量子アルゴリズムのスタートアップQuanmatic社、汎用ソフトウェアQANMLに、大規模問題の求解を可能にするアルゴリズム「リボアニーリング法」を追加
■QANMLについて
現状の量子関連技術には、ハードウェアの不完全性や計算原理の性質によって、問題規模の制限や、良解の安定取得が難しいという課題があります。
Quanmatic社は、これらの課題を解決するために、2023年7月に量子計算効率化アルゴリズムの汎用ソフトウェア「QANML」をリリースしました。これまで、使用する変数の個数を削減するダークスピン法と、良解への収束性を高めるマルチスピンフリップ法を搭載しました(*1)。
■リボアニーリング法の特徴
今回新たに、早稲田大学戸川研究室の研究(*2)に基づく「リボアニーリング法」を搭載しました。本手法では、問題の分割・アニーリングを自動的に繰り返すことで、問題規模の制限という課題を緩和します。本手法の適用により、実問題で多いといわれる100万ビット規模の問題も、アニーリング式量子コンピュータを用いて求解可能にします。50万ビット程度の問題でも、本手法を使わない場合に比べて5〜10%解精度の向上が見込まれます。
搭載したアルゴリズムは汎用性が高く、アニーリング式量子コンピュータにおいて、QUBO(*3)(もしくはイジングモデル)で表現可能なあらゆる組合せ最適化問題に対して適用可能です。
本アルゴリズムによって、これまで制限されていた規模の問題に対してもアニーリングが可能になり、現実世界の組合せ最適化問題への活用事例を広げることができると考えられます。
■今後の展望
今後も検証、改善を進めて、最適な分割サイズ等のパラメータを自動的に探索するアルゴリズムや、ゲート式量子コンピュータでの最適化手法に対して、本手法を適用するアルゴリズムの搭載を構想しています。
当面、QANMLはQuanmatic社内利用により性能を高め、SaaSによるリリースを目指します。
今後もQuanmatic社は継続して、アルゴリズムの力を活用した量子技術の早期活用を推進してまいります。
■QANML HP:https://quanmatic.com/product/qanml/
(*1)ダークスピン法の詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000117406.html
マルチスピンフリップ法の詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000117406.html
(*2)T. Noguchi, K. Fukada, S. Bao and N. Togawa, "Trip Planning Based on subQUBO Annealing," in IEEE Access, vol. 11, pp. 100383-100395, 2023, doi: 10.1109/ACCESS.2023.3314498.
(*3)QUBO:Quadratic Unconstrained Binary Optimization (二次制約なし二値最適化)
株式会社Quanmaticについて
Quanmatic社は、アルゴリズム開発を通じた量子技術の早期活用の実現を目指し、早稲田大学戸川望教授(Chief Scientific Officer)の研究シーズを元に、CEO古賀純隆、慶應義塾大学田中宗准教授(Chief Technology Officer)とChief Product Officer武笠陽介の4名で2022年10月に設立しました。アルゴリズム知財と研究成果をビジネス課題に適用するための最適化エンジンの開発を継続して進め、ハードウェアに依存しない汎用的な量子計算技術の効率化ソリューションを展開します。
設立:2022年10月
所在地:東京都新宿区西早稲田一丁目22番3号
代表取締役:古賀純隆
■本リリースに関するお問合せ先
Mail: info@quanmatic.com
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