一般社団法人日本オムニチャネル協会 2022年 年頭所感
小売・流通、外食などのオムニチャネル化を支援する一般社団法人日本オムニチャネル協会は、2022年の年頭に際し、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
新年、明けましておめでとうございます。謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
小売・流通業にとって2021年は、2020年に続いて新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた1年でした。混雑時の入店制限や顧客との接触機会削減などの感染症対策を余儀なくされ、集客効果を見込むイベント施策を打ち出せない状況が続きました。一方、生活必需品を中心にそろえるスーパーマーケットが売上を伸ばすなど、取り扱う商材によって店舗の明暗がはっきり分かれた年でもありました。
消費者に目を向けると、ECサイトを利用する割合が増加しました。こうした消費行動の変化を機に、これまで実店舗主体だった小売事業者がEC事業に本腰を入れるなど、小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きく前進しました。実店舗でも非接触を想定したセルフレジやキャッシュレス決済の導入が進み、来店者の“購買体験”が大きく変わった年となりました。
2022年は店舗や消費者のこうした変化を受け、“モノの売り方”が大きく変わる年になります。小売業は実店舗とECサイトの連携だけにとどまらず、消費者向けに商品の在庫情報を可視化したり、ECサイトでも販売員による手厚い接客サービスを提供したりすることが求められるようになるでしょう。これらは一例にすぎず、小売事業者は良質な購買体験を模索し、店舗内外で顧客満足度を高める施策を検討する必要に迫られるでしょう。そのためにはDXをさらに加速し、既存事業にとらわれないビジネスモデル創出を目指さなくてはなりません。
日本オムニチャネル協会では、2022年はオムニチャネルの定義が変わる1年になると予測します。顧客とのタッチポイント創出や増加を目指すオムニチャネルの考え方から、商品開発や物流、コールセンターなどとの連携を前提とした広義のオムニチャネルへとシフトするでしょう。モノの売り方が変わろうとする中、従来のオムニチャネルでは新たな購買体験を創出できません。商品の製造から物流、販売、消費までを包含するサプライチェーンや、顧客接点を持つコールセンターをいかに活用するか。これらを駆使して新たな消費者ニーズに応えることが、次代に求められるオムニチャネル像と言えるでしょう。
そこで日本オムニチャネル協会は2022年、広義なオムニチャネルを描くための支援を推進します。購買体験創出に不可欠な要素として「CX(顧客体験)」「サプライチェーン」「CX(従業員体験)」の3つを定義し、これらを軸に具体的な取り組み内容の議論を深めていきます。日本オムニチャネル協会では、「商品」「売場」「販促」「CS」「物流」「管理」の6つの分科会が活動主体となって課題解決に取り組んでいますが、広義なオムニチャネルについて議論を深められる体制を模索します。
日本オムニチャネル協会に参加する企業・団体の業種も広げます。例えば、サプライチェーンを前提とした新たな購買体験創出には、商品を企画・開発するメーカーや、商品の保管や梱包、配送を担う物流事業者などとの共創が欠かせません。そこで、小売事業者やシステム会社の参加にとどまらず、より多くの業界に属する企業・団体に参加してもらい、さまざまな意見や提案を集約する協会づくりを進めていきます。
さらに今後は、業界の垣根を超えた共創も見据えます。金融や教育、エンターテインメント業界などとの共創による新たな購買体験創出を目指します。“モノを売る”という小売業の本質を、さまざまな企業・団体とともに追求していきます。
日本オムニチャネル協会は2022年も、店舗を持つ事業会社の新たな顧客・購買体験創出を、会員同士の共創によって支援していく考えです。会員同士の議論を通じて課題解決を図るとともに、実践的なスキル習得などの人材育成にも注力し、DXとオムニチャネルを通じた日本の発展に貢献していきます。
2022年1月4日
一般社団法人日本オムニチャネル協会
会長 鈴木康弘
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なお、小売・流通業の今後の展望や、DXを進める上で必要なポイントなど、本リリースで紹介しきれなかった内容については、Webメディア「DXマガジン」に掲載します。合わせてご覧ください。
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