アンガーマネジメント研修が職場における心理的安全性を高める効果
アンガーマネジメントが企業活動を続けていく土台づくりに大きな役割を果たす
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(代表理事 安藤俊介)は研究プロジェクトを組織し、民間企業に対するアンガーマネジメント研修の効果に関するアンケート調査を実施しました。その結果、アンガーマネジメント研修を受けた民間企業の役職者およびその役職者の部下にあたる社員において、複数の項目で一定の効果が見出されました。
【調査概要】
部下を持つ役職者に対して約2時間のアンガーマネジメント研修を実施し、その研修前後でアンケート調査を実施しました。研修は、日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーターの資格を有する講師によって担当されました。
アンケートは下記のとおり4種の対象者別に実施されました。アンケート項目は6件法による26問で構成され、役職者には「A.あなたが仕事を通じて普段感じていること」「B.部下への関わり」について、役職者の部下にあたる社員には「C.あなたが仕事を通じて普段感じていること」「D.上司への関わり」について回答いただきました。
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調査期間:2021年10月~2022年3月
調査対象者:1,268人(管理職179人、一般職1.089人)
調査方法:研修前後にインターネット調査を実施
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<研修実施前>
研修前①:研修受講予定の役職者(部下がいる方)
研修前②:研修受講の予定のない役職者(部下がいる方)
研修前③:研修前①の部下
研修前④:研修前②の部下
<研修実施後>
研修後①:研修前①と同じ対象者(研修受講の役職者)
研修後②:研修前②と同じ対象者(研修非受講の役職者)
研修後③:研修前③と同じ対象者(研修受講者の部下)
研修後④:研修前④と同じ対象者(研修非受講者の部下)
【調査結果】
民間企業4社(計1084人)を分析対象としました。尚、分析に際しては、「受講者(およびその部下)の研修前後の数値の変化と、非受講者(およびその部下)の研修前後の数値の変化、の差」を確認しました。単純な研修前後の比較ではなく、「非受講者(およびその部下)の変化を基準としてどれだけよくなったのか」を検討しています。そのため、役職者に関しては必要なデータ数が取得できた2社を分析対象としています。
1.役職者の効果
2社中2社の企業において、以下の7項目で研修前後に数値の変化がありました。
「私の部署は、チームワークが良く、風通しが良い」
「私は部下と仕事上の課題について十分に話し合えている」
「私は部下を信頼して仕事を任せている」
「私は部下の目標を理解し、指導・育成をしている」
「私は、部下に敬意をもって接している」
「部下に指示・指導する場合、感情的ではなく、適切な自己表現を行っている」
「部下から相談しやすい雰囲気を心がけている」
2.部下への効果
4社中3社の企業において、以下の6項目で研修前後に数値の変化がありました。
「私の部署には、率直に意見や提案ができる風土がある」
「私の部署は、チームワークが良く、風通しが良い」
「私の部署では、ハラスメント(セクハラ・パワハラ)はない」
「私の直属上司は、私の成果や努力を認めて(褒めて)いる」
「私の直属上司は、私を信頼して仕事を任せてくれる」
「私の直属上司は、敬意をもって接してくれる」
このなかで、特に変化値の大きかった2項目の図は下記の通りです。
【研究プロジェクトによる考察】
アンガーマネジメント研修は、主に「職場が安全な環境になること」「上司が対話に応じてくれること」という2つの側面で効果が表れたと解釈できます。アメリカの心理学者ハーズバーグは職場のモチベーションに影響を与える要因を、不満につながる衛生要因と満足につながる動機付け要因に分類しています。ハーズバーグは人間関係を衛生要因と分類しましたが、日本における実証研究では動機づけ要因にもなり得ることが示されています。今回のアンガーマネジメント研修は研修受講者の行動変容を促し、その行動変容が部下の衛生要因に働きかけつつ、動機付け要因にも影響した可能性があると考えられます。
※研究プロジェクトメンバー
松本桂樹(神奈川大学人間科学部)、山崎哲弘(大阪成蹊大学経営学部)、高木修一(大阪公立大学商学部)、
杉山崇(神奈川大学人間科学部)
【安藤俊介代表理事のコメント】
アンガーマネジメントを企業研修として取り入れる企業の数は年々増加をしています。特にハラスメント防止、人権啓発、リーダーシップをはじめ、価値観が多様化する中でのコミュニケーション、チームビルディングなど、あらゆる階層に向けて取り組まれています。
