【一級・二級建築士の働き方と報酬への本音】約半数が「適正報酬を得られていない」と回答原因は「多層請負」や「価格競争の激化」
〜8割以上が、建築費用の原価把握を希望〜
建築市場株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役:天野智弘)は、一都三県で就業する建築士103名を対象に、建築士の働き方と報酬に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。

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01|建築士の約半数が、報酬は「専門性や業務量に見合っていない」と実感
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02|報酬が見合わないと感じている建築士の57.4%が、設計変更や追加要望に無償・低価格で対応
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03|建築士の85.4%が、建築費用の原価構造把握を希望も、54.3%がコスト構造の不透明さで代替案提案が困難
■調査概要
調査名称:建築士の働き方と報酬に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2025年11月19日〜同年11月26日
有効回答:一都三県で就業する建築士103名
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「建築市場株式会社」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
■建築士の65.0%が、施主から「直接受注」
「Q1. あなたが関わる案件の受発注構造について、ご自身の立場に最も近いものを1つだけ選んでください。」(n=103)と質問したところ、「主に施主から直接、設計・監理業務を受注している(元請け)」が65.0%、「主にデベロッパーや建設会社から、設計業務を受注している(一次下請け)」が16.5%という回答となりました。

・主に施主から直接、設計・監理業務を受注している(元請け):65.0%
・主にデベロッパーや建設会社から、設計業務を受注している(一次下請け):16.5%
・主に設計事務所から、設計業務の一部を受注している(二次下請け以降):10.7%
・上記の複数の立場を同程度で経験している:5.8%
・その他:1.9%
■約半数の建築士が、報酬は「専門性や業務量に見合っていない」と実感
「Q2. 現在の報酬は、ご自身の専門性や業務量に見合っていると思いますか。」(n=103)と質問したところ、「全く見合っていない」が14.6%、「あまり見合っていない」が31.1%という回答となりました。

・全く見合っていない:14.6%
・あまり見合っていない:31.1%
・ある程度見合っている:38.8%
・よく見合っている:13.6%
・わからない/答えられない:1.9%
■専門性に見合った報酬を得るために実施していること、「設計意図の丁寧な説明」が46.3%で最多
「Q3. Q2で「よく見合っている」「ある程度見合っている」と回答した方にお聞きします。ご自身の専門性に見合った報酬を得るために、実施・意識していることを教えてください。(複数回答)」(n=54)と質問したところ、「設計の意図やプロセスを丁寧に説明し、付加価値への納得感を醸成している」が46.3%、「施主と直接契約し、中間のマージンが発生しないようにしている」が27.8%、「自身のスキルや実績を明確に提示し、強気の価格交渉を行っている」が24.1%という回答となりました。

・設計の意図やプロセスを丁寧に説明し、付加価値への納得感を醸成している:46.3%
・施主と直接契約し、中間のマージンが発生しないようにしている:27.8%
・自身のスキルや実績を明確に提示し、強気の価格交渉を行っている:24.1%
・特定の分野に特化し、自身の専門性をブランド化している:20.4%
・既存クライアントとの長期的な信頼関係を築き、安定した受注を確保している:18.5%
・所属している組織(会社)の評価制度や給与水準が高い:11.1%
・その他:0.0%
・特にない:11.1%
・わからない/答えられない:0.0%
■報酬が専門性に見合わない理由、「設計変更の無償または低価格対応」が57.4%でトップ
「Q4. Q2で「あまり見合っていない」「全く見合っていない」と回答した方にお聞きします。ご自身の報酬が専門性に見合わない背景には、どのような業界の構造的な課題があると感じますか。(複数回答)」(n=47)と質問したところ、「設計変更や追加の要望に、無償または低価格で応じざるを得ない場面が多い」が57.4%、「安さを重視する価格競争に陥りやすく、設計の質や提案力が評価されにくい」が55.3%、「元請け・下請けといった取引構造上、立場が弱く、適正な報酬を交渉しにくい」が51.1%という回答となりました。

・設計変更や追加の要望に、無償または低価格で応じざるを得ない場面が多い:57.4%
・安さを重視する価格競争に陥りやすく、設計の質や提案力が評価されにくい:55.3%
・元請け・下請けといった取引構造上、立場が弱く、適正な報酬を交渉しにくい:51.1%
・工事全体のコストが不透明で、設計の付加価値を価格に反映させにくい:42.6%
・スキルや実績を積んでも、報酬アップに直結する評価の仕組みが整っていない:42.6%
・見積作成や各種申請など、手間はかかるが報酬に直接反映されにくい業務が多い:40.4%
・その他:0.0%
・特にない:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%
■半数弱の建築士が、「同僚との情報交換」で報酬相場や市場価格を入手
「Q5. 建築士同士の報酬相場や市場価格といった情報を、どのような手段で入手していますか。(複数回答)」(n=103)と質問したところ、「職場の同僚や、知人の建築士との情報交換」が49.5%、「所属する業界団体(建築士会など)からの情報」が45.6%、「インターネット上の記事や専門サイト」が41.7%という回答となりました。

・職場の同僚や、知人の建築士との情報交換:49.5%
・所属する業界団体(建築士会など)からの情報:45.6%
・インターネット上の記事や専門サイト:41.7%
・専門誌や書籍:22.3%
・その他:0.0%
・特にない:10.7%
・わからない/答えられない:0.0%
■44.7%の建築士が、「専門性を活かした提案の裁量不足」を実感
「Q6. ご自身の専門性を活かした設計提案を、十分な裁量をもって行えていると感じますか。」(n=103)と質問したところ、「全くそう感じない」が7.8%、「あまりそう感じない」が36.9%という回答となりました。

