J.D. パワー 2019年個人資産運用顧客満足度調査
~資産運用に対する意識変化を捉えた商品提案力がカギ~
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、2019年個人資産運用顧客満足度調査SMの結果を発表した。
2012年の調査データとの比較から見えた顧客の意識や行動の変化
本調査の初回実施である2012年の調査データと今年の調査データを比較し、顧客の意識や行動の変化をみた。
投資の目的では「老後の生活資金(+14ポイント)」、「資産のリスク分散(+6ポイント)」、「普通・定期預金の金利が低い(+5ポイント)」といった回答が増えていることが確認できた。それぞれ増えた要因としては、「老後の生活資金」については老後や年金に対する顧客の懸念が、「資産のリスク分散」については顧客の金融リテラシーの高まりや慎重な姿勢が、「普通・定期預金の金利が低い」については、日本銀行のマイナス金利政策による超低金利の長期化でリスクを負わなければ資産を増やせないという顧客の意識の変化が反映されているものであろう。一方で「特に目的はないが資産を増やすため(-6ポイント)」という回答は減った。
また投資性向では、「リスクを負っても積極的に投資する(+7ポイント)」との回答が増加し、「極力リスクを避け慎重に投資する(-8ポイント)」との回答が減少していることが確認できた。
顧客満足度の観点でみると、「資産のリスク分散」を目的にしている顧客の総合満足度スコアが610ポイントであるのに対し、「老後の生活資金」を目的としている顧客の総合満足度スコアは601ポイントであった。このことから、分散投資に向けたポートフォリオ構築はできているものの、老後に向けた資産形成については、投資期間やリスク許容度を踏まえた顧客の目的に合った提案が十分行われていないことが考えられる。
地方系銀行、地元密着の特性を活かした顧客対応がカギ
本調査ではサービス形態をもとに「対面証券」「ネット証券」「全国系銀行」「新形態銀行」「信託銀行」「地方系銀行」に分けて調査を実施しているが、本年から「地方系銀行」を5つの地域に分けて集計を行った。
地方系銀行全体の総合満足度は他形態に比べて低く、サービス水準に課題があることが分かる。しかしながら、総合満足度を構成する6ファクターの中で最も影響度の高い「顧客対応(担当者・オンライン・コールセンター)」ファクターの「担当者」に注目すると、多くの地方系銀行で全体平均を上回っていることが確認できた。
商品ラインアップや手数料においては、地方系銀行が他形態の金融機関より優位に立つことは難しい面もあるが、地方系銀行ならではの特性である担当者の競争力を高め、顧客情報やニーズをしっかりと把握した的確なアドバイスを行うことこそが、地方系銀行が資産運用ビジネスにおいて顧客満足を向上させるカギといえよう。
個人資産運用ビジネスの発展に向けた課題
個人資産運用ビジネスにおいては、金融庁の呼びかけを背景に顧客本位の業務運営の重要性に対する認識が広がっており、「資産リスク分散」を目的とする顧客ニーズに合った「つみたてNISA」「iDeCo」といった制度面の対応や投資信託の商品構成の見直しなどが進められてきたところである。今後の一層の発展のためには、顧客対応を行う営業担当者の評価について、「収益」だけでなく「顧客満足」を踏まえた人事上の評価制度を整備していくことが重要になるものと考えられる。
各部門の総合満足度ランキングは下記の通り。
<対面証券 部門>(対象8社)
第1位:野村證券(583ポイント)
8年連続の受賞。「商品・サービス」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券(580ポイント)
第3位:SMBC日興証券(579ポイント)
<ネット証券 部門>(対象6社)
第1位:楽天証券(626ポイント)
「商品・サービス」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:GMOクリック証券(622ポイント)
第3位:SBI証券(615ポイント)
<全国系銀行 部門>(対象5行)
第1位:三井住友銀行(574ポイント)
4年連続の受賞。「商品・サービス」「口座情報」「顧客対応」「問題解決」の4ファクターで最高評価。
第2位:みずほ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行(同率、556ポイント)
<新形態銀行 部門>(対象10行)
第1位:住信SBIネット銀行(612ポイント)
「口座情報」「手数料・金利」の2ファクターで最高評価。
第2位:ソニー銀行(602ポイント)
第3位:イオン銀行(585ポイント)
<信託銀行 部門>(対象4行)
第1位:SMBC信託銀行(571ポイント)
「顧客対応」「口座情報」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行(同率、564ポイント)
<地方系銀行 部門:北海道・東北エリア>(対象4行)
第1位:東邦銀行(557ポイント)
「顧客対応」「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の4ファクターで最高評価。
第2位:北海道銀行(554ポイント)
第3位:七十七銀行(540ポイント)
