複雑性の時代に、日本的方法論から新たな経営知を―「一般社団法人AIDAコンソーシアム」9月1日設立
編集工学者・松岡正剛と経営学者・野中郁次郎の知と方法を継承し、複雑性を活かす21世紀の組織経営論の共創を推進。編集工学研究所と、研究者・産業界の実務家・多分野の専門家が協働する組織として始動

日本発の方法論によって組織の可能性をひきだし、複雑さを豊かさに変える社会をつくる活動体「一般社団法人AIDAコンソーシアム」(本社:東京都世田谷区、代表理事:安藤昭子)が、2025年9月1日に設立されました。本団体は、松岡正剛の編集工学と野中郁次郎の経営学の知と方法と思想を継承し、日本的経営論として統合していく研究開発と実践の母体です。名和高司氏(京都先端科学大学 教授/一橋大学ビジネススクール 客員教授)、川田弓子氏(一橋大学ビジネススクール 野中研究室 研究員)といった野中経営論を継承する研究者や産業界の実務家が参画し、複雑性を活かす21世紀の組織経営論の創出をめざします。
https://aida-consortium.jp
■設立に至った背景
いま社会は、地政学的分断やAIの急速な普及、価値観の多様化など、複数の変化が重なり合う複雑な世界に直面しています。企業においてこれまでの合理的知性に基づく経済社会思想や経営手法だけでは対応できない課題が噴出し、いまや変化や複雑さをこそ価値の源泉とするような新たな経営パラダイムが求められる時代になっています。
日本は古来、地震や台風といった災害、四季折々の大きな変化といったうつろいゆく自然環境のなかで、複雑性を受け入れ、そこから価値を見出す知恵を育んできました。AIDAコンソーシアムは、こうした「日本的知性」を資源として再解釈し、複雑性を糧に価値を創出する方法モデルの開発・実装を通じて、複雑さを豊かさに変える社会を目指します。
■AIDA理論について
基盤となるAIDA理論(Analogical Integration of Dynamic Association)は、「あいだ」によって、複雑さを価値に変える21世紀の方法論です。ものごとの「あいだ」に潜む動的な関係性や、目に見えない価値に注目し、感受性や想像力を通じて複雑な内外環境を統合・編集することをめざします。複雑さを複雑なまま取り扱い、新たな価値創発につなげる理論です。

AIDA理論では、コーポレート・アイデンティティを超えて、「そもそも企業とは何か」までを含んだ組織の存在様式そのものを問う、コーポレート・オントロジー(存在論的組織観)という動的な視点を前提とします。暗黙的で数値化できない可能性から価値を生み出す日本的方法論を基盤に、イノベーションを創発する独自の型を開発。複雑性こそを価値の源泉とする「複雑性ケイパビリティ」を有する組織への変革を促します。

コンセプトビジュアル「utsuroi」は、日本文化の価値創出の方法と生命の環境適応の仕組みを重ねたデジタル作品です。柱立てに擬えた四つの動点が環境要因や互いの距離、過去の軌跡を常時計算し、複雑な相互作用のなかで「生きた間合い」を生み出します。秩序と混沌のあいだで唯一無二の姿を立ち上げ続ける──それは組織の動的なありようとも重なり、存在をプロセスと捉えるコーポレート・オントロジーの世界観を映し出します。※自動生成し続ける「utsuroi」の様子は、AIDAコンソーシアム公式サイトよりご覧いただけます。https://aida-consortium.jp/
■AIDAコンソーシアムの主な活動領域
AIDAコンソーシアムは、以下の3領域を中心に活動を展開します。
1.理論研究:産官学によるAIDA理論の共同研究
AIDAフェローやアドバイザリーメンバーといった専門知を有するメンバーと会員組織が連携しながら、AIDA理論を探究・体系化を進めます。合理的知性に偏りがちな経営知を日本的知性によって補完し、複雑性に応答する新たな方法論を育てることを目指します。日本発の経営論として、グローバルに適用可能な理論へと発展させます。
2.共有知化:課題や知見を持ち寄り、文化・文明資本へ
企業取材やAIDA理論独自のナレッジアーカイブを通じて、組織のコーポレート・オントロジーを捉えなおし、組織に内在する知や文化資本を析出、一部を共有地として展開可能なものにしていきます。日常の活動に埋もれがちな知を社会に開かれた“文化・文明資本”へと転換し、企業価値の再編集と新たな価値創造の基盤づくりをめざします。
3.社会実装:現場での活用促進を仕組み化
個別企業の課題解決プロジェクトや実装支援ツールの開発、AIDA理論を実装できる人材の涵養プログラムの提供、異分野ステークホルダーとのワーキンググループや対話の場の運営を通じて、AIDA理論の現場での活用を支援します。パートナー企業と共に実装プロジェクトを展開し、複雑性ケイパビリティを醸成することを通して、産官学民をつなぐ共創基盤の形成をめざします。今後は官公庁や自治体との連携も視野に入れ、知の接続を加速していきます。
<連携体制>
AIDAコンソーシアムでは、企業経営や知識創造に精通した実務家・研究者を「フェロー」として迎え、構想の実践と社会実装を推進しています。以下に、本構想を索引する二人のリードフェローより設立にあたってのメッセージをご紹介します。
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AIDAリードフェロ―:


見るべきものは常に、動き続ける物事の「あいだ」にこそある──
松岡正剛と野中郁次郎先生は、異なる立場から世界を捉えつつも、この根源的な視座において深く通じ合っていたものと思います。それは、「あいだ」の文化とも言える日本への、両氏の深い眼差しにも現れていました。ふたりの巨人が見据えたその景色と、今まさに現在を生きる方々の課題と知恵から、未曾有の変化の時代に向けた新たな方法論を見出していきたいと思います。
安藤 昭子(株式会社編集工学研究所 代表取締役社長/AIDAコンソーシアム代表理事)
ジロー(野中)先生、そしてセイゴオ(松岡)翁とは、ここ数年、知識創造と編集工学を「異結合」させた新たな日本流経営を、世界に発信しようという強い想いを語り合っていました。残念ながら、お二人は相次いで鬼門に入ってしまわれましたが、本コンソーシアムでは、その遺志を継いで、次世代経営モデルを創発させていこうと思います。そのプロセスに、より多くの方々のご参加やご支援をいただけることを、心から期待しております。
名和 高司(京都先端科学大学 教授/一橋大学ビジネススクール 客員教授)
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AIDAフェロー:
奥本英宏(株式会社カプタワークス 代表取締役社長/株式会社インディードリクルートパートナーズ・リクルートワークス研究所 アドバイザー)
川田弓子(一橋大学ビジネススクール 野中研究室 研究員)
佐藤明(株式会社バリュークリエイト パートナー)
穂積晴明(株式会社編集工学研究所 研究員・デザイナー)
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アドバイザリーメンバー:
大澤真幸(社会学者)
佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
武邑光裕(メディア美学者)
田中優子(江戸文化研究者)
津田一郎(数理科学者)
今後も、多様な専門家・実務家をフェローやアドバイザリーとして迎え、複雑な課題に横断的に応答できる「知のネットワーク」を拡張してまいります。

■団体概要
団体名:一般社団法人AIDAコンソーシアム
設立:2025年9月1日
所在地:東京都世田谷区赤堤2丁目15番3号 編集工学研究所内
代表理事:安藤昭子
理事:住田孝之、奥本 英宏、束原俊哉、姜舜伊、大久保佳代、福地恵理
監事:座安剛史
事業内容:AIDA理論の研究開発、実装支援、会員組織運営、情報発信など
URL:https://aida-consortium.jp
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