オーガニックファーム金沢大地、コウノトリ育む農地保全増進活動で環境省「自然共生サイト」に認定
「有機農業」×「ネイチャーポジティブ」で国の特別天然記念物「コウノトリ」のヒナが3年連続誕生《有機JAS認定農場では日本初の認定》
株式会社金沢大地(本社:石川県金沢市、代表取締役:井村 辰二郎)は、金沢市郊外の有機農場における「コウノトリ育む農地保全増進活動実施計画」により、環境省が推進する「自然共生サイト」(※1)に認定されました。
1997年から25年以上にわたる有機農業の生業を通じて、金沢大地の有機農場内には豊かな生態系が育まれ、多種多様な水鳥や猛禽類の餌場としても機能しています。2023年からは3年連続で国の特別天然記念物である「コウノトリ」のヒナが誕生し、この有機農場は、生態系ピラミッドの頂点にあるコウノトリの生息地・繁殖地として重要な役割を果たしています。
この豊かな生態系を持つ湿地帯は、生物多様性の損失を止めて回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の起点となりうるサイトであり、生活者とのつながりを大切にしながら「有機農業の推進」を通じて生物多様性の保全を図る活動は「社会的にも価値のある自然共生サイト」として評価されました。なお、有機JAS認定の有機農場としては日本初の認定です。
■ 認定の意義
「自然共生サイト」認定は、生物多様性の損失を止めて反転させる「ネイチャーポジティブ」の実現に向けた重要な取り組みです。2023年に閣議決定された「生物多様性国家戦略」(※2)には「2030年ネイチャーポジティブ」を達成するための5つの基本戦略が掲げられています。2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際目標「30by30目標」の達成にも貢献します。


※1「自然共生サイト」とは
環境省では、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」に認定するしくみを令和5年度(2023年度)から開始し、今回(令和7年度(2025年度)第1回)、2025年4月に施行された「地域生物多様性増進法」に基づく初めての認定として、201か所を自然共生サイトに認定しました。
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
※2「生物多様性国家戦略」について
https://www.env.go.jp/nature/biodiversity/initiatives6.html
背景と計画概要
■実施区域の概況
このたび「自然共生サイト」に認定された実施区域は、石川県の4市町村にまたがる河北潟干拓地(国の事業により開発された農地)に位置します。地元農家の五代目・井村 辰二郎は1997年の新規就農時から有機農業に転換し、現在、同地域内で計90haの有機認定圃場を耕作しています。また、農産加工品メーカー「株式会社金沢大地」として、当サイトで収穫する有機農産物を原料にさまざまな商品を開発・販売しています。
25年以上の有機農業により、サイト内には豊かな生態系が育まれ、2023年からは3年連続で特別天然記念物「コウノトリ」のヒナが誕生し、計8羽のヒナが着実に巣立っています。多種多様な水鳥や猛禽類の餌場となっている湿地帯は「ネイチャーポジティブ」の起点となりうるサイトであり、生活者とのつながりによる有機農業推進を通じて生物多様性の保全を図る活動は「社会的にも価値のある自然共生サイト」として評価されました。



■活動の目標
自然資本の恵みを享受する農業の中でも、有機農業を継続することで、「サステナビリティ」や「ネイチャーポジティブ」が実現できることを社会に広く伝えていき、結果として、有機農業の推進や、生産者・実需者・生活者の強固な関係性の構築につなげることを目指しています。
■実施活動計画の内容と生き物モニタリング計画
農薬・化学肥料を使用しない「有機農業」を継続することで、サイト内の水田、土壌、近隣の水路などの生物多様性と生態系の保全へとつなげます。
生き物モニタリングでは、次のような活動を実施する予定です。
①第一区域の有機圃場の冬水田んぼでは、カエル類、ドジョウ類を中心とした水生生物、および陸生生物の定期モニタリングを行います。
②コウノトリの巣塔では、コウノトリの繁殖期である2月~7月頃に遠隔地設置のカメラを通じて、コウノトリ人工巣塔のライブ配信・定点観測を行います。
③サイト全体において、ハクチョウ、チュウヒなどの野鳥の観察・モニタリングを行います。
■実施体制
モニタリングは、有識者である金沢大学名誉教授の中村浩二氏および動植物の専門家チームの協力により、金沢大地グループ従業員のほか、小・中・高・大学生、市民らの環境教育・自然体験・ボランティア活動とも連携して、実施していく予定です。
株式会社金沢大地 代表取締役 井村 辰二郎 コメント
◼️30by30 自然共生サイト認定に寄せて

