バングラデッシュの縫製工場ラナ・プラザ崩落事故から今年で10年。ファッション産業の透明性向上のため、3ヶ月間に渡りイベント開催。
FASHION REVOLUTION JAPAN 2023 開催のお知らせ
一つ目の企画として、ファッション産業と透明性の現状を知り、考えるためのレポート「#Remember
RanaPlaza Collection 断念から考える日本のファッション産業の現在地 ラナ・プラザ崩落事故から 10 年目の考察と展望」を発表します。二つ目の企画として、全3回のウェブセミナーを開催します。海外からゲストを迎え、エキスパートの話を通して学びを深めます。三つ目の企画として、表参道のGYRE GALLERYにて、1ヶ月間の展示を開催します。服ができるまでの背景の面白さ、そこに潜む課題、ファッション産業に関わる多様な人々と、展示を通して出会っていただき、未来を考え、行動を起こすきっかけとしていただければと考えております。
三つの企画は、世界中の調査データ、ファッション産業に関わる人々へのインタビュー、企業や消費者へのアンケートを通して、できる限り多面的に現状を捉え、共有させて頂くことを試みています。
FASHION REVOLUTIONとは
2013年4月24日、バングラデシュにある「ラナプラザ」という複数の縫製工場が入居するビルが崩壊し、1000名以上の方が亡くなり、2500名以上の方が負傷するという痛ましい事故が起こりました。前日からビルの亀裂が見つかっていたにも関わらず操業を止めなかったことで事故が起こってしまったことから、短納期や工賃の圧迫などファッション産業の構造的な問題、そして「自社ブランドの服を誰がどこで作っているのかわからない」というサプライチェーンの不透明さが浮き彫りとなりました。この事故がきっかけとなり、世界中の消費者がSNSを通して「#whomademyclothes(私の服は誰が作ったの?)」と企業に問いかけるムーブメントとFASHION REVOLUTIONに発展しました。
https://www.fashionrevolution.org/asia/japan/
企画内容・詳細
①2013年4月24日のラナ・プラザ崩落事故からの10年の今日
ファッション産業と透明性の現状を知り、考えるためのレポートを発表します
ラナ・プラザの事故から 10 年の年に、社会に何を発信するのか。そんな問いから FASHION REVOLUTION 2023の企画ははじまりました。その中で、1 着の服の生産背景を長いタグを通して可視化する「#RememberRanaPlaza Collection」を、 業界を横断して発表することを計画しました。当初は多くの賛同やポジティブなフィードバックを頂いたものの、お声がけしていたブランドさんからの辞退が相次いだことにより、結果的に実施は叶いませんでした。
辞退の理由として「一部の商品だとグリーンウォッシュになる」「消費者が求めていない」等の声を受け取る中で、企業の懸念と消費者からの期待のズレ、ステークホルダー間での思い違いがあるのではないかと感じるようになりました。
そこで、企業・消費者双方へのアンケート調査と専門家へのインタビューを通して、こうした背景や理由を丁寧に明らかにしていくことで、日本のファッション産業の現状や課題を浮き彫りにすることができるのではないかと考え、本レポート「#RememberRanaPlaza Collection 断念から考える日本のファッション産業 の現在地」を執筆しました。
Chapter1では、ラナ・プラザの事故の背景を振り返り、なぜ FASHION REVOLUTIONが透明性を高めることを重視しているのか、そして「まだ劣悪な労働環境は存在するのか?」と企業さんから質問を頂くこともあるため、改めて専門家へのインタビューを実施し、繊維・ファッション産業における労働環境や労働者の人権の現状についてまとめました。
Chapter2では、企画の概要について、そして参加辞退企業の方に匿名で実施したアンケートの結果をまとめました。
Chapter3では、衣服のサプライチェーンをトレースすることの難しさ、透明性を高めていくためには企業だけでなく、消費者も変化が必要であること、「グリーンウォッシュ不安」や「100 点主義」がもたらす日本の遅れについて検討しました。企業アンケートの結果として、企画に参加することで、すべてのアイテムにトレーサビリティがあるように受け止められ、批判につながるという回答が多く、メリットよりもリスクを感じた方が多かったのに対して、消費者アンケートの結果では、「一部だからウォッシュだ」というネガティブな意見は1 割にも満たない(106 人中8 人)という結果になりました。
