホ普及で増加したハラスメント「SNS・ネット上での誹謗中傷」が多いのは「鉄道」、「トラック」、「バス」であった。また、「土下座の強要」は「鉄道」、「バス」、「タクシー」で多く、「金品の要求」が多いのは「タクシー」、「観光業」となった。さらに、「暴言」や「威嚇・脅迫」など対面でのカスハラは幅広い年代から被害を受ける一方、近年のスマートフォンの普及で若い世代や中高年から、クレーム対応中のキーワーカーの動画や写真を撮影して威嚇したり、ネットやSNSでの誹謗、盗撮などを行うといったケースが実感値として増加しており、現場にとって新たなストレスの種となっている。
●カスハラを行う利用者の傾向
男性86.4%、また加害者の7割が40代以上
●カスハラの対応に費やす時間
対応に処理は1日以内が96.5%、うち1時間以上が17.1%
2日以上対応にかかる場合では、「2~3日23.9%」、次いで「半年以上22.1%」となった
●カスハラ被害後の心身の状態
嫌な思いや不快感が続いた 50.0%
「不安な気持ち」、「ハラスメントへの恐怖」、「心療内科受診」、「寝不足」など深刻な影響も
●迷惑行為への対応は、大きく3つに分かれた
毅然と対応 26.4%、謝り続けた 23.7%、上司に引きついた22.4%
一方で、「何もできなかった」、「危険を感じて退避」といった声も多くきかれた
●企業へのカスハラ対策
特に対策はされていない 39.5%
「迷惑行為対策教育21.0%」や「マニュアルの整備19.9%」を抑え、個人の負担の大きさ浮き彫りとなった
●新型コロナウィルス感染症による、差別・偏見・誹謗・中傷などの迷惑行為被害
4230名(20.2%)
消毒スプレーをかけられたトラックドライバー143名、鉄道勤務者70名など現場での差別行為は多く、
家族や本人の病院の受診・検査拒否(本人・家族)や、誹謗中傷といった声も多く寄せられた
●自由回答ピックアップ
・ここ数年、SNSを利用した誹謗・中傷が多く、写真を撮られることもあります。社員である前に、1人の人間として個人の尊厳が守られていないと感じます。(鉄道関係)
・ICカードが使えない時にそのことを威圧的になじられ、バスを蹴飛ばされたことがあります。1人で何名ものお客様を対応しているので、変わったお客様がいるとやはり精神的に疲れます。(バス関係)
・お客様からの盗撮や、呼ばれる際に臀部や腰を触られることが多々あります。CAの同僚との会話の中で、同じ経験をしている者が10名近くいました。会社として対策を講じることもなく、泣き寝入りしている状態です。(航空関係)
~以下より、アンケートのグラフを掲載~
※本リリース掲載の簡易版レポートのグラフや自由回答は、「交運労協調べ」と記載の上、下記リンクよりダウンロードしてご自由にお使い下さい。
https://bit.ly/3yciaEs
全産業をみると、被害経験は「1~5回」が最も多かった。また、「鉄道」・「バス」・「海運・港湾」などでは、被害経験が「11回以上」の割合が10%を超えている。
「航空(69.1%)」「バス(63.8%)」「トラック(56.5%)」「鉄道(54.4%)」で、カスハラの増加を実感する人が5割を超えている。
●自由回答ピックアップ
・悪質クレームについて、どの人にも共通しているのは、大声、長時間、早朝や深夜なども関係なし、正義を振りかざす等が多いです。私達の仕事は、どうしても運行を優先(他のお客様をまき込めない)ため、本当は警察を呼びたいと思っても、あきらめてしまうことが多いと思います。(バス関係)
・どこまでがお客様であるのか、わからない事が多い。すべてこちらが悪いのであればあやまりますが、一方的に悪者にされ、威圧的にされると、お客様である以前に人間であると思ってしまう。私自信でその線引きをすることが難しく、人に頼ってしまうことが多く悩んでしまいます。(トラック関係)
加害者の9割近くが男性。加害者の7割が、40~60代以上。タクシーとトラックは、30代からの被害も比較的多かった。
タクシーを除き、すべての産業で他の利用者もいる場所で暴言や権威態度などカスハラが発生している。
対応の所要時間:1日以内が全体の96.5%を占める。うち、17.1%が対応に「1時間以上」かかり、酷い場合では、対応に5時間以上かかる場合もある。対応に1日以上かかる場合の所要日数:「2~3日」が23.9%、ついで「半年以上かかる」場合が22.1%となった。
●自由回答ピックアップ
・上司や同僚がクレーマー対応で長時間拘束されている事案があり、業務妨害にもなりうるのではないかと思います。暴力だけでなく、暴言や長時間拘束は即警察に通報してもいいような法律ができてほしいと思いました。(観光サービス関係)
●自由回答ピックアップ
・悪質クレーム、従業員に対する人格攻撃等は年々増加傾向にあり、その質も悪い方向へと加速している様に思います。(鉄道関係)
・サービス業なので仕方ないことかもしれませんが、こちらが下手にでなければいけないのはとても不快で、心身が擦り減る思いです。利用者側にももっと厳しい処罰や線引きをきちんと行える施策を導入してほしいです。(航空関係)
4230人が、キーワーカ―であることを理由に、新型コロナ感染症に関する差別や偏見、誹謗中傷などを含む、迷惑行為を受けたことがある。
宅配のトラックの方がスプレーをかけつけられたり、航空会社勤務の方が病院で断られたりしている。
本リリース掲載の簡易版レポートのグラフや自由回答は、「交運労協調べ」と記載の上、下記リンクよりダウンロードしてご自由にお使い下さい。
https://bit.ly/3yciaEs
~交通産業を支える「KeyWorkers」とは~
・特設ページ https://keyworkers.jp
交運労協では、コロナ禍で自粛を要請されている中長距離の移動と二次交通や観光業を中心に、陸・海・空の交通運輸・観光産業の垣根や地域・企業の枠を超えて、くらしを支える移動の現場で働く労働者は「KeyWorker=社会の『鍵』となる『大事な働き手』」であると考えています。
●全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)
http://www.koun-itf.jp/
交運労協は1987年10月8日に東京で結成総会を開催し、2017年10月に結成30周年を迎えました。現在18構成組織、組合員は約60万人です。日本における陸・海・空の交通運輸・観光サービス産業で働く労働者の大産業別組織です。交運労協はナショナルセンターである「連合」とも密接な連携を行っています。また、世界の交通運輸労働者と連帯するためITF(国際運輸労連)に加盟しています。
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