ベンチャーに、もっとアドベンチャーを。『アドベンチャービレッジ』構想発表レポート

Giverの精神で挑戦者が湧き出る社会をつくり、東京ベイエリアをアジアのイノベーションハブに。凝り固まった日本の課題を、国内外のゲスト登壇者が徹底議論!

クオンタムリープ株式会社

■『アドベンチャービレッジ』発足への思い/日本が経験した三つの敗戦/チャンスは新しい技術とアジアの成長、そしてあるべき日本の社会像/It takes a village to raise a child. 子どもが生まれたら村全体で育てよう
■ベンチャーの成長を支える『ギブ アンド ギブン』の精神
■アドベンチャービレッジは、日本と海外のエコシステムビルダー同士がつながる“場”
■クオンタムリープの活動「アクティブシンクタンク」「国内外のエコシステムビルダーとの連携」
■ジェリー・ヤン氏登壇。海外からも注目を集める日本のスタートアップ
■基調パネルディスカッション『新しい事業モデルの創出とギバーの役割』
■特別パネルディスカッション『アドベンチャービレッジが創出する挑戦者像を描く』
■各界より注目を集めるアドベンチャービレッジ
登壇者:出井伸之、楠木建、中村智広、ジェリー・ヤン、ステファニー・ホスピタル、谷本有香、安宅和人、松本大、水野弘道、関口和一、立花良範、寺田航平、大櫃直人、松本壮志、山本将裕、伊地知天、石井芳明、紺野登、石田宏樹
クオンタムリープ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:出井伸之)は、11月29日、一般社団法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ(本社:東京都港区、代表理事:出井伸之)を運営主体としたスタートアップ企業の支援プロジェクト『アドベンチャービレッジ』のローンチイベントを虎ノ門ヒルズフォーラム(東京・港区)にて開催しました。当日は、第一部では、主にアドベンチャービレッジ発足の背景や概要について話し、第二部では各業界のキーマンが登壇しパネルディスカッションを交えるなど、これからの日本の社会の在り方について熱く語り合いました。

※プレスリリース全文は、こちらからご覧ください。
https://prtimes.jp/a/?f=d49379-20191227-8181.pdf


■『アドベンチャービレッジ』発足への思い
日本が経験した三つの敗戦
冒頭の挨拶で、クオンタムリープ株式会社 代表取締役 ファウンダー&CEO 出井伸之は、アドベンチャービレッジ発足への思いを語りました。
「私は三つの日本の敗戦を経験しています。一つは第二次世界大戦、二つ目はプラザ合意、そして三つ目はIT革命の敗北です。日本は戦後、新しい技術を手にし、多くのベンチャー企業が誕生しました。ソニーならトランジスタ、ホンダなら車など、世界の工場と言われるほどダイナミックでした。四季に例えると、春から夏の時代でした。その後日本は、プラザ合意の通貨戦争で敗北し、円高となったため輸入や大型企業の買収など海外に投資するようになり、ガラパゴス化していきました。やがて、1990年のバブルの崩壊で日本経済は崩壊し、それ以降“失われた30年”として社会全体が固まっていきました。その間、アメリカはIT革命を発表し、情報スーパーハイウェイ構想を打ち出すなど積極的にITへ投資し、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のようなプラットフォーマーが誕生しました。中国では、百度、アリババ、テンセントが出てきましたが、日本には誕生しませんでした。気がついたら日本は三つ目の敗戦を味わうことになっていました。それがIT敗戦です。日本はなぜIT革命の波に乗れなかったのか、今でも非常に悔しく思っています」

チャンスは新しい技術とアジアの成長、そしてあるべき日本の社会像
「現在、日本はまだ長い冬の時代です。この時期にこそ、来る春に向けて種を植えるべきだと思うのです。ベンチャーも、大企業も、ベンチャーキャピタルも、1社1社個々に動くのではなく、つながりながら助け合っていくことが必要だと思っています。
これからの日本には、二つのチャンスがあると思っています。一つは、5GやAIやブロックチェーンなど新しい技術を活用した新しいビジネスモデルが台頭してくること。もう一つは、中国、インド、インドネシアなど、アジア諸国が成長していくこと。世界の経済の軸が、欧米中心の大西洋から、アジア中心の太平洋に移行しています。日本もアジアの一国です。こういった好環境の中で、冬の時代から春への移行を実行させるには、日本の社会を変えなくてはいけないと思っています。湧き出るように多くのベンチャーが創出される社会、大企業が全く新しい発想を取り入れながら変革していく社会、デジタルトランスフォーメーション化される社会、これらが重要だと強く思うのです」

