レストアビジョン、AAV遺伝子治療薬(RV-001)の第I/II相治験における1例目投与完了を発表
世界初の視覚再生遺伝子治療薬を目指す、日本発の革新的な遺伝子治療の治験がスタート
遺伝子治療による視覚再生の早期実用化を目指す株式会社レストアビジョン(本社:東京都港区、代表取締役:堅田侑作、以下「レストアビジョン」)は、当社のリードパイプラインである視覚再生遺伝子治療薬「RV-001」による重症網膜色素変性症の患者さんを対象とした第I/II相治験(以下「本治験」)において、慶應義塾大学病院にて、1例目の患者さんへの投与が完了したことを発表いたしました。
RV-001は、AAV (Adeno Associated Virus)ベクターに独自の光センサータンパク質である「キメラロドプシン」[1]を治療遺伝子として搭載した遺伝子治療薬です。ヒトの網膜において光センサーの役割を担う視細胞が消失してしまう網膜疾患を主な対象疾患として、簡便かつ低侵襲な投与方法である硝子体内注射にてRV-001を投与し、残存する介在神経細胞内でキメラロドプシンを発現させることで、視覚再生を実現する治療法となります。本治験は、キメラロドプシンを用いたオプトジェネティクス(光遺伝学)遺伝子治療[2]として、世界初の臨床試験となります。
レストアビジョンの代表取締役社長CEOであり、眼科専門医の堅田侑作は次のように述べています。
「遺伝性網膜疾患の多くは未だに予防法・治療法ともに確立されておらず、本治験の対象疾患である網膜色素変性症は、深刻な視覚障害から最終的には失明に至ることもある疾患で、我が国の失明原因第2位を占める指定難病であり[3]、世界では約200万人もの患者さんが苦しんでいます[4]。本治験は国内では初の視覚再生遺伝子治療薬の治験であり、安全性を最優先に、探索的有効性を慎重に評価することを目指しています。引き続き、患者さんのために革新的な治療を提供できるよう尽力してまいります。」
<本治験の概要>
・本治験は、重症網膜色素変性症(どちらか一方あるいは両方の眼が光も感じられない状態)の患者さんを対象に、RV-001の安全性および忍容性の評価に加えて、光感受性や視覚機能の改善等の探索的な有効性も評価する第I/II相試験です(jRCT登録番号:2033240611)。
・本治験では、組み入れ基準を満たし、同意が得られた18歳以上の患者6~15名を対象に、RV-001を投与し、約半年間にわたる経過観察を行います。
・本治験は、株式会社レストアビジョンによる企業治験であり、このたびは、慶應義塾大学病院にて1例目の患者さんへの投与が行われました。慶應義塾大学によるプレスリリースについては、以下をご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2025/2/13/28-165002/
RV-001の研究開発に関して、レストアビジョンは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及びその他の機関による学術助成金の支援を受けております[5]。
<レストアビジョンについて>
株式会社レストアビジョンは慶應義塾大学医学部と名古屋工業大学の共同研究成果をもとに、オプトジェネティクス技術の臨床応用による、網膜疾患に起因する失明患者の視覚再生の実現を目指して、2016年11月に設立されました。未だ有効な治療法のない失明疾患に対し、いち早く患者の皆さんに治療を提供していくことを第一のミッションに掲げて開発に取り組み、日本発・大学発の遺伝子治療技術の産業化による日本社会および経済への貢献を目指しています。
<会社概要>
社 名:株式会社レストアビジョン (Restore Vision Inc.)
本社所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
代表者:堅田 侑作(代表取締役社長CEO)、宮﨑 輝(代表取締役COO)
設 立:2016年11月14日
事業内容:再生医療等製品の研究・開発
ウェブサイト:https://restore-vis.com/
<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社レストアビジョン 広報担当 宮﨑 輝 E-mail: contact@restore-vis.com
[1] キメラロドプシン: 光感受性に優れた動物型ロドプシンと、光遺伝学に適した微生物型ロドプシンを組み合わせて作られた新しいタイプの光センサータンパク質(Sasaki et al. PLoS One. 2014)。従来の光感受性タンパク質では実現できなかった、日常生活レベルの光強度でも応答できるように設計されており、より実用的な視覚再生の可能性が期待されており、これまでの動物モデルでの研究でも、キメラロドプシンを用いた治療が視覚機能の回復に寄与することが示されている(Katada et al. iScience. 2023)。
[2] オプトジェネティクス(光遺伝学): 光センサータンパク質を用いて細胞の活動を制御する技術(Deisseroth K. Nat Methods. 2011)。この技術をもとにした遺伝子治療によって、神経科学や再生医療の分野におけるアンメットメディカルニーズの課題解決が期待されている。
[3] Morizane et al. Japanese Journal of Ophthalmology. 2023
[4] Roberts et al. Arch Ophthalmol. 2010
[5] 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」(課題名:視覚再生遺伝子治療薬のグローバル第2相臨床試験におけるPOC取得)、同「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」(課題名:遺伝性網膜疾患に対する遺伝子治療役の製造方法と臨床エンドポイントの研究開発)、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構「神戸ライフサイエンスギャップファンド補助金」(事業名:遺伝子治療薬の品質規格設計・開発)