コーン・フェリー「2019年度 世界の報酬動向」調査結果を発表 ~2019年の実質昇給率の世界平均は1.3%に下降予測(2018年は1.5%)~
日本の実質昇給率はインフレ率上昇の影響で昨年1.6%から0.1%に減少|アメリカの実質昇給率はインフレ圧力で低下、イギリスは0.6%に上昇|中国の実質昇給率は3.2%に下降
グローバルな組織コンサルティングファームのコーン・フェリー(NYSE: KFY)は、2019年の世界各国の報酬動向調査結果を発表しました。(コーン・フェリー 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワー14F 日本共同代表:妹尾輝男、高野研一)2019年の実質昇給率の世界平均は1.3%の予測です。2018年の1.5%、2017年の2.3%予測と比較し下降する見込みです。(実質昇給率とは、昇給率予測からインフレ率を調整した数字です)
<各地域、各国の報酬動向>
アジアは実質昇給率が地域別で最も高い
アジアの平均昇給率は、昨年の5.4%から5.6%と上昇が予測されています。インフレ調整後の実質昇給率は2.6%。(昨年の2.8%よりやや減少)中国は、昨年の実質昇給率予測が4.2%だったのに対し、2019年は3.2%と下降予測です。日本の2019年実質昇給率はインフレ率の上昇(0.4%→1.9%)の影響で、昨年の1.6%から0.1%に落ち込む見込みです。
同地域では、昨年より実質昇給率が増加する国が見られます。(ベトナムは昨年の4.6%から4.8%にアップ、シンガポールは昨年の2.3%から3.0%にアップ)
北米はインフレ率の上昇により実質昇給率が低下
アメリカでは、平均3%の昇給が予測されており、これは昨年・一昨年と同じです。 2019年に予想される2.4%のインフレ率調整後の実質昇給率は0.6%で、昨年の1.0%より低下します。カナダの昇給率は2.6%で、実質昇給率は0.6%の見込みです。
西ヨーロッパに比べ、東ヨーロッパは良好
東ヨーロッパでは、2019年の平均昇給率は6.6%の上昇が見込まれています。インフレを考慮した実質昇給率は2.0%と、昨年の1.4%より上昇が見込まれます。西ヨーロッパの平均昇給率は2.5%、インフレ調整後の実質昇給率は0.7%と予想されています。(昨年の実質昇給率0.9%よりダウン)
イギリスは2.5%の昇給見込で、インフレ率1.9%調整後の実質昇給率は0.6%で、ブレグジットで揺れた昨年のマイナス0.5%より上昇の見込みです。ヨーロッパの大国であるフランスとドイツの実質昇給率はそれぞれ0.5%/1.0%と予想されています。
中東の実質昇給率は地域別で下から2番目
中東地域の平均昇給率は昨年度の3.8%に対し、3.6%と見込まれています。 インフレ調整後の実質昇給率は、昨年の0.9%、一昨年の2.5%に対して、0.4%の予測です。アラブ首長国連邦は、3.2%のインフレ率に対して3.9%の昇給率で、実質昇給率は0.7%で昨年のマイナス0.5%より改善します。カタールとレバノンの実質昇給率は下落予想で、カタールの予測はマイナス0.5%、レバノンはマイナス1.7%です。レバノンは、昨年の1.8%、一昨年の6.1%から落ち込みが続くことになります。
アフリカではインフレによる賃金上昇
アフリカでは、平均昇給率が7.7%となるにも関わらず、高インフレの影響で実質昇給率は0.9%にとどまります。エジプトでは、昇給率は15%ですがインフレ率(14.4%)の反映で、実質昇給率は0.6%となります。(昨年実質昇給率はマイナス3.8%)
中南米はインフレ率下降するも実質昇給率が前年下回る
中南米地域の平均昇給率は4.7%上昇と予測されています。インフレ率を加味した実質昇給率は1.3%予測で、昨年の2.1%を下回る見込みです。コロンビアは、2019年のインフレ率は2.9%予測で、昇給率5.0%、実質昇給率は2.1%の見込です。ブラジルは、昇給率4.2%、インフレ率4.3%で実質昇給率はマイナス0.1%の見込みとなっています。
太平洋地域は最も低い実質昇給率
オーストラリア/ニュージーランド地区の昇給率は2.5%と予想され、インフレ調整後の実質昇給率は0.3%です。 オーストラリアは、2.5%の昇給率、2.3%のインフレ率により実質昇給率は0.2%の見込みです。 ニュージーランドでは、2.5%の昇給率が予測され、2.2%のインフレ率予測より実質昇給率は0.3%です。
コーン・フェリー 世界の報酬調査について
「2019年度 世界の報酬動向調査」は、コーン・フェリーが有する報酬データベース(110カ国以上の2万5,000社の2,000万人以上)からデータを抽出し、統計処理したものです。各国の上昇率の予測など詳細数値は以下リンクよりプレスリリース本文をご参照ください。
「2019年度 世界の報酬動向調査」リリース :https://www.kornferry.com/media/sidebar_downloads/JP-PR-KornFerry-2019-Salary-Predictions_JA_20190208.pdf
本件に関する日本の担当:
調査診断サービス マネジャー 岡田靖代 (おかだ やすよ)
調査診断サービス部門の責任者として、報酬調査に加えて、リーダーシップアセスメントのための多面観察調査や社員意識調査など、コーン・フェリーの調査診断ツールを用いたクライアントサービスを行っている。
本調査は2019年の昇給予測を提示し、2017年に作られた2018年の予測と比較しています。また、The Economist Intelligence Unit による2019年のインフレ予測率との比較も行っています。
(高インフレのアルゼンチンは、世界平均/ 地域平均から除外。国の入れ替えが行なわれた地域があります)
コーン・フェリーについて
コーン・フェリーは、グローバルな組織コンサルティングファームです。
クライアントが戦略と人材をシンクロナイズさせることで優れたパフォーマンスを発揮する支援をします。企業の組織構造やポジションとその責任を設計し、クライアントの戦略を実現する人材の採用・選抜を支援します。同時に、社員の処遇・育成・動機付けといった課題についてもコンサルテーションを提供します。
【この件に関するお問い合わせ先】
コーン・フェリー PR & Marketing 川崎晃一
Tel: 03-6267-3600 (代表)/ E-mail: koichi.kawasaki@kornferry.com