本レポートで、一つ明確になったことがあるとすれば、企業から見ると消費者は非常に大きな存在であり、消費者から見ると企業が非常に大きな存在であるということです。互いに様子を伺い両すくみの状態になってしまっているとも言えます。Chapter4では、消費者、企業、そして行政や私たちFASHION REVOLUTIONのようなアクティビズムを推進する主体がどのように連携して、それぞれの立場から一歩を踏み出すことができるのか、考察をまとめています。ぜひご一読いただけますと幸いです。
本レポートはこちらよりダウンロードをお願いします。
https://drive.google.com/file/d/1tdq1Fx09PJue9tzWLnvLR0ZLdSHz9m48/view?usp=sharing
Project Members:
鎌田安里紗 (一般社団法人unisteps 共同代表)
竹村伊央(一般社団法人unisteps 共同代表理事)
マルティン メンド 有加 (一般社団法人unisteps 理事)
古島真子 (一般社団法人unisteps オペレーションマネージャー)
中村元気 (一般社団法人unisteps 監事)
辻井隆行
末吉里花 (一般社団法人エシカル協会 代表理事)
砥川直大 (The Breakthrough Company GO Creative Director)
② エキスパートから学ぶ 全3回のウェブセミナーを開催します。
視聴方法 Peatix(https://peatix.com/event/3562624)よりお申し込み下さい。
4月25日(火)公開 参加方法:録画配信(無料)
「Why is Transparency Important? なぜ透明性が必要なのか」
ゲストスピーカー:リヴ・シンプリシアーノ氏 (FASHION REVOLUTION ポリシー・リサーチマネージャー)
FASHION REVOLUTIONでは、「透明性」はサステナビリティを実現する前提となるものであると考えています。透明性とは、何かしらの判断をするために必要な情報を適切に公開すること。ファッション業界では、サプライチェーン、ビジネスの内容、そこで働く労働者、地域や環境に与える影響を知るための情報を開示することを意味します。透明性があれば、一般の消費者、活動家、投資家がそれを見てサステナブルかどうかを判断し、サステナブルでなかった場合には変化を促すことができます。本トークでは、透明性に関する考え方と、ファッション産業における透明性の現状をお話しします。
5月20日(土) 公開 参加方法:録画配信(無料)
「Making Better Choices as a Consumer より価値観にフィットする買い物をするために」
ゲストスピーカー:ゴードン・レヌーフ氏 (Good on You共同設立者)
モデレーター:マルティンメンド有加(FASHION REVOLUTION JAPAN プロデューサー)
Good on Youが目指すのは「ある製品が与える本当の影響が値段と同じくらい簡単に誰にでもわかるような世界」です。消費者の行動と価値感に関する調査によると約半数の消費者が自分の価値に合う買い物ができないことに不満を感じていることが明らかになっています。Good on Youでは、世界中の数千のブランドのサステナビリティへの取り組みを評価をし、消費者の選択をサポートしています。本トークでは、消費者の権利、そしてどうすればより良い買い物をしていくことができるのか、Good on Youの視点を通してお話しします。
6月10日(土) 公開 参加方法:ライブ配信/現地参加(限定30名:1,000円)/録画配信/ 録画配信(無料)
「How Clean Are Your Clothes? 衣服の隠されたコストに目を向けよう」
マーク・リトル氏 (パタゴニア プロダクトラインディレクター)
モデレーター:鎌田安里紗(FASHION REVOLUTION JAPAN プロデューサー)
故郷である地球を救うため、私たち生活者ができることは何でしょうか? 私たちが購入する衣類には隠されたコストが存在します。ファッション産業は温室効果ガスを大量に排出し、気候危機の深刻な原因となっています。また、購入される衣類は増え続ける一方で、その衣類の使用期間は短くなっています。低価格化、過度な消費。その影響は環境の汚染、労働者の虐待、そして浪費に繋がっています。私たちが団結すれば衣類が製造される方法を変えることができます。ひとりひとりの買い物が業界を形作っているのです。本トークでは、マークリトル氏からパタゴニアのものづくりへの考え方を聞き、FRの鎌田とともに今後のブランドのあり方と消費者としての責任について考えます。
登壇者プロフィール:
リブ・シンプリシアーノ
リヴはFASHION REVOLUTIONの政策・研究マネージャーで、業界全体の透明性と説明責任の向上を求める組織の主要な研究プロジェクトであるGlobal Fashion Transparency Indexなどのプロジェクトを主導しています。また、FASHION REVOLUTIONを代表して、国連気候変動対策ファッション産業チャージャーや国連欧州経済委員会にも参加しています。