・全くそう感じない:7.8%
・あまりそう感じない:36.9%
・ややそう感じる:43.7%
・非常にそう感じる:11.7%
■専門性を活かした裁量ある提案ができない理由、第1位「コスト構造の不透明性」(54.3%)
「Q7. Q6で「あまりそう感じない」「全く感じない」と回答した方にお聞きします。専門性を活かした裁量ある提案ができていない理由を教えてください。(複数回答)」(n=46)と質問したところ、「コスト構造が不透明で、代替案を提案するための情報が不足しているから」が54.3%、「予算上、斬新な提案よりもコストを抑えた標準的な設計が求められるから」が45.7%、「元請け会社(デベロッパー等)の意向が強く、設計の自由度が低いから」が45.7%、「業務量が多く、一つ一つの案件に時間をかけて設計を考える余裕がないから」が45.7%という回答となりました。

・コスト構造が不透明で、代替案を提案するための情報が不足しているから:54.3%
・予算上、斬新な提案よりもコストを抑えた標準的な設計が求められるから:45.7%
・元請け会社(デベロッパー等)の意向が強く、設計の自由度が低いから:45.7%
・業務量が多く、一つ一つの案件に時間をかけて設計を考える余裕がないから:45.7%
・効率化のため、社内で標準化された設計パターンが推奨されているから:28.3%
・施主が過去の実績や無難なデザインを好むから:19.6%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:2.2%
■約9割の建築士が、建築費用の「原価構造の把握」を希望
「Q8. あなたは、設計提案を行う上で、建築費用(資材・施工費など)の原価構造を把握したいと感じますか。」(n=103)と質問したところ、「非常にそう思う」が36.9%、「ややそう思う」が48.5%という回答となりました。

・非常にそう思う:36.9%
・ややそう思う:48.5%
・あまりそう思わない:13.6%
・全くそう思わない:1.0%
■建築士の80.6%が、「原価把握」により良い設計提案が可能と回答
「Q9. 建築費用の原価が把握できれば、より良い設計提案ができると思いますか。」(n=103)と質問したところ、「非常にそう思う」が33.0%、「ややそう思う」が47.6%という回答となりました。

・非常にそう思う:33.0%
・ややそう思う:47.6%
・あまりそう思わない:16.5%
・全くそう思わない:2.9%
・わからない/答えられない:0.0%
■74.7%の建築士が、「コスト構造の透明化」による設計業務改善に期待
「Q10. 施主と直接つながり、設計・施工にかかるコスト構造(材料費・施工費・中間コストなど)や報酬条件が明確に把握できる取引環境があれば、ご自身の働き方や設計業務は改善されると思いますか。」(n=103)と質問したところ、「非常にそう思う」が26.2%、「ややそう思う」が48.5%という回答となりました。

・非常にそう思う:26.2%
・ややそう思う:48.5%
・あまりそう思わない:16.5%
・全くそう思わない:3.9%
・わからない:4.9%
■まとめ
今回は、建築士103名を対象に、報酬の妥当性と業界構造に関する実態調査を実施しました。調査の結果、45.7%の建築士が自身の報酬は専門性や業務量に見合っていないと感じており、報酬が見合っていると回答した建築士は52.4%にとどまることが明らかになりました。また、85.4%が建築費用の原価構造を把握したいと考えており、80.6%が原価把握によってより良い設計提案ができると回答したことも判明しました。
まず、報酬が見合わないと回答した建築士の課題認識を見ると、最も多い回答は「設計変更や追加要望への無償・低価格対応」(57.4%)で、次いで「価格競争による設計の質の軽視」(55.3%)、「元請け・下請け構造での交渉力の弱さ」(51.1%)となりました。一方、報酬が見合っていると回答した建築士の工夫として、「設計の意図やプロセスの丁寧な説明による付加価値の納得感醸成」が46.3%でトップとなりました。さらに、専門性を活かした裁量ある提案ができていないと感じる建築士は44.7%に上り、その理由として「コスト構造の不透明さによる情報不足」(54.3%)が最多となったことが分かりました。
今回の調査では、建築士の約半数が報酬の妥当性に疑問を持ち、8割以上が原価構造の把握を望んでいることが明らかになりました。建設業界では多重下請け構造が一般的となっている中で、設計の専門性や付加価値が適切に評価されにくい環境が生まれています。一見効率的に思われる分業体制も、実際には情報の不透明さによって建築士の提案力を制限し、無償対応の常態化につながってしまうケースは少なくありません。建築士が専門性を発揮し、クライアントに最適な提案を行うためには、コスト構造の透明化と、設計の価値を適切に評価する仕組みづくりが求められるのではないでしょうか。
■施主・建築士・職人を直接つなぐ、注文住宅DXプラットフォーム「建築市場」とは

「建築市場」は、注文住宅を建てたい施主と建築士・職人を直接つなぐマッチングプラットフォームです。従来のハウスメーカー経由での家づくりとは異なり、セルフビルドという手法を活用することで、不要な中間コストを削減し、より安価で自由度の高い注文住宅の実現を目指します。「理想の家を、適正な価格で。」それが「建築市場」の新しいスタンダードです。
<こんなお悩みありませんか?>
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希望エリアで3LDKを建てようとすると、予算オーバー
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(ハウスメーカーだと)理想の設備、オプションが選べない
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(ハウスメーカーだと)希望の間取り・動線が自由に選べない
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予算が理由で注文住宅の選択肢がない
これらのお悩みは「建築市場」で解決できます。
詳しくはこちら:https://lp.kenchiku-ichiba.com/lp01
■会社概要
会社名 :建築市場株式会社
設立 :2025年9月1日
代表取締役:天野智弘
所在地 :東京都豊島区西池袋3-1-15 西池袋TSビル2階
事業内容 :建設DX業、資材販売業、建設業、不動産業
URL :https://kenchiku-ichiba.co.jp
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