<地方系銀行 部門:関東エリア>(対象7行)
第1位:埼玉りそな銀行(556ポイント)
「商品・サービス」「店舗施設」の2ファクターで最高評価。
第2位:足利銀行(554ポイント)
第3位:横浜銀行、常陽銀行(同率、551ポイント)
<地方系銀行 部門:中部エリア>(対象6行)
第1位:大垣共立銀行(560ポイント)
「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:十六銀行(550ポイント)
第3位:静岡銀行(544ポイント)
<地方系銀行 部門:近畿・北陸エリア>(対象9行)
第1位:みなと銀行(566ポイント)
「商品・サービス」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:京都銀行、南都銀行(同率、554ポイント)
<地方系銀行 部門:中国・四国・九州エリア>(対象7行)
第1位:福岡銀行(564ポイント)
「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:伊予銀行(562ポイント)
第3位:中国銀行(555ポイント)
《J.D. パワー 2019年個人資産運用顧客満足度調査SM概要》
年に一回、民間の銀行、証券会社で、投資信託・株式・外貨預金・FXなどの資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳の男女)を対象に、直近1年間のサービス利用経験に対する満足度を明らかにする調査。今年で8回目となる。
サービス形態をもとに「対面証券」「ネット証券」「全国系銀行」「新形態銀行」「信託銀行」「地方系銀行(北海道・東北)」「地方系銀行(関東)」「地方系銀行(中部)」「地方系銀行(近畿・北陸)」「地方系銀行(中国・四国・九州)」の10部門に分けて集計した。
■実施期間:2019年4~5月
■調査方法:インターネット
■回答者数:17,263人
満足度の測定にあたっては、6つのファクターを設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度をもとに総合満足度スコアを算出した(1,000ポイント満点)。各ファクターの影響度は以下の通り。
対面証券、対面銀行:「顧客対応(担当者・オンライン・コールセンター)」(31%)、「商品・サービス」(29%)、「口座情報」(19%)、「手数料・金利」(14%)、「店舗施設」(5%)、「問題解決」(1%)
ネット証券、新形態銀行:「手数料・金利」(27%)、「顧客対応(オンライン・コールセンター)」(25%)、
「口座情報」(25%)、「商品・サービス」(22%)、「問題解決」(1%)
*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国カリフォルニア州コスタメサ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。企業の顧客満足度改善やパフォーマンス向上のソリューション提供のため、現在、北米、南米、アジアパシフィック、ヨーロッパでビジネスを展開しています。
2012年の調査データとの比較から見えた顧客の意識や行動の変化
本調査の初回実施である2012年の調査データと今年の調査データを比較し、顧客の意識や行動の変化をみた。
投資の目的では「老後の生活資金(+14ポイント)」、「資産のリスク分散(+6ポイント)」、「普通・定期預金の金利が低い(+5ポイント)」といった回答が増えていることが確認できた。それぞれ増えた要因としては、「老後の生活資金」については老後や年金に対する顧客の懸念が、「資産のリスク分散」については顧客の金融リテラシーの高まりや慎重な姿勢が、「普通・定期預金の金利が低い」については、日本銀行のマイナス金利政策による超低金利の長期化でリスクを負わなければ資産を増やせないという顧客の意識の変化が反映されているものであろう。一方で「特に目的はないが資産を増やすため(-6ポイント)」という回答は減った。
また投資性向では、「リスクを負っても積極的に投資する(+7ポイント)」との回答が増加し、「極力リスクを避け慎重に投資する(-8ポイント)」との回答が減少していることが確認できた。
顧客満足度の観点でみると、「資産のリスク分散」を目的にしている顧客の総合満足度スコアが610ポイントであるのに対し、「老後の生活資金」を目的としている顧客の総合満足度スコアは601ポイントであった。このことから、分散投資に向けたポートフォリオ構築はできているものの、老後に向けた資産形成については、投資期間やリスク許容度を踏まえた顧客の目的に合った提案が十分行われていないことが考えられる。
地方系銀行、地元密着の特性を活かした顧客対応がカギ
本調査ではサービス形態をもとに「対面証券」「ネット証券」「全国系銀行」「新形態銀行」「信託銀行」「地方系銀行」に分けて調査を実施しているが、本年から「地方系銀行」を5つの地域に分けて集計を行った。
地方系銀行全体の総合満足度は他形態に比べて低く、サービス水準に課題があることが分かる。しかしながら、総合満足度を構成する6ファクターの中で最も影響度の高い「顧客対応(担当者・オンライン・コールセンター)」ファクターの「担当者」に注目すると、多くの地方系銀行で全体平均を上回っていることが確認できた。
