2024年度ドナーミルクを使用した赤ちゃんの人数1,200人を超える
東京都が新たに導入する支援事業が母乳バンクの活動を後押しします。

一般財団法人日本財団母乳バンク(東京都中央区、理事長:水野克己、以下略:日本財団母乳バンク)は、2024年度の国内における母乳バンクの活動実績を発表しました。国内の母乳バンクは、日本財団母乳バンクと一般社団法人日本母乳バンク協会(代表理事:水野 克己、以下略:日本母乳バンク協会)の2つの法人によって運営されています。2024年度には、国内でドナーミルクを利用した赤ちゃんの数が1,202人に達しました。また、母乳バンクに登録している病院の数は、全国42都道府県で114施設に増加しました。
2024年度母乳バンクの実績(※1)(※2)
ドナーミルクを使用した赤ちゃんの数は前年度の約1.3倍にあたる1,202人(前年度 934人※3)となり、母乳バンクが全国の病院にドナーミルクの提供をはじめた2018年度からの累計では 3,589 人となりました。また、母乳バンクに登録し、ドナーミルクの利用が可能な病院(ドナーミルク使用施設)は、2025年3月末の時点で114施設(前年度は95施設)に増加しました。ドナー登録完了数は748人(前年度607人)に達し、ドナーミルクを使用した赤ちゃんの数およびドナーミルク使用施設の数ともに順調に増加しています。ただし、ドナーミルクを必要とする赤ちゃんの数は年間約5,000人とされており、今後も、必要とするすべての赤ちゃんにドナーミルクが安定的に提供できるよう、ドナーミルク使用施設およびドナー登録施設の拡大が求められます。






●グラフ注釈(※1)
◆ドナー登録データ
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ドナー登録申請数 :1,046人
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ドナー登録完了数(※4): 748人
◆低温殺菌処理データ
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冷凍母乳受領件数(※5):2,244件
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冷凍母乳受領量 (※6) :4,501.958ℓ
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低温殺菌処理量 :3,242.125ℓ
◆ドナーミルク発送データ
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ドナーミルク使用施設数:114施設
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発送量 :2,449.62ℓ
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提供赤ちゃん人数 :1,202人
(※1)日本財団母乳バンクは2022年度より稼働を開始したため、2018年度から2021年度は日本母乳バンク協会のみのデータを使用し、2022年度から2024年度は日本財団母乳バンクと日本母乳バンク協会の合算データを用いています。
(※2) 日本財団母乳バンクおよび日本母乳バンク協会の合算値で公表しています(2025年4月 日本財団母乳バンク調べ)。
(※3) 「ドナーミルクを使用した赤ちゃん人数」年度推移について、前年度データ公表時は、日本財団母乳バンク延べ人数および日本母乳バンク協会ユニーク数で集計していましたが、今年度より両バンクともユニーク数での集計で公表しています。
(※4)ドナー登録施設での問診・血液検査に異常がなくドナー登録完了通知をお送りした人数を集計しています。
(※5) 延べ件数:複数回送っていただいた方も都度新規件数を集計しています。
(※6)ドナーの皆さまからご送付いただいた冷凍母乳の量を集計しています。
東京都が令和7年度「ドナーミルク利用支援事業」を開始
ドナーミルクのさらなる普及を後押しすべく、東京都は全国に先駆けて、令和7年度より「ドナーミルク利用支援事業」を開始します。本事業では、ドナーミルクを必要とする赤ちゃんがドナーミルクを使用できる環境を整えるため、母乳バンクのドナーを登録するドナー登録施設への支援事業とドナーミルク使用施設への支援事業の2本立てで行われることとなります。
東京都ホームページ:
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kyuukyuu/syusankiiryo/donor_milk
今後の事業戦略・展望
日本財団母乳バンクは、ドナーミルクを通じて小さないのちと元気のたすきをつなぐことで、より良い世界を創りだすことを目指しています。
ドナーミルクの需要は高いものの、2024年度末時点で全国のNICUでドナーミルク使用施設は114施設にとどまっています(2025年4月25日時点では、43都道府県115施設)。小さく生まれた赤ちゃんのいのちのたすきをつなぐ選択肢として、どの都道府県でもドナーミルクが利用できるように、日本財団母乳バンクでは、登録が初年度となる病院の新生児集中治療室(NICU)には無償でドナーミルクを提供しています。また、ドナーミルクの安全性と効果について、より多くの医療従事者に周知し、ドナーミルクの導入を促進するために、さまざまな調査研究や成果の発表も行っています。さらに、母乳バンクが当たり前に利用できる社会を実現するため、周知啓発活動にも力を入れています。
代表者コメント

