さかなドリーム、NEDOのDTSU事業(STSフェーズ)に採択
世界最先端の品種改良技術を用いて「地球温暖化対応型の美味しい次世代養殖魚の創生」を目指す
さかなドリームについて
当社は、革新的な魚類の品種改良技術によって「世界一旨い魚を創り、届ける」ことを目指す水産スタートアップです。日本近海には4,000種以上もの魚類が生息しており、その中には極めて美味であるものの、安定的な漁獲や養殖が困難なため、市場には出回らない「幻の魚」が数多く存在します。当社は、これらの魚の“安定的な養殖生産”と“美味しさの更なる飛躍”を実現します。当社独自の「新魚種=ハイブリッド魚」によって、世界中の魚食体験に感動をもたらし、水産業の持続的な発展に貢献していきます。
養殖業が直面する最大の課題「地球沸騰化」
地球規模の気候変動は、大気だけでなく海水温の上昇を引き起こし、その影響は世界中に広がっています。気象庁の統計によれば、直近100年で日本の海水温は世界平均の倍以上である1.24℃も上昇しており、このような劇的な気候変動は「地球沸騰化」とも形容されています。海水温の上昇は、変温動物である魚類にとっては死活問題であり、夏季の高水温期には養殖魚の成長停滞・生存率低下・感染症増加などの問題が顕在化しています。日本の養殖魚の約75%を占めるブリ類やマダイにおいても、日本で本格的に養殖が開始されてから、1℃以上海水温が上昇しています。養殖業者はイケス内の飼育尾数を減らす「薄飼い」や、夏場の給餌量を減らす「餌止め」等の対策を取っているものの、これらは直接的に養殖業者の収益を減少させてしまうため、根本的な解決策にはなっていません。
このまま地球沸騰化が進んでいくと、従来の養殖魚を継続的に利用することは困難になると想定されます。一方、既存の養殖魚に高温耐性を導入するには、長期間に渡る研究開発が必要となります。また、高温に強い南方系の魚は、一般的に味わいが劣るとされていることに加え、イケスから逃亡した際には生態系へ悪影響を及ぼす懸念があります。そんな中、国内養殖業の持続的な発展に向けて、新たなブレークスルーが強く求められています。
※出典:気象庁 「海面水温の長期変化傾向(日本近海)」
本事業で取り組む研究「地球温暖化に対応した美味しい次世代養殖魚の創生」
世界の魚食文化を持続的に発展させていくため、共同創業者の吉崎悟朗(東京海洋大学 教授)が世界に先駆けて開発した独自技術「代理親魚技法」を駆使し、最高峰の美味しさを誇る魚に、わずか1世代で高温耐性を導入することを目指します。本事業では、美味しい魚と、南方に生息する高温耐性を有した魚を掛け合わせ、抜群の味わいと高温耐性を兼ね備えた新たな養殖魚を複数作出し、その成長性・生存性・不妊性・食味などを評価します。これにより、養殖に適した高温耐性を持つハイブリッド魚の開発を実現していきます。
品種改良手法「ハイブリッド化」の可能性
①農作物・畜産物において広く活用
ハイブリッド化とは、異なる品種の掛け合わせにより、“それぞれの優れた特性を併せ持つ新品種”を生み出す方法であり、農作物や畜産物においては広く利用されています。一方、海水魚においては実用性に大きな課題があるため、限定的な利用に留まっています。当社は「代理親魚技法」と「ハイブリッド化」を組み合わせることで、ハイブリッド魚の安定的な生産手法を確立していきます。
②「持続可能な養殖魚の開発」と「生物多様性の維持」の両立
品種改良の問題点として、品種改良を施した養殖魚がイケスから逃亡し、野生集団と交配することで天然集団の遺伝子攪乱を引き起こすことが世界各国の養殖生産地において危惧されています。一方、最近の研究により、ハイブリッド魚には卵や精子を全く作らない不妊になる組み合わせが存在していることが明らかになっています。多くのハイブリッド魚の中から、確実に不妊となる組み合わせを選び出すことで、このような逃亡魚が引き起こす様々な環境問題を未然に防ぐことが可能となります。当社は、このハイブリッド化の特性を利用することで、“高度に品種改良された美味しい魚”と、“生物多様性の維持”を同時に実現し、魚類養殖の新たな可能性を追求していきます。
会社概要
社名:株式会社さかなドリーム
所在地:千葉県館山市湊493番地19 レアージュ館山オーシャンタワー1303
代表:代表取締役CEO 細谷 俊一郎
設立:2023年7月3日
公式サイト:https://sakana-dream.com/
本件に関するお問い合わせ先
株式会社さかなドリーム 広報担当
メールアドレス:info@sakana-dream.com
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