It takes a village to raise a child. 子どもが生まれたら村全体で育てよう
「アドベンチャービレッジには、アフリカの古いことわざである「It takes a village to raise a child. (子どもが生まれたら村全体で育てよう)」という精神があります。ベンチャーを子ども、村を社会として考えてみてください。こういった社会が日本で育つには、10年ぐらいかかると思っています。私たちは、まず民間からムーブメントを起こし、社会全体に働きかけていくつもりです。アドベンチャービレッジの目標として、東京湾を中心としたベイエリアをアジアのイノベーションハブにするという思いがあります。東京ベイエリアには、世界中から情報や人も集まるし、新しいものを創り出す力もありますので、非常に大きなビジネスチャンスがあると思うのです。
アドベンチャービレッジがどういう社会を目指し活動していくのかを皆さんに知っていただき、挑戦者、ギバー(人に惜しみなく与える人)つまり応援者、などさまざまな形で、この大きなムーブメントに関わっていただきたいと思っています」

 


■ベンチャーの成長を支える『ギブ アンド ギブン』の精神
次に、アドベンチャービレッジの主旨に賛同された一橋大学 楠木建教授がスピーチをしました。楠木氏は、自身が監訳した、ペンシルバニア大学教授で組織心理学者のアダム・グランド氏の著書『ギブ アンド テイク〜与える人こそ成功する時代〜』を解説しながら、会場に呼びかけました。
「アダム・グランドは人間のタイプをGiver(ギバー)、Taker(テイカー)、Matcher(マッチャー)と三つに分けています。多くの人が考えているギブ アンド テイクは、マッチャーのことを指しているのです。テイカーは何でも取っていく人に解釈されがちですが、実は、先にテイクという目的があり、その手段としてギブをする、このような人をテイカーと呼びます。一方、真逆にいるのがギバーです。ギバーは最終的にテイクをすることはありますが、与える時点では見返り(つまりテイク)を目的としていません。結果、振り返った時に大きな恩恵があるかもしれない。つまり“ギブ アンド ギブン”なのです。それがギバーの考え方で、初めから計算をしていません。では、なぜ人はギバーになるのでしょうか。それはギブする対象が、面白く意義あるものだと思うからです。実現したらどうなるのか見てみたい、その思いが、ギバーがギブする動機です。皆さんも “ギブ アンド ギブン“の精神を持って、アドベンチャービレッジに関わっていただければと思います」


■アドベンチャービレッジは、日本と海外のエコシステムビルダー同士がつながる“場”
続いて、クオンタムリープ株式会社 執行役社長 COO 中村智広が、アドベンチャービレッジの構想の概要について話しました。
アドベンチャービレッジは、東京ベイエリアを世界有数のイノベーションハブの一つにするという目標の下、挑戦者や冒険者があふれ出るような社会をつくるムーブメントを起こす活動をしていきます。その活動は主に、①エコシステムビルダー同士がつながる「場」の醸成、②海外ネットワークの構築・提供、③大規模イベントによる社会運動化の加速、これら3つの軸があります。中村COOは「新しいビジネスモデルや新規事業を創出しようとする人、挑戦しようとする人、エコシステムを作ろうとする人、これら全てをエコシステムビルダーと広く定義しています。また、投資家、ベンチャーキャピタル、コンサルティング、弁護士、会計士の皆さまもエコシステムビルダーとして関わっていただければと思っています」と、新しいことに挑戦する人だけでなく、惜しみなく与える人(ギバー)も一体となって、新しい産業の創出に向け社会を動かしていくことを宣言しました。
さらに、今年の10月に「日仏スタートアップ・クリエイティビティ・チャレンジ」というプログラムをスタートさせたことにも触れ、「スタートアップ育成に力を入れているフランスと日本で、スタートアップが創出される好環境を整えることを目的とした3カ年プロジェクトをスタートさせました。他に、北京・香港・ソウル・シンガポール・インドなど世界数カ国の拠点においても、日本と海外のエコシステムビルダー同士をつなぐ取り組みを進めています。さらに、日本発の次世代の事業や社会の新しい動きや流れなど、日本のメッセージを世界に発信する場としてSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)のような、大規模イベントも行っていきたいと思います。そしてゆくゆくは、ギバーの精神を持った企業から個人までもが集まり、社会運動となるよう進めていくため、大企業の人もメンターとしてアドベンチャービレッジの活動に参加していく仕組みをつくる予定です。」と、構想を語りました」
※アドベンチャービレッジについての詳細は、こちらのプレスリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000049379.html


