「2021年卒新卒者の入社後追跡調査」発表
~新卒者の、入社前及び入社後の勤続志向の醸成のために重要なこととは?~
公益社団法人全国求人情報協会の「新卒等若年雇用部会」は、2021年卒新卒者を対象として、入社前調査(2021年3月)および入社後調査(入社後約半年:2021年11月)を実施し、新卒者の入社前および入社後約半年の就業意識の実態をまとめましたので、ご報告します。
新卒者の、入社前及び入社後の勤続志向の醸成のために重要なこととは?
入社前と入社後約半年時点の就業意識の変化に着目し、調査分析を行った。
《調査結果トピックス》
1.新卒者の入社前・入社後の就業意識の変化
入社前に「転職志向」であった人の約3割が入社後に「勤続志向」に転じている
2.入社後の就業意識と適職意識の関係性
「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」人の約9割は、勤続志向
3.適職意識と仕事環境の関係性
指導担当に業務以外のことも相談している人の半数以上が、適職意識を持っている
《調査から見えてきたこと》
中央大学大学院戦略経営研究科ビジネススクール 教授 佐藤 博樹(公益社団法人全国求人情報協会 理事)
企業の新卒採用では、 採用する新卒社員が就業継続意向を持っていることが大事になる。採用後に一定期間をかけて一人前の社員に育成することが必要なことによる。一人前になる前に社員が離職すると、採用と育成のコストを企業は回収することができない。早期離職は就職した新卒社員にもマイナスの影響を及ぼす。就職活動に1年以上もの期間を割いている学生が多いため、就職した企業に定着してスキルを獲得できることが望ましい。つまり、新卒を採用する企業は、自社が提供する仕事を適職と考えてくれる学生の採用が、学生にとっては適職と考えられる仕事機会を提供する企業への就職が望ましいことになる。本調査でも就職後に勤務先企業に関して<適職意識>(「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」)を持つことができた新卒社員は、入社後に「勤続志向」を持続している。
注目すべき点は、就職先が決まった者でも、入社予定の企業に関して転職するだろうと考えている「転職志向」を持った人が25.8%と少なくないことである。入社前に「転職志向」を抱いている背景には、他に就職したい企業があることや不本意な就職活動と感じていることがあろう。重要な点は、入社前に「転職志向」を抱いていた新卒社員でも就職後に<適職意識>を持てた社員は、「勤続志向」に転換していることである。また、入社前に「勤続志向」があっても、入社後に<適職意識>を感じることができなかった社員は、「転職志向」へ転換している。
企業として新卒社員の定着を重視するのであれば、採用活動に加えて、採用後に新卒社員が<適職意識>を獲得できるように職場環境を整備することが重要となる。新卒社員が入社後に<適職意識>を持てる職場環境の特徴は、現在の仕事や将来の仕事に加えて個人的なことも相談できる機会や相談者がいること、先輩が後輩を指導する雰囲気があること、さらにはお互い助け合う雰囲気があることが<適職意識>獲得にプラスになり、他方で人材不足や納期などにいつも追われている職場や恒常的な残業がある職場は<適職意識>獲得にマイナスとなる。
《調査概要》
●調査の概要〈入社前調査〉
1)調査目的:大学生や大学院生の就職活動の実態を把握し、関係各位の参考に供する。
2)調査対象:民間企業・団体への就職活動を在学中に経験した全国の大学4年生・大学院 2 年生 1,813 人
*就職活動の経験者を、プレエントリー(資料・採用情報の請求)、説明会、書類選考、対面選考のいずれか1つ以上の経験者と定義した。
3)調査時期:2021年3月13日~31日
4)調査方法:インターネット調査(調査実施機関:株式会社マクロミル)
●調査の概要〈入社後調査〉
1)調査目的:入社後約半年時点の就業意識や、入社後の仕事経験・勤務実態を把握する。
2)調査対象:第1回調査で「民間企業・団体等に就職する」と回答した人のうち、追跡調査に回答した人720人
3)調査時期:2021年11月1日~26日
4)調査方法:インターネット調査(調査実施機関:株式会社マクロミル)
<入社前調査>で「民間企業・団体等に就職する」と回答した人に、追跡調査の依頼を送信。
回答者の学校種別と性別の構成比が、3月調査での就職確定者の構成比に近づくよう、ウェイトバック集計を行った。
詳細は下記リンクよりPDFをご覧ください
https://www.zenkyukyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/20220323.pdf
《公益社団法人 全国求人情報協会》について
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