ネイチャーポジティブに向け、生物多様性を含めた自然環境について、子供も大人も、楽しく知ることができる翻訳絵本「ミツバチとミミズ」を11月3日、文化の日に出版

COP29(※1)が開催されるなか、自然、生物多様性、そして人類にとって欠かせない存在であるミツバチとミミズに注目。生態系Well-Being(※2)の理解を深める1冊。

日本文化啓発

 日本文化啓発(所在地:東京都豊島区)は、ネイチャーポジティブ(※3)に関連するテーマを子供も大人も楽しく知る翻訳絵本「ミツバチとミミズ」を11月3日の文化の日に発行開始しました。美しいイラストと共に、ミツバチとミミズの生態、歴史、取り巻く社会課題までをも網羅し、充実した内容になっています。

 当絵本出版は、人とミツバチのWell-beingを目指し、⽣物多様性保全と日本の伝統⽂化継承の啓発を主旨として始めたミツバチ文化事業の一環です。

 今後も在来種ミツバチとの共⽣環境作り、⽇本伝統⽂化とのコラボレーション、各種メディアを通じた啓発活動に取り組んでまいります。
販売サイト:https://www.amazon.co.jp/dp/486782125X?tag=hanmotocom-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1&language=ja_JP

出版した「ミツバチとミミズ」の表紙。書店やWebサイトで販売中。3800円(税別)

絵本の目的と背景

 人もミツバチも含めた自然環境全体を視野にいれたWell-Beingを目指すにあたり、知ることなしには始まりません。まず知ってもらうために、この美しいイラストに満ちた絵本を翻訳しました。

 これは、ミツバチ文化事業の一環です。本事業は、ゲラン株式会社と銀座ミツバチプロジェクトが実施する女性養蜂家育成プログラム(※4)への参加をきっかけに発足しました。生態系Well-Beingを目指し、⽣物多様性保全や日本伝統⽂化継承といったテーマを考えていく啓発事業です。2024年春に梅若能楽堂(※5)におけるニホンミツバチとの共生環境を象徴的拠点としています。

絵本の特徴

 全ページにわたり、上部ミツバチ、下部ミミズという構成になっています。生態から歴史、人との関係、取り巻く環境など、幅広い内容を網羅しています。

 フランスに住むミツバチとミミズが主役ですが、日本に住むミツバチとミミズの偉大さや存在意義と本質的に通じます。また、日本に住むミツバチに関する参考情報も掲載しました。

<訳者コメント(訳者あとがきから抜粋)>

 美しいイラストに満ちた原作「Abeilles et vers de terre」と出会い、翻訳して日本に広める機会を

いただいたことに感謝します。

 そして監修くださった、銀座ミツバチプロジェクト理事 山本なお子氏に厚く御礼申し上げます。

 対象年齢8 〜12 歳の児童書籍にカテゴライズされる「Abeilles et vers de terre」には、自然の摂理と恩恵、人間のエゴをも直視し、臭いものに蓋をして隠すことなく、こどもたちに伝えようとする姿勢が貫かれています。責任を伴う言論の自由、反論の美徳……が浸透する彼の国の土壌は、こうした児童書籍の存在により耕されていくのでしょう。

 日本において、本書「ミツバチとミミズ」はフランスとは異なる存在意義をもつと考えます。

 アニミズム(自然信仰)や特有の審美感のある我が国では、自然との向き合い方をみなおすきっ

かけになるかもしれません。

 本書がこどもに限らず、おとなの方々にもポジティブなインパクトをもたらすことを期待しています。

ミツバチ文化事業の一環で出版した翻訳絵本。今一度、当事業主旨を共有します。

本年5月20日の「ワールド・ビー・デー(世界ミツバチの日)」に発表したプレスリリース;
東京・東中野の「梅若能楽堂」に、在来種ミツバチとの共生環境を設け、2024年春よりミツバチ文化事業を発足
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000142339.html


2024年春よりミツバチ⽂化事業を発⾜したなかで、東京都・東中野の能楽堂屋上にて、在来種ニホンミツバチとの共生を2024年5月3日より開始しております。

能とミツバチの関係性について

能とミツバチ?

この問いの解明は当事業主旨そのものです。ミツバチと能には、

花と共進化してきたミツバチ(左上下)と洗練と工夫の末にたどり着いた六角形の枠(右上)、日本在来の動植物が描かれた能装束(右下)

・日本特有の自然に対する感性と適応

・その長い歴史

・洗練、工夫の積み重ねと技術

などの共通点があります。

 そして、能装束には多くの日本在来植物が描かれ、とりわけ花を舞うように、と口伝されてきた梅若家の能は、花と共に進化し、日本在来種の花を好むといわれるニホンミツバチと親和します。

 ミツバチや能を知るにつれ、こうした共通点の気づきを得たり、その面白さに開眼したり、自然への向き合い方が変わったり、多様性尊重といった社会課題に関する思考を深めていくことができるのではないか、ひいてはWell-Beingに寄与するのではないか、と仮説しました。そのためには、まず知ることが大切でしょう。