■クオンタムリープの活動「アクティブシンクタンク」「国内外のエコシステムビルダーとの連携」
クオンタムリープ(株)は、エコシステムビルダーの一つとして活動をしていきます。活動の大きな特徴の一つとして、学者や経営者などで構成する「アクティブシンクタンク」を設立します。アクティブシンクタンクでは、5Gや人工知能(AI)やブロックチェーンなどの新しい技術が進歩して起こるパラダイムシフトに向け、技術を軸にした新しい事業モデルを創出していきます。そして、国内外のエコシステムビルダーとの連携も行います。中村COOは「日本のスタートアップ企業は、海外のエコシステムビルダーやオーナーと事業会社として連携することで、海外展開の確度をあげていくことが非常に大切です。しかし、かなり細かいディティールにわたって連携を進めなければならず、容易ではありません。そのためには、スタートアップ企業の得意分野を成長させつつ、次の段階でエコシステムビルダーと連携し、リレーのようにバトンタッチをする場としてアドベンチャービレッジを活用できるようにしていきます。」と語りました。

■ジェリー・ヤン氏登壇。海外からも注目を集める日本のスタートアップ
海外より、ヤフー!共同創業者 AME Cloud Ventures Founding Partner ジェリー・ヤン氏と、フランスのベンチャーキャピタル ワンラグタイムのファウンダー CEOのステファニー・ホスピタル氏がスピーチをしました。
ジェリー・ヤン氏は「アドベンチャービレッジが成功するには、グローバルな視点とローカルのスタートアップを育成することが必要です。例えば、今ではグローバルに展開するAirbnbやUberはローカルビジネスからスタートしました。日本のマーケットは他国より小さくローカルビジネスをサポートできないと考える人もいますが、似た境遇の他国では成功した例もあります。日本の社会で重要なのは、新しい技術を活用したイノベーションができるという強い信念を、政府や企業や学会の中でも持つことだと思います。スタートアップ企業が成長するには、努力と忍耐が必要です。アメリカや中国では、スタートアップ企業が市場に出て成功を収めるまで10年かかるといわれるほど、成功には長期のコミットメントが必要です。だからこそアドベンチャービレッジのような存在は重要になってくると思います」と語りました。
続いてステファニー・ホスピタル氏は、「フランスでは、長い間、大企業かアメリカで働くことが良いキャリアとされていましたが、2020年の新規雇用データでは全体の約10%がスタートアップ企業でした。フランスがこのような状況になるまで15年かかりましたが、日本がフランスのようにテックカルチャーを生み出すためには四つの柱が必要だと思います。第一の柱は教育です。特にグローバルにビジネスを育てていくための英語力は重要です。第二の柱は、規制の緩和です。国家または政府が経済を解放し法制度を見直し国際的な労働力や人材に投資できるようサポートする必要があります。第三の柱はファイナンスです。大企業やベンチャーキャピタルが、パートナーとしてスタートアップ企業をサポートすることが大事です。そして第四の柱は、変革し世界にインパクトをもたらすエネルギーやモチベーションです。そのためにはイノベーションを起こし社会を変えようとするアントレプレナー精神が重要です。そして女性の活躍などのダイバーシティも大切になってきます。スタートアップ大国になることは、自国を国際的に大きく発展させることにつながります。インスピレーションあふれ活力のある出井さんに、多くの方が続いていってくださればと思います」とスピーチしました。

