【矢作建設工業】繰り返し災害の撲滅に向けた「AIあんぜん指示ボット」の開発
~過去の災害事例を活用し、職員の負荷を減らして安全管理の質を向上~
矢作建設工業株式会社(本社:名古屋市/代表取締役社長:髙柳充広)は、建設現場における繰り返し災害を撲滅するため、AIが工事の進捗に合わせて過去の災害事例を検索・抽出し、チャットで当該事例を配信するシステム「AIあんぜん指示ボット」を開発しました。
国が公表している労働災害事例ではなく、当社の作業所で実際に発生した事例を整理して活用することで、職員や協力会社は、当社が手掛ける工事の規模や建物の用途などに合致した災害事例や事故防止のポイントを確認することができます。
本システムを活用することで、職員は検索の手間をかけることなく適切な安全指示を行うことができるため、繰り返し災害の撲滅につなげることが可能となり、安全管理の質の向上が期待できます。また、職員は効率的に実践経験を積むことができるため、若手職員の早期育成にもつながります。

【システム開発の背景】
当社の安全環境部は、労働災害が発生した場合、「災害の種類」「発生日時」「発生状況」「被災者に関する情報」「災害原因」「事故防止のポイント」を写真付きで簡潔にまとめています(上図)。しかしながら、それらの過去事例はこれまで整理されておらず、効率的な活用ができていなかったため、結果として同種の災害が繰り返し発生したことがありました。そこで、過去15年にわたって蓄積している災害事例を有効活用し、現場職員や作業員に危険に対する「気づき」を与えることで、繰り返し災害の防止につながるのではないかと考え、本システムを開発しました。
【AIあんぜん指示ボットのしくみ】
①翌日の作業予定情報をAIが読み取る
建設現場施工管理サービス「Buildee(ビルディー)調整会議」に入力されている
翌日の作業予定情報をAIが取得・解析
②災害事例を抽出
AIがクラウドストレージ内の災害事例フォルダを検索し、作業内容にマッチする災害事例を抽出
③チャットで配信
抽出した災害事例を、現場向けビジネスチャット「direct(ダイレクト)」で配信(PDF)

【導入のポイント】
①繰り返し災害の防止
当社職員や協力会社の職長は、工事の進捗に合わせて過去に発生した労働災害の事例を確認する
ことができます。これにより、作業リスクに気づくだけでなく、安全に対する感度が高まることで
再発防止意識の向上が期待できるため、繰り返し災害の発生防止につながると考えています。
②職員の負荷を減らす
AIが翌日の作業予定情報を取得・解析して災害事例を抽出・配信するため、
有効な災害事例を探すという職員の負荷を減らすことにつながります。
③若手職員の早期育成
職員は、本システムを活用して安全指示を行うことで、効率的に実践経験を積むことが
できるため、若手職員の早期育成にも資することが期待できます。
なお、現場職員からは、「自分の安全指導に説得力があるように感じる」「朝礼やKY(危険予知)
指導」の際に、具体例を持って話せるようになった」という声がありました。
【今後の展望】
「AIあんぜん指示ボット」は、定期的に現場職員からフィードバックを受けることで、より効果的なツールへと改良していきます。また、将来的には、本システムを安全管理だけでなく品質管理においても活用していきたいと考えています。
今回の「AIあんぜん指示ボット」は、現場の作業予定データと労働災害の過去事例を活用したシステムですが、社内には依然として有用なデータが多く蓄積されています。それらのデータを活用しやすい状態に整理することで、より良い建物を安全に造ることができる環境を整えていきたいと考えています。
以上
~本件に関する問い合わせ先~
矢作建設工業株式会社 経営企画部 担当:石原
〒461-0004 名古屋市東区葵三丁目19番7号
TEL:052-935-2344 FAX:052-935-5806
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