一般社団法人日本財団母乳バンク 理事長 水野克己
日本の母乳バンクは、日本母乳バンク協会が2017年5月に、日本財団母乳バンクが2021年4月に誕生しました。ドナーミルクを利用する赤ちゃんは毎年増加しております。2024年度は全国1,200人を超える赤ちゃんにドナーミルクをお届けすることができ、新生児医療に根付いてきたと感じております。
また、小さく生まれた赤ちゃんの命を助けるために、748人のお母さま方がドナーとしてご協力くださったことに心より感謝を申し上げます。
ドナーミルクの利用により、NICU入院中の赤ちゃんの壊死性腸炎が減少したと報告する新生児科の医師も少なくありません。
一人ひとりの大切な命を健やかに育てていくためにも、栄養の重要性が注目されています。エビデンスを積み重ねていくことで、赤ちゃんのご家族にも安心してご利用いただけるよう取り組んでまいります。これからも母乳バンクの活動を温かく見守っていただけますと幸いです。
母乳バンクとは
母乳バンクは、ご自身のお子さんが必要とする以上に母乳がたくさん出るドナーの方々から母乳を寄付していただき、適切に低温殺菌処理・細菌検査・冷凍保管した後、「ドナーミルク」として病院NICUに入院している早産・1,500g未満の極低出生体重の赤ちゃんに提供する仕組みです。
ドナーミルクの必要性
母乳バンクが対象とする早産・1,500g未満の極低出生体重の赤ちゃんは、壊死性腸炎、未熟児網膜症、慢性肺疾患などさまざまな病気や感染症のリスクにさらされています。このように小さく生まれた赤ちゃんにとって、母乳は必要な栄養素だけでなく、腸の成熟を促す物質も含んでいるため、最適な栄養食かつ薬となります。しかし、早産や特定の理由により母乳が出ない、または与えられない場合があります。このような場合に、⺟乳があげられるようになるまでの間をつなぐのが「ドナーミルク」です。
世界と日本における母乳バンクの歴史
世界で初めての母乳バンクは1909年にウィーンで創設され、現在では世界60ヵ国以上で750か所以上の母乳バンクが運営されています。2002年には世界保健機関(WHO)から、「母親の母乳が得られない場合は、ドナーミルクが第一選択である」という推奨が行われました。日本でも、2017年に一般社団法人日本母乳バンク協会が設立され、2019年7月には、日本小児医療保健協議会栄養委員会から「自母乳が不足する場合や得られない場合、次の選択肢は認可された母乳バンクで低温殺菌されたドナーミルクである」という提言があり、母乳バンクの普及が期待され、ドナーミルクの需要が増えることが予測されました。この背景から、2021年4月に一般財団法人日本財団母乳バンクが設立され、2022年4月から運営を開始しました。現在、日本では一般社団法人日本母乳バンク協会と一般財団法人日本財団母乳バンクの2つの団体が、「日本橋母乳バンク」と「日本財団母乳バンク」・「藤田医科大学病院日本財団母乳バンク」という3つの母乳バンクを運営しています。
日本財団母乳バンク公式ウェブサイト :https://milkbank.or.jp/
日本財団母乳バンク公式インスタグラム:https://www.instagram.com/milkbank_official.jp/
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