【第二部】
※プレスリリース全文は、こちらのPDFデータをご覧ください。
https://prtimes.jp/a/?f=d49379-20191227-8181.pdf

■基調パネルディスカッション『新しい事業モデルの創出とギバーの役割』

モデレーター:フォーブスジャパン 副編集長 谷本有香氏
登壇者:慶応義塾大学 環境情報学部 教授・ヤフー株式会社 CSO 安宅和人氏、マネックスグループ株式会社 取締役会長 兼 代表執行役社長CEO松本大氏、国連責任投資原則(PRI) 理事 兼 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) CIO 水野弘道氏、クオンタムリープ株式会社 代表取締役 ファウンダー&CEO 出井伸之

・オープンイノベーションは少しずつ進んでいるが、全ての力が結集しているとはまだ言い難い状況。ギバーから見て、今何が起こっているのか?また、どんな課題があるのか?

・前々から連携はしていこうと言われてきたが、今までなぜうまくいかなかったのか?どうしたらいいのか?また、日本の大きなエコシステムを作るのに何が必要か?

・最後に皆さんがギバーとしてワクワクする領域とは?


■特別パネルディスカッション『アドベンチャービレッジが創出する挑戦者像を描く』
モデレーター:株式会社MM総研 代表取締役所長・元日本経済新聞社 論説委員 関口和一氏
登壇者:アクセンチュア株式会社 執行役員 デジタルコンサルティング本部 統括本部長 立花良範氏、寺田倉庫株式会社 代表取締役社長 CEO 寺田航平氏、株式会社みずほ銀行 執行役員 イノベーション企業支援部長 大櫃直人氏、株式会社アルベルト 代表取締役社長 兼 CEO 松本壮志氏

・今、日本が抱える問題とは何か。その課題を踏まえた上で、日本のベンチャーをどうすればよいか? 技術とリアルを結び付けて新しい事業を生み出すチャンスの時期なのに、日本では動きがなかなか見えないが、どこを狙いどんな仕組みをつくればベンチャーは成功するのか?

・アドベンチャービレッジの成功の秘訣は?


■各界より注目を集めるアドベンチャービレッジ 賛同スピーチ
ONE JAPAN 共同代表 山本将裕氏
Creww株式会社 代表取締役 伊地知天氏
内閣府 政策統括官付 イノベーション創出環境担当 企画官 石井芳明氏
一般社団法人フューチャーセンターアライアンスジャパン 代表理事 多摩大学大学院 教授 紺野登氏
フリービット株式会社 代表取締役会長 石田宏樹氏

■出井伸之からの言葉


※プレスリリース全文は、こちらからご覧ください。
https://prtimes.jp/a/?f=d49379-20191227-8181.pdf


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一般社団法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ(AII)
次世代を担う若手人材を主な対象に、アジアの持続可能な成長と共通課題の解決に向けて新しい社会的価値を提供する事業を生み出すための異業種、産官学、営利・非営利の多様な人材のプラットフォームづくりや国際会議を行い、アジア発のイノベーション創出に寄与することを目的とするNPO法人。代表理事:出井伸之

出井 伸之(いでい・のぶゆき)
【経歴】1937年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1960年ソニー株式会社入社。オーディオ事業部長、ホームビデオ事業本部長、代表取締役社長などを経て、2000年代表取締役会長兼グループCEOに就任。2005年6月に代表取締役会長兼グループCEOを退任後、2006年9 月にクオンタムリープ株式会社を設立。現在は、クオンタムリープ株式会社のファウンダー&CEOとして、大企業変革支援やベンチャー企業の育成支援活動を行う。また、一般社団法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブの代表理事として、『アドベンチャービレッジ』の活動も行う。

クオンタムリープ株式会社
http://qxl.jp/
 

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会社概要

クオンタムリープ株式会社

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URL
https://qxl.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-5-12 パークサイドシックス502
電話番号
03-5785-3968
代表者名
中村智広
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2006年10月