中小企業の冬季賞与及びインフレ手当に関する実態調査
株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所によるレポート
日本企業の多くは夏、冬の年2回、賞与(ボーナス)の支給を行うことが一般的ですが、賞与の支給方法や支給額は法律の定めがなく、賞与は企業独自で決定する「特別手当」の一種です。今回、エフアンドエムクラブ(※1)の会員企業に対して、2022年冬季賞与の支給に関するアンケート調査を行い、2,082社から回答を得ました。この結果を基に中小企業における賞与支給状況や平均金額について、業種や従業員規模別にまとめました。また最近では、いわゆる「インフレ手当」と呼ばれる特別手当が話題となっています。昨年から続く物価高騰を考慮し、従業員の生活を支援する目的で支給する手当のことですが、これについてもあわせて実態調査を行いました。
※1 弊社が提供している中小企業の労働生産性向上を支援する公的制度・人事・労務・財務・IT活用のサブスクサービスの名称
調査期間:2022年11月1日~2022年11月30日
※1 弊社が提供している中小企業の労働生産性向上を支援する公的制度・人事・労務・財務・IT活用のサブスクサービスの名称
調査期間:2022年11月1日~2022年11月30日
1.中小企業の2022年冬季賞与支給の実態
まず2022年冬季賞与の支給額について、支給対象者を正社員とパート社員に分けて尋ねたところ、正社員では「21~40万円」と回答した企業が46%で最も多く、続いて「1~20万円」と回答した企業が24%で、あわせて 全体の70%を占めた。一方で「0円」、つまり支給していないと回答した企業が13%あった。パート社員では「0円」が 49%、「1~10万円」が42%であった。 次に昨年支給額と比較した増減について、正社員では76%、パート社員では94%の企業が「ほぼ変わらない」と 回答しており、2021年冬季の賞与支給と大きく変化がないことがわかる。
賞与を支給している企業の平均支給額は正社員26.8万円、パート社員3.4万円であった。業種別にみると不動産業(31.6万円)、IT関連業(31.1万円)が高く、飲食業・宿泊業(10.4万円)が低い傾向にある。従業員規模別にみると、正社員の支給額は300名以下の企業ではいずれも20万円台で、大きな差がないことがわかる。厚生 労働省が公表している「毎月勤労統計調査」では、従業員規模に比例して平均支給額が増加する結果となっているが、今回の調査ではその傾向は見られなかった。
2.インフレ手当の導入状況と支給方法
ここからは、インフレ手当の導入状況や支給方法についてみていく。「インフレ手当等を支給している」と回答した企業は2,082社のうち12%であった。一方で「インフレ手当等の取り組みは行っていない」と回答した企業が84%で、全体としてはインフレ手当の支給に消極的な結果となった。ニュース等で取り上げられる大企業と比較すると、中小企業ではインフレ手当等の制度導入が進んでいないのが実態といえる。
「その他(4%)」を選択した企業の回答内容をみると「今後の支給を検討している」という回答が多かった。ほかにも「ガソリン等高騰しているため、通勤手当の見直しをした」、「冬季賞与に上乗せする」、「扶養家族がいる社員の家族手当を増額した」といった回答が見られ、これらの企業ではインフレ手当にこだわらず独自の対応を行っていることがわかった。
3.まとめ
今回の結果から、中小企業の8割以上が2022年冬季賞与の支給を実施していることがわかった。一方で、インフレ 手当については、中小企業の多くは支給していないことも読み取れた。物価高騰により実質的な賃金が減少すると、従業員の暮らしが不安定になり、また企業への不満も溜まりやすくなることから、本来は物価動向に応じて賃上げなどを行うことが望ましい。とはいえ、企業としても原材料・燃料価格高騰の影響を値上げに反映できず、賃金上昇させる余力がないという事例も多い。
そのような事業者の負担を軽減するため、国や地方自治体では「物価高騰給付金」を創設し企業を支援している。また、中小企業が前年度より従業員の給与を増額した場合に法人税の税額控除を受けられる「賃上げ促進税制」という制度もある。これらの制度を状況に応じて活用しながら事業を行うことで、従業員の生活を支え働く意欲向上に繋げることができるだろう。
このような支援策や優遇税制を適切に活用するためには、日頃から情報収集を欠かさず自社の状況と照らして判断することが重要だ。エフアンドエムクラブでは、会員企業向けの公式LINEアカウント「補助金はやみ」にて、国・地方自治体の支援策に関する情報提供を行っている。自社の資金繰りを把握するための簡易資金繰り表および収益計画表の作成支援も行っているため、あわせて活用することでぜひこの不安定な経済状況を乗り切る一助としていただければと思う。また、賞与や特別手当の支給、賃上げ等を検討する機会が増加するにつれ、評価制度の策定や賃金テーブルの見直し等を行う企業が増えている。このような人事評価や賃金設計に関する相談についても、専門アドバイザーによるオンライン面談等で対応しているため、これを機に制度の見直しを行う場合は事前にご相談いただきたい。今後もエフアンドエムクラブでは各種情報提供だけでなく、様々なサポートを通じて中小・零細企業のバックオフィス強化に努めていく。