私たちが耕す有機圃場が、環境省の30by30 自然共生サイトに認定されました。
1997年に、家業の農業を継いで有機農業に挑戦する際、私は二つの理念を掲げました。
1. 持続可能な農業
2. 生物多様性に資する農業
この考えをまとめたグループの理念が「千年産業を目指して」です。
「井村さんはなぜ有機農業を志したのですか?」よく聞かれる質問です。
さまざまな理由があるのですが、生物多様性の理念は、おそらく私が生まれ育った時代の環境変化が深く関係しています。
汽水湖「河北潟」周辺の湿地帯、水田地帯で生まれ育った私は、魚や虫取りが大好きで、毎日のように田畑を飛び回って遊んでいました。その時代は、日本が高度成長期の時代で、農村でも区画整備や農薬の普及によって環境が激変し、生物多様性の損失があり、その変化を一番近いところで見て、観察し、疑問に、不思議に感じて成長しました。
私が小学校一年生の頃に、「コウノトリ」と「トキ」、日本のシンボル的な野鳥が絶滅しました。
有機農業を開始して20年ぐらいの頃に、その「コウノトリ」が豊岡市から飛来し、今では繁殖地となりました。まさに、「ネイチャーポジティブ」の一つの事象を体験することになったのです。
世界が話し合う、持続可能な社会の実現に向けた重要な目標に、「カーボンニュートラル」と「ネイチャーポジティブ」があります。近年は両立させるための技術開発や政策、企業活動が活発に行われています。「カーボンニュートラル」とは温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指し、「ネイチャーポジティブ」とは生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを目指す取り組みです。
後者は、日本ではまだ広く知られていませんが、私たちは、「30by30アライアンス」に参加し、「自然共生サイト」の認定を受け、その取り組みをさらに深化させて、有機農業の実践を通じ、自然資本により成り立つ農業を持続可能な営みとして継承し続けたいと考えております。
私たちは、皆様の応援で生かされている有機農業の生業を、大切に守っていきます。
今後も、応援していただけると嬉しく思います。ありがとうございました。
■「令和7年度 自然共生サイト認定式」について
1. 開催日時:2025年9月30日(火) 14:00~17:30(予定)
2. 開催場所:砂防会館(東京都千代田区平河町2-7-4)
3. プログラム「第一部」の「認定証授与式(代表サイト)」において、株式会社金沢大地 代表取締役 井村 辰二郎は、優良事例のうち1者として代表授与を受ける予定です。
〈金沢大地〉について
金沢大地グループは、「千年産業を目指して」を経営理念とし、石川県で環境保全型農業・有機農業を営むオーガニックファームです。
グローバル化が進む世界においても、有機農業を通じて、地域や世界の「サステナビリティ」や「生物文化多様性」を大切にしています。金沢郊外や奥能登の耕作放棄地を中心に耕し、日本最大規模の広大な農地(約180ha)で、米、大麦、小麦、大豆、蕎麦、ブドウなどを生産。また、自社農場の有機農産物を主原料として、暮らしに身近な調味料や加工品も幅広く企画・製造・販売しています。

1997年に有機農業を始めた金沢大地の金沢郊外の農場には、2020年頃から国の特別天然記念物「コウノトリ」が飛来するようになりました。30年近く有機農業を続けてきたことで生物多様性が豊かになり、2023年から3年連続で待望のヒナが誕生し、着実に巣立っていくようにもなりました。金沢大地のオーガニック食品を食べて応援してくださる生活者のおかげで、有機農業を続けることができ、コウノトリもすくすくと子育てができる餌場が保たれ、豊かな自然環境が守られる好循環がうまれています。
○〈金沢大地〉HP
本件に関するお問い合わせ先
株式会社金沢大地 広報担当:川本
電話: 076-257-8818 (平日9:00-12:00 / 13:00-17:00)
メール: press@k-daichi.com
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