トランプ政権に“便乗”し、日本のエネルギー政策転換を
社会保障経済研究所ディスカッションペーパー/2025年2月27日
社会保障経済研究所(代表:石川和男、略称IIGSSP)は、2025年以降へのAIを含むデジタルイノベーション加速時代においてますます重要性を増すエネルギーの『大量・安価・安定』な供給態勢を構築するため、昨年末にディスカッションペーパーを公表しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000153628.html
今回のディスカッションペーパーでは、トランプ政権発足によって激変する米国のエネルギー政策に“便乗”し、我が国のエネルギー分野の成長発展と、政府が重視する地方創生の推進に寄与し得る実効的な提言を公表いたします。
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現実的・効率的なエネルギー政策によって国家資源を守るべき
1月20日に発足したトランプ政権はバイデン政権のエネルギー政策を大幅に見直す。化石燃料を中心とする国産のエネルギー資源の開発を加速する方針を打ち出し、パリ協定からの脱退も表明している。電気自動車優遇措置の撤廃、排出規制の撤回など関連規制の改廃等が進むことが見込まれる。
米国は2010年代後半以降、サウジアラビア、ロシアを凌ぐ世界最大の産油国となっている。天然ガス生産量も世界一でロシアと世界ビッグ2の地位にある。二大化石燃料の大生産国、大供給国として、トランプ大統領は化石燃料の消費を減らす以外の方法で温室効果ガス排出削減を進めるべきと主張している。
米国のエネルギー政策大転換の影響を受ける日本もまた、温室効果ガス排出削減効果の薄い再エネ・省エネ諸施策を抜本的に改廃し、国民のコスト負担を強く意識した現実的なエネルギー政策に転換することが急務である。温室効果ガス排出削減のためのこれ以上の追加的コストは、費用対効果が低いだけでなく、国民に過度な負担を強いることで国全体の経済を疲弊させうることを踏まえたうえで、国家資源を活用するべきである。
なお、2023年にUAEで開催された「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」で出された原子力発電容量3倍宣言には、現在31か国が署名している。再エネ大国を目指してきたドイツでも総選挙を受けて政権交代となり、エネルギー価格高騰を招いた政策の見直しが期待されている。時代の潮流に乗り遅れないためにも、原子力に関する過剰な安全規制は緩和するべきである。
安易な再エネ誘致への歯止めとなる議論をするべき
地方自治体等が推進する再生可能エネルギー誘致施策には、ビジネスとしての独立採算が難しく持続可能性が見通せないもの、あるいは住民生活へのメリットが見えないものが少なくない。太陽光発電施設は各地で自然災害時に環境破壊や二次災害を誘発する事例も多数報じられているほか、オーバーフローにより停電リスクが増える懸念もある。事業体の売電収入を追求するのではなく、送配電事業者と共に、供給責任と地域メリットを重視した事業構築をするべきである。
一方、中山間地で十分に活用されていない水資源を活用する小水力発電など、地産地消型で地域活性化に資する事業については、国と地方で活用の後押しをするべきである。
政治は「脱炭素」から「低炭素」へ
世界は「脱炭素」から「低炭素」へと、現実路線に回帰しつつある。そして、世界の低炭素投資は、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーだけではなく、運輸分野の電化、熱分野の電化、建設分野の省エネ、クレジット制度導入など多岐の分野・手法に向けられている。
米国は再生可能エネルギー普及以外の観点から低炭素に取り組むと見込まれており、日本としても世界の潮流変容を捉えた低炭素政策を採用し、環境と経済の効率性向上へ舵を切っていくべきである。
社会保障経済研究所(代表:石川和男)
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