これはアンガーマネジメントを取り入れることで何かが改善されるはずとの期待からのことと思います。
その一方で、アンガーマネジメントを取り入れることで何がどう具体的に改善されるのか、行動変容が期待できるのかについては曖昧な部分もあったように見受けられます。
今回の研究を通じ、アンガーマネジメント研修が職場におけるいわゆる心理的安全性を高めることが効果として認められた点は非常に大きいと考えています。
企業活動は人の集まりにより成り立つものです。人が自らの意思で安心して安全に働けると感じないかぎり生産性の向上は期待できないことは想像に難くありません。
アンガーマネジメント研修は直接的に売上向上、利益といったすぐに目に見える指標としては現れにくいもののように思えるかもしれませんが、企業がゴーイングコンサーンとして活動を続けていく上での、土台づくりに大きな役割を果たすことができると考えています。
【アンガーマネジメントとは】
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手に付き合う(マネジメントする)ための心理トレーニングです。アンガーマネジメントを学ぶことによって、自分自身の怒りを理解し、感情のコントロールをしたり、ポジティブな考えを生み出せ、また周囲との良好な人間関係を成立させることができます。プログラム開発当初は、DVや差別、軽犯罪者に対する矯正プログラムとしてカリフォルニア州を中心に確立され、現在では全米の教育機関や企業でも広く導入され、教育・職場環境の改善、学習・業務パフォーマンスの向上を目的に、長年活用されています。
【厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」委員に就任】
2017年4月、厚生労働省は、職場のパワーハラスメント防止対策を強化するための方策の検討を行うため、有識者や労使関係者からなる「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の設置を発表し、当会代表理事の安藤も委員に就任した。
【アンガーマネジメント 導入実績】
企業:三井物産株式会社、スカイマーク株式会社、日本交通株式会社、SMBCコンサルティング株式会社 等
教育関連:東京都教育委員会、神奈川県教育委員会、奈良県教育委員会、埼玉県立飯能南高校 等
【一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会】
法人名:一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会
代表者:代表理事 安藤俊介
所在地:〒105-0014 東京都港区芝1-5-9 住友不動産芝ビル2号館4F
部下を持つ役職者に対して約2時間のアンガーマネジメント研修を実施し、その研修前後でアンケート調査を実施しました。研修は、日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーターの資格を有する講師によって担当されました。
アンケートは下記のとおり4種の対象者別に実施されました。アンケート項目は6件法による26問で構成され、役職者には「A.あなたが仕事を通じて普段感じていること」「B.部下への関わり」について、役職者の部下にあたる社員には「C.あなたが仕事を通じて普段感じていること」「D.上司への関わり」について回答いただきました。
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調査期間:2021年10月~2022年3月
調査対象者:1,268人(管理職179人、一般職1.089人)
調査方法:研修前後にインターネット調査を実施
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<研修実施前>
研修前①:研修受講予定の役職者(部下がいる方)
研修前②:研修受講の予定のない役職者(部下がいる方)
研修前③:研修前①の部下
研修前④:研修前②の部下
<研修実施後>
研修後①:研修前①と同じ対象者(研修受講の役職者)
研修後②:研修前②と同じ対象者(研修非受講の役職者)
研修後③:研修前③と同じ対象者(研修受講者の部下)
研修後④:研修前④と同じ対象者(研修非受講者の部下)
【調査結果】
民間企業4社(計1084人)を分析対象としました。尚、分析に際しては、「受講者(およびその部下)の研修前後の数値の変化と、非受講者(およびその部下)の研修前後の数値の変化、の差」を確認しました。単純な研修前後の比較ではなく、「非受講者(およびその部下)の変化を基準としてどれだけよくなったのか」を検討しています。そのため、役職者に関しては必要なデータ数が取得できた2社を分析対象としています。
1.役職者の効果
2社中2社の企業において、以下の7項目で研修前後に数値の変化がありました。
「私の部署は、チームワークが良く、風通しが良い」
