奈良漬製造の奈良屋本店、奈良県SDGs企業認証制度の「アドバンス企業」に認定。使用済み酒粕のアップサイクルや地産地消の徹底が評価
奈良漬メーカーとしては現在、奈良県唯一のJAS(日本農林規格)認証を取得し、奈良県内で製造を完結させる体制を構築。今後も地元の特産品を使った新しい奈良漬の開発や、伝統工芸とのコラボで奈良漬文化を未来へ

昭和22年創業の奈良屋本店(奈良市紀寺町、代表取締役:増田幸彦)は、2022年にSDGs宣言を行い、その3年後の2025年10月7日に、奈良県がSDGs推進企業を認定する「奈良県SDGs企業認証制度」において、上位区分の「アドバンス企業」に認定されました。奈良産の野菜を奈良の酒粕で漬け込む“地産地消”を25年前から実践し、使用済み酒粕のアップサイクルや科学的研究、伝統工芸とのコラボレーションなど、持続可能な取り組みが評価されました。今後も1300年続く奈良漬文化を未来へと継承してまいります。
奈良屋本店:https://narayahonten.com
1. SDGsアドバンス認定
奈良屋本店は、使用済み酒粕のアップサイクル(堆肥・土壌改良材)や、奈良産原料にこだわった製造体制を通じて循環型社会の実現を目指しています。これらの取り組みが評価され、「奈良県SDGs企業認証制度」の上位区分である「アドバンス企業」に認定されました。今後は、年間処理量の数値化など、環境負荷低減の効果をより明確に示してまいります。

2.地産地消
奈良屋本店は25年前から、奈良漬における“地産地消”に着手しました。当時はまだその言葉が一般的ではありませんでしたが、生産者との信頼関係を築きながら、大和丸茄子や三尺胡瓜といった奈良伝統野菜の栽培を復活させました。酒粕には、春鹿酒造(奈良市)の清酒粕を使用。世界遺産・春日原始林の湧水がもたらす清らかな水脈「清水町」に立地し、古代ギリシャ哲学者タレスの言葉「万物の根源は水である」に通じる精神で、奈良の水文化を今に伝えています。
3. 奈良県唯一のJAS認定奈良漬メーカー
奈良屋本店は、現在奈良県内で唯一JAS(日本農林規格)認証を取得した奈良漬メーカーです。OEMに依存せず、塩漬けから本漬け、包装まで全工程を奈良県内で完結。厳格な品質基準を満たし、安全・安心な製品を提供しています。
4. 科学的裏付けと研究連携
奈良先端科学技術大学院大学との共同研究により、奈良屋本店の奈良漬から「フルクチバシラス・フルクチボランス」という乳酸菌が92.2%検出されました。この菌は発酵・熟成の過程で“まろやかさ”や“深いコク”を形成する鍵であり、奈良漬の美味しさを科学的に裏付けるものです。また、使用済み酒粕にGABAが含まれていることも確認され、機能性食品としての新たな価値が広がっています。

奈良先端科学大学院大学の研究結果
奈良屋本店は、奈良先端科学技術院大学様との共同研究で、当店の奈良漬には、「フルクチバシラス・フルクチボランス」という乳酸菌が非常に多く含まれていることが判明しました。
今後は奈良漬という食文化が、何故1300年もの間、人々に愛されてきたのか。その謎に迫りたいと考えています。
当店でも独自の経験から、塩分濃度の測定にはモール法を使用し、正確なデータを導き出しています。

モール法による塩分濃度分析
屈折の原理を利用したデジタル計では求められない、より正確なデータを日々管理しています。
データを重視。しかしながら、データを基盤とした「勘」も重視。
その中でもデータを基盤として根拠のある勘こそが、重要だと考えています。
昨年・今年で奈良で収穫された胡瓜は、現在、約7万本が静かに発酵を進めて、酒粕による熟成の時を待っています。
野菜の持つ、クロロフィルが発酵により分解されて、野菜自体が持つ、カロテノイドが表面化することによる色の変化。
醗酵の進行によって、野菜の組織壁がゆるやかに分解されて浮かび上がる「皺」。これらの野菜の声に耳を傾けることが出来るのも奈良屋本店の特権です。

奈良市で収穫されて、約一年塩漬けにされた胡瓜。発酵されることにより、酸性環境を生み出し、腐敗菌の繁殖を防ぐことで長期保存が可能となります。
5. 新しい野菜を使った挑戦
従来の瓜や胡瓜に加え、奈良特産の「古都華いちご」を奈良漬にする試みを進めています。芳醇な酒粕の香りといちごの甘酸っぱさが調和し、新しいデザートのような味わいを実現。さらに、自然農法による「菊芋」「ヤーコン」の試作も進行中で、「ズッキーニ奈良漬」は既に商品化され好評を博しています。これらの挑戦を通じ、地域農業との連携をより強化しています。

「古都華いちご」を奈良漬に。
奈良屋本店では約一年前から、「古都華いちご」を奈良漬に、というチャレンジをしています。
あと数か月で熟成も完了して商品になる前夜です。
日々のモニタリングが欠かせません。
6. 赤膚焼「奈良絵」とのコラボレーション
約400年の歴史を誇る赤膚焼・大塩正人窯と協働し、奈良の伝統美を表現した「奈良絵」モチーフの新パッケージを開発中です。奈良漬を単なる食品ではなく、“奈良文化を伝える贈り物”として提案し、観光・ギフト需要にも応えます。

奈良漬を通じて奈良のガストロノミーを発信
奈良漬と共に、奈良の歴史・文化・伝統を現わして奈良の魅力をより強く発信したいと考えています。
約400年の歴史を有する、赤膚焼・大塩正人窯様のご協力を頂き、「奈良絵」をモチーフにした商品パッケージを検討中です。
7. 今後の展望
奈良県は農産物の収穫量・自給率が全国ワースト3という厳しい現状にあります。その中で奈良屋本店は「奈良野菜を奈良の伝統食品に」という理念のもと、生産農家との協働を広げ、地元産原料比率を高めていきます。哲学「我思う、ゆえに我あり」を軸に、伝統を問い直し、科学と文化を融合させた新しい奈良漬を創造します。
効率ではなく“効果的”なものづくりを追求し、奈良の魅力を世界へ発信してまいります。
【会社概要】
社名:奈良屋本店
所在地:奈良市紀寺町1060
事業内容:奈良漬製造販売(奈良産野菜と春鹿酒造の酒粕を使用)/酒粕のアップサイクル事業
認証:奈良県唯一のJAS認定奈良漬メーカー、奈良県SDGsアドバンス認証
【お問い合わせ先】
奈良屋本店
TEL:0742-22-4163
E-mail:naraya@m3.kcn.ne.jp
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