 一方でネガティブな共通点もあり、ミツバチも能も、イメージバイアスによって知る機会が損なわれています。今回出版した絵本が、ミツバチのイメージバイアス払拭に寄与することを期待しています。

ミツバチに対する偏ったイメージ

 ミツバチというと、ハチミツをつくる、刺す危険、という認識に留まりがちではないでしょうか。これは一部の切り取りで、誤解もあります。ミツバチは根拠なく刺しませんし、確かにハチミツはつくりますが、彼ら自身の存続のためにつくるのであり、人間はそこからもらう立場です。そして、もらっているのはハチミツだけではありません。私たち人間の食糧の大半が、ミツバチの営みに頼るものであり、ハチミツはそのほんの一部です。

 自然環境を感知し、順応し、生態として洗練させてそれを代々継承してきたミツバチ。環境汚染度などの調査基準となる「指標生物」の一種であり、ミツバチの存在が環境の健全性を示すと言われます。自然環境変化もあり、ミツバチが減少しているといわれます。加えて、人への偉大な寄与を知らずに、危険視され、時に駆除されることもあり、ミツバチたちは、ますます生きづらくなっています。

能に対する偏ったイメージ

 能は、世界最古の舞台芸術で、ユネスコ世界無形文化遺産第一号として国際的にも認知されています。しかしミツバチ同様に、高尚で小難しく退屈というイメージが阻害し、能を観たことがない人も少なくありません。文化の日本在来種ともいえる能。日本の自然環境を感知し、順応しながら洗練させ、継承してきた、唯一無二の文化です。日本の自然環境で育まれた日本人ならではの感性により継承されてきた、ニホンミツバチの境遇と重なるものがあります。

 ミツバチと同様、能も偏見やイメージバイアスで、真価を知る機会に乏しければ、継承も危ぶまれます。

長い歴史を経て洗練を極めて伝承された、情報伝達するミツバチの舞(左;絵本から抜粋)と、高い芸術性ある最小の動きで観客を癒す能の舞。(右;梅若景英による仕舞い)

ミツバチ、能はあくまで象徴

 偏見やイメージバイアスが、真価を知る妨げとなるのはミツバチに限りません。ミミズもそれ以外の生き物にもあてはまります。また真価や本質が周知されず、継承が脅かされる事象は、能に限らず、多くの日本伝統文化に当てはまります。たとえば和菓子文化にも。

 特定の和菓子や抹茶など、日本をイメージする素材を使ったお菓子をもてはやす一過性の流行現象はあっても、洋菓子に比べておとなしく、インパクトに欠けるとみなされがちな和菓子。和菓子文化も、ミツバチや能と同様に、日本ならではの自然と感性により継承されてきた唯一無二の伝統文化です。

創業675年の塩瀬総本家による琥珀(左)は、ニホンミツバチのハチミツ、寒天、砂糖という最小限の素材を活かして創作された錦玉羹。右は季節の上生、山茶花。その抽象美と味わいは日本伝統文化ならでは。山茶花も日本在来植物です。

ミツバチ文化事業の状況と今後

 人とミツバチのWell-beingを目指し、⽣物多様性保全や日本伝統⽂化の啓発を主旨として始めたミツバチ文化事業。今回の絵本出版のような各種メディアを通じた啓発活動、⽇本伝統⽂化とのコラボレーション、能楽堂での在来種ミツバチであるニホンミツバチとの共⽣環境作りに取り組んでいます。

 居心地の悪い場所には居着かず、よりよい環境を求めて逃去する習性があるニホンミツバチ。能楽堂の屋上を気に入ってもらえたようで、元気に棲みついてくれ、産卵や子育ても順調にすすんでいる様子を観察しております。今年は猛暑でしたが、夕涼みしながら、環境に馴染んでいったようです。

能楽堂の屋根裏にあるニホンミツバチの巣箱
夕涼みをして猛暑を凌ぐ、ニホンミツバチ

 表層や一部を切り取り、それが全てであるかのように認識したり、偏見や認知バイアスで、真価を知る機会を損なう現象は、至る所でおきています。それがWell-Beingを阻害することを懸念します。

 引き続き、在来種ミツバチとの共⽣環境作り、⽇本伝統⽂化とコラボレーション、各種メディアを通じた啓発に取り組んでまいります。

(※1)第29回 国連気候変動枠組み条約締約国会議

(※2)Well-Beingとは、身体的・精神的・社会的によい状態を示す概念です。世界保健機関(WHO)憲章の前文“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. ”に端を発します。

(※3)2022年12月のCOP15で定められた国際目標。2030年までに生物多様性の損失を食い止め、生態系を回復軌道にのせる、という目標。

(※4)女性養蜂家育成プログラム
https://www.guerlain.com/jp/ja-jp/c/women-for-bees-jp.html

ゲラン株式会社
https://www.guerlain.com/jp/ja-jp 

銀座ミツバチプロジェクト
https://gin-pachi.jp

(※5)梅若能楽堂 

https://umewaka.org

日本文化啓発のプレスリリース⼀覧

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/142339

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関 弥生
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