兵庫県豊岡市の生産者支援『未来の宿泊チケット』クラウドファンディング始まる
宿泊施設を運営する民間企業が、農業・畜産・名産品生産者を支援するクラウドファンディング開始
兵庫県の北部に位置し、日本で最後の野生のコウノトリの生息地として知られる豊岡市。
歴史ある名湯・城崎温泉や、江戸時代から明治初期の古民家が残る出石の城下町、スキー場や海水浴場など、多数のアクティビティが存在する人気の観光地だ。
豊岡市出石の城下町風景。奥は辰鼓楼(しんころう)という明治時代初期の時計台
近年は外国人観光客の誘致にも力を入れ、2019年の外国人宿泊数は63,648人と過去最高を記録。観光業は豊岡市にとって重要な産業となっているが、新型コロナウィルスの影響で観光客が激減している。
3月から旅館ホテルや飲食店の休業が相次ぎ、但馬牛や出石蕎麦をはじめとする名産品も消費されず、地元生産者から不安の声が集まっている。
平安時代からの長い歴史を持つ城崎温泉。外湯を楽しめることでも人気。写真は温泉街中心を流れる大谿川(おおたにがわ)
緊急事態宣言は解除されたものの、以前のような賑わいを見せるのは当面厳しい状況。そこで、出荷できない豊岡市の旬の食材を自宅へ届け、グランピング施設の宿泊チケットをサービスするクラウドファンディングが企画された。
これは、大阪市で宿泊業を営む株式会社キリンジが企画したもの。
クラウドファンディングで支援を一口20,000円で募り、支援者には豊岡市の名産品が自宅へ届けられる。さらに、同社が7月3日に開業する「温楽ノ森(おんがくのもり)」で金券として利用できる「未来の宿泊チケット」20,000円分をつけるというもの。
生産者と消費者双方にメリットを与え、観光客が落ち込む豊岡市への訪問を促す試み。名産品は、但馬牛や出石蕎麦、地ビールなどから、支援者が好きなものを選ぶことができる。
名物「出石蕎麦」。江戸時代に信濃国上田藩の藩主が蕎麦職人を連れてきたのが由来とされている
観光客にも人気の地ビール。そば処・出石のおいしい水を使い、数百億の酵母がしっかり生きたこだわりの品。隠し味に蕎麦のエッセンスを使用
今回このプロジェクトを企画した代表の天川洋介(あまかわ ようすけ)氏は、「近隣の事業者の方々から不安の声を聞き、共にこの状況をなんとか乗り越えたいと考えた」と話す。
昨年11月に行われた廃業温泉「乙女の湯」復活の記者会見の様子。奥が代表の天川氏
「温楽ノ森」は、昨年8月に廃業した温泉施設「乙女の湯」を、グランピング施設として復活させるもの。
昨年秋から行政と地元市民の協力で準備を進め、2020年3月に開業予定だったが、新型コロナウィルスの影響で延期になっていた。現在7月3日のグランドオープンに向けて、ウィルス対策など準備を進めている。
7月オープン予定の「温楽ノ森」では、天然温泉とグランピング、周囲でのアウトドアが楽しめる
温楽ノ森は、施設内の空き地にデッキ付きの宿泊用テントが備えられ、温泉とアウトドアレジャー、グランピングを楽しむことができる。もともと乙女の湯は地元市民に親しまれていた温泉施設だったため、温泉だけの利用も可能とした。
グランピングは、グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを掛け合わせた造語。テント設営や食事準備などをせずとも気軽にアウトドアが楽しめるとして近年人気。宿泊客ごとに独立したテントで宿泊するため、他の客との接触が少なく3密になりにくい環境であることから、ウィズコロナ時代のレジャーとして注目を集めている。
昨年廃業した「乙女の湯」が施設内温泉としてリニューアルしてオープン。美肌の湯として人気だった
クラウドファンディングで集まった支援金は、同施設ホームページを通じての豊岡観光地の宣伝費用や、施設のコロナ対策の機材導入、運転資金に充てられる予定。
「気兼ねなく出かけられる環境になるまで、まだまだ時間がかかるかもしれない。豊岡市の観光資源を守り、また観光客が訪れる豊岡市にしたい」と天川氏。
観光業や飲食店、地元産業の危機は、全国規模で広がりつつある。
各市町村、地域の企業が手を取り合い地元産業を守る動きは、今後も広がりを見せそうだ。
兵庫県豊岡市
クラウドファンディング CAMPFIREサイト
兵庫県豊岡市 応援プロジェクト!『未来の宿泊チケット』で生産者さんを支えたい!
https://camp-fire.jp/projects/view/224918
【温楽の森 ホームページ】
【豊岡観光協会】
株式会社キリンジ
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