「私は部下と仕事上の課題について十分に話し合えている」
「私は部下を信頼して仕事を任せている」
「私は部下の目標を理解し、指導・育成をしている」
「私は、部下に敬意をもって接している」
「部下に指示・指導する場合、感情的ではなく、適切な自己表現を行っている」
「部下から相談しやすい雰囲気を心がけている」
2.部下への効果
4社中3社の企業において、以下の6項目で研修前後に数値の変化がありました。
「私の部署には、率直に意見や提案ができる風土がある」
「私の部署は、チームワークが良く、風通しが良い」
「私の部署では、ハラスメント(セクハラ・パワハラ)はない」
「私の直属上司は、私の成果や努力を認めて(褒めて)いる」
「私の直属上司は、私を信頼して仕事を任せてくれる」
「私の直属上司は、敬意をもって接してくれる」
このなかで、特に変化値の大きかった2項目の図は下記の通りです。
【研究プロジェクトによる考察】
アンガーマネジメント研修は、主に「職場が安全な環境になること」「上司が対話に応じてくれること」という2つの側面で効果が表れたと解釈できます。アメリカの心理学者ハーズバーグは職場のモチベーションに影響を与える要因を、不満につながる衛生要因と満足につながる動機付け要因に分類しています。ハーズバーグは人間関係を衛生要因と分類しましたが、日本における実証研究では動機づけ要因にもなり得ることが示されています。今回のアンガーマネジメント研修は研修受講者の行動変容を促し、その行動変容が部下の衛生要因に働きかけつつ、動機付け要因にも影響した可能性があると考えられます。
※研究プロジェクトメンバー
松本桂樹(神奈川大学人間科学部)、山崎哲弘(大阪成蹊大学経営学部)、高木修一(大阪公立大学商学部)、
杉山崇(神奈川大学人間科学部)
【安藤俊介代表理事のコメント】
アンガーマネジメントを企業研修として取り入れる企業の数は年々増加をしています。特にハラスメント防止、人権啓発、リーダーシップをはじめ、価値観が多様化する中でのコミュニケーション、チームビルディングなど、あらゆる階層に向けて取り組まれています。
これはアンガーマネジメントを取り入れることで何かが改善されるはずとの期待からのことと思います。
その一方で、アンガーマネジメントを取り入れることで何がどう具体的に改善されるのか、行動変容が期待できるのかについては曖昧な部分もあったように見受けられます。
今回の研究を通じ、アンガーマネジメント研修が職場におけるいわゆる心理的安全性を高めることが効果として認められた点は非常に大きいと考えています。
企業活動は人の集まりにより成り立つものです。人が自らの意思で安心して安全に働けると感じないかぎり生産性の向上は期待できないことは想像に難くありません。
アンガーマネジメント研修は直接的に売上向上、利益といったすぐに目に見える指標としては現れにくいもののように思えるかもしれませんが、企業がゴーイングコンサーンとして活動を続けていく上での、土台づくりに大きな役割を果たすことができると考えています。
【アンガーマネジメントとは】
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手に付き合う(マネジメントする)ための心理トレーニングです。アンガーマネジメントを学ぶことによって、自分自身の怒りを理解し、感情のコントロールをしたり、ポジティブな考えを生み出せ、また周囲との良好な人間関係を成立させることができます。プログラム開発当初は、DVや差別、軽犯罪者に対する矯正プログラムとしてカリフォルニア州を中心に確立され、現在では全米の教育機関や企業でも広く導入され、教育・職場環境の改善、学習・業務パフォーマンスの向上を目的に、長年活用されています。
【厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」委員に就任】
2017年4月、厚生労働省は、職場のパワーハラスメント防止対策を強化するための方策の検討を行うため、有識者や労使関係者からなる「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の設置を発表し、当会代表理事の安藤も委員に就任した。
【アンガーマネジメント 導入実績】
企業:三井物産株式会社、スカイマーク株式会社、日本交通株式会社、SMBCコンサルティング株式会社 等
教育関連:東京都教育委員会、神奈川県教育委員会、奈良県教育委員会、埼玉県立飯能南高校 等
【一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会】
法人名:一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会
代表者:代表理事 安藤俊介
所在地:〒105-0014 東京都港区芝1-5-9 住友不動産芝ビル2号館4F
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