>>>レポート全文はこちら
https://www.fmltd.co.jp/info_cat/chushou
まず2022年冬季賞与の支給額について、支給対象者を正社員とパート社員に分けて尋ねたところ、正社員では「21~40万円」と回答した企業が46%で最も多く、続いて「1~20万円」と回答した企業が24%で、あわせて 全体の70%を占めた。一方で「0円」、つまり支給していないと回答した企業が13%あった。パート社員では「0円」が 49%、「1~10万円」が42%であった。 次に昨年支給額と比較した増減について、正社員では76%、パート社員では94%の企業が「ほぼ変わらない」と 回答しており、2021年冬季の賞与支給と大きく変化がないことがわかる。
賞与を支給している企業の平均支給額は正社員26.8万円、パート社員3.4万円であった。業種別にみると不動産業(31.6万円)、IT関連業(31.1万円)が高く、飲食業・宿泊業(10.4万円)が低い傾向にある。従業員規模別にみると、正社員の支給額は300名以下の企業ではいずれも20万円台で、大きな差がないことがわかる。厚生 労働省が公表している「毎月勤労統計調査」では、従業員規模に比例して平均支給額が増加する結果となっているが、今回の調査ではその傾向は見られなかった。
2.インフレ手当の導入状況と支給方法
ここからは、インフレ手当の導入状況や支給方法についてみていく。「インフレ手当等を支給している」と回答した企業は2,082社のうち12%であった。一方で「インフレ手当等の取り組みは行っていない」と回答した企業が84%で、全体としてはインフレ手当の支給に消極的な結果となった。ニュース等で取り上げられる大企業と比較すると、中小企業ではインフレ手当等の制度導入が進んでいないのが実態といえる。
「その他(4%)」を選択した企業の回答内容をみると「今後の支給を検討している」という回答が多かった。ほかにも「ガソリン等高騰しているため、通勤手当の見直しをした」、「冬季賞与に上乗せする」、「扶養家族がいる社員の家族手当を増額した」といった回答が見られ、これらの企業ではインフレ手当にこだわらず独自の対応を行っていることがわかった。
導入している企業における支給方法の内訳は「恒久的な賃上げ(8%)」「、一時金(3%)」「、期間を定めて支給(1%)」となった。「恒久的な賃上げ」の月額賃金上昇額は「5千~1万円」が最も多く34%であった。「一時金」の1人あたり支給額は「3~5万円」が35%、「1~3万円」「5~10万円」が25%となった。「期間を定めて支給する」場合は、支給期間は「6か月超1年未満(47%)」、支給金額は恒久的な賃上げと同様、1人あたり月額「5千~1万円40%」がそれぞれ最も多かった。
3.まとめ
今回の結果から、中小企業の8割以上が2022年冬季賞与の支給を実施していることがわかった。一方で、インフレ 手当については、中小企業の多くは支給していないことも読み取れた。物価高騰により実質的な賃金が減少すると、従業員の暮らしが不安定になり、また企業への不満も溜まりやすくなることから、本来は物価動向に応じて賃上げなどを行うことが望ましい。とはいえ、企業としても原材料・燃料価格高騰の影響を値上げに反映できず、賃金上昇させる余力がないという事例も多い。
そのような事業者の負担を軽減するため、国や地方自治体では「物価高騰給付金」を創設し企業を支援している。また、中小企業が前年度より従業員の給与を増額した場合に法人税の税額控除を受けられる「賃上げ促進税制」という制度もある。これらの制度を状況に応じて活用しながら事業を行うことで、従業員の生活を支え働く意欲向上に繋げることができるだろう。
このような支援策や優遇税制を適切に活用するためには、日頃から情報収集を欠かさず自社の状況と照らして判断することが重要だ。エフアンドエムクラブでは、会員企業向けの公式LINEアカウント「補助金はやみ」にて、国・地方自治体の支援策に関する情報提供を行っている。自社の資金繰りを把握するための簡易資金繰り表および収益計画表の作成支援も行っているため、あわせて活用することでぜひこの不安定な経済状況を乗り切る一助としていただければと思う。また、賞与や特別手当の支給、賃上げ等を検討する機会が増加するにつれ、評価制度の策定や賃金テーブルの見直し等を行う企業が増えている。このような人事評価や賃金設計に関する相談についても、専門アドバイザーによるオンライン面談等で対応しているため、これを機に制度の見直しを行う場合は事前にご相談いただきたい。今後もエフアンドエムクラブでは各種情報提供だけでなく、様々なサポートを通じて中小・零細企業のバックオフィス強化に努めていく。
>>>レポート全文はこちら
https://www.fmltd.co.jp/info_cat/chushou
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像