リヴはキャリアの初期には、サプライチェーンにおける労働違反を明らかにし、是正する世界有数の組織で働き、企業、ブランド、政府がサプライチェーンにおける強制労働や人身売買の社会経済的リスクを理解するのを支援しました。その後FASHION REVOLUTIONの脱炭素キャンペーンをリードし、他のアドボカシー活動や政策ワーキンググループに参加しています。
FASHION REVOLUTION以前は、テクノロジーと情報ツールの交差点で、ESG情報開示のベストプラクティスを活用するための方法を研究していました。ロンドン大学SOASで労働、社会運動、開発の修士号を、ロンドンメトロポリタン大学で企業の社会的責任の修士号を取得し、労働、資本主義、開発の関係を研究しています。
ファッションの脱植民地化、グローバルなバリューチェーンにおける女性のエンパワーメント、そして最終的にはファッション業界全体の透明性と説明責任の向上を求めることに情熱を注いでいます。
ゴードン・レヌーフ
ゴードンは、世界で最も消費者フレンドリーなブランド向けサステナビリティ評価システム「Good On You」の共同設立者です。コンシューマーズ・インターナショナルの理事、オーストラリア消費者連盟の副議長など、30年以上にわたって消費者の権利の擁護に努めています。
ゴードンの活動は、持続可能な開発目標12に沿った消費者が持続可能で倫理的な選択をする権利に重点を置いており、Good On Youはそれを可能にするショッピングを支援するために設立されました。現在では5,000以上のファッションブランドに対する評価と、新しいサステナブルブランドを発見するためのツールを消費者に提供しています。
ゴードンは、毎年開催されるルビー・ハチソン講演会「Can Consumers Buy a Better World」、2022年徳島国際消費者フォーラムなどで講演を行っています。
また、テキスタイルエクスチェンジ、Good Environmental Choice Australia、電気通信事業者オンブズマンスキームのボードディレクターを務め、現在はオーストラリア証券投資機構 消費者諮問委員会のチェアを務めています。
マーク・リトル
パタゴニアのメンズ・ライフ・アウトドアのグローバル・プロダクト・ライン・ディレクター。オハイオ州立大学でフランス文学とコミュニケーションの学士号を取得。2012年1月パタゴニアに入社。メンズ・スポーツウェアとサーフ・アパレルの製品ライン・マネージャーを務め、2015年3月からに現職に就く。
アパレル業界で23年以上の経験を持ち、ファッション界の大物たちと仕事を共にする。この分野のエキスパートであり、パタゴニアのミッションと価値観を反映した高品質の衣類を作ることに情熱を注ぐ。また、変革的な農業や二次廃棄物の転用に焦点を当て、社会的責任の価値観と循環型経済を推進し、より良いビジネス慣行への挑戦を続ける。
③表参道のGYREギャラリーにてexhibitionを開催します。
服づくりの裏側にいる人々の「声」に焦点をあてた展示「Two Decades of Hidden Fashion」を開催します。服ができるまでの過程や、2013-2023年のファッション産業の変化を可視化するインフォグラフィックの展示も行います。展示の最後には、より良い未来のファッション産業のために来場者が行動を起こせるアクションブースを設置します。
開催期間:2023年6月4日(日)ー29日(木)
会場:GYRE GALLERY /ジャイル・ギャラリー
住所:東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE 3F
お問合せ:0570-056990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
オープン時間:11時-20時
一般社団法人unistepsは「多様で健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションとし、教育、コンサルティング、イベント運営などを行う組織です。
FASHION REVOLUTION JAPANは2013年4月のラナプラザ縫製工場倒壊事故をきっかけに始まったファッションの透明性を高めるための世界的なムーブメントFASHION REVOLUTIONの日本支部で、一般社団法人unistepsのプロジェクトの一つです。unisteps.or.jp 共同代表理事 鎌田安里紗 竹村伊央
本件に関するお問合せ先 info@unisteps.or.jp(担当 竹村)
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