商品ラインアップや手数料においては、地方系銀行が他形態の金融機関より優位に立つことは難しい面もあるが、地方系銀行ならではの特性である担当者の競争力を高め、顧客情報やニーズをしっかりと把握した的確なアドバイスを行うことこそが、地方系銀行が資産運用ビジネスにおいて顧客満足を向上させるカギといえよう。
個人資産運用ビジネスの発展に向けた課題
個人資産運用ビジネスにおいては、金融庁の呼びかけを背景に顧客本位の業務運営の重要性に対する認識が広がっており、「資産リスク分散」を目的とする顧客ニーズに合った「つみたてNISA」「iDeCo」といった制度面の対応や投資信託の商品構成の見直しなどが進められてきたところである。今後の一層の発展のためには、顧客対応を行う営業担当者の評価について、「収益」だけでなく「顧客満足」を踏まえた人事上の評価制度を整備していくことが重要になるものと考えられる。
各部門の総合満足度ランキングは下記の通り。
<対面証券 部門>(対象8社)
第1位:野村證券(583ポイント)
8年連続の受賞。「商品・サービス」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券(580ポイント)
第3位:SMBC日興証券(579ポイント)
<ネット証券 部門>(対象6社)
第1位:楽天証券(626ポイント)
「商品・サービス」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:GMOクリック証券(622ポイント)
第3位:SBI証券(615ポイント)
<全国系銀行 部門>(対象5行)
第1位:三井住友銀行(574ポイント)
4年連続の受賞。「商品・サービス」「口座情報」「顧客対応」「問題解決」の4ファクターで最高評価。
第2位:みずほ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行(同率、556ポイント)
<新形態銀行 部門>(対象10行)
第1位:住信SBIネット銀行(612ポイント)
「口座情報」「手数料・金利」の2ファクターで最高評価。
第2位:ソニー銀行(602ポイント)
第3位:イオン銀行(585ポイント)
<信託銀行 部門>(対象4行)
第1位:SMBC信託銀行(571ポイント)
「顧客対応」「口座情報」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行(同率、564ポイント)
<地方系銀行 部門:北海道・東北エリア>(対象4行)
第1位:東邦銀行(557ポイント)
「顧客対応」「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の4ファクターで最高評価。
第2位:北海道銀行(554ポイント)
第3位:七十七銀行(540ポイント)
<地方系銀行 部門:関東エリア>(対象7行)
第1位:埼玉りそな銀行(556ポイント)
「商品・サービス」「店舗施設」の2ファクターで最高評価。
第2位:足利銀行(554ポイント)
第3位:横浜銀行、常陽銀行(同率、551ポイント)
<地方系銀行 部門:中部エリア>(対象6行)
第1位:大垣共立銀行(560ポイント)
「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:十六銀行(550ポイント)
第3位:静岡銀行(544ポイント)
<地方系銀行 部門:近畿・北陸エリア>(対象9行)
第1位:みなと銀行(566ポイント)
「商品・サービス」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:京都銀行、南都銀行(同率、554ポイント)
<地方系銀行 部門:中国・四国・九州エリア>(対象7行)
第1位:福岡銀行(564ポイント)
「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:伊予銀行(562ポイント)
第3位:中国銀行(555ポイント)
《J.D. パワー 2019年個人資産運用顧客満足度調査SM概要》
年に一回、民間の銀行、証券会社で、投資信託・株式・外貨預金・FXなどの資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳の男女)を対象に、直近1年間のサービス利用経験に対する満足度を明らかにする調査。今年で8回目となる。
サービス形態をもとに「対面証券」「ネット証券」「全国系銀行」「新形態銀行」「信託銀行」「地方系銀行(北海道・東北)」「地方系銀行(関東)」「地方系銀行(中部)」「地方系銀行(近畿・北陸)」「地方系銀行(中国・四国・九州)」の10部門に分けて集計した。
■実施期間:2019年4~5月
■調査方法:インターネット
■回答者数:17,263人
満足度の測定にあたっては、6つのファクターを設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度をもとに総合満足度スコアを算出した(1,000ポイント満点)。各ファクターの影響度は以下の通り。
対面証券、対面銀行:「顧客対応(担当者・オンライン・コールセンター)」(31%)、「商品・サービス」(29%)、「口座情報」(19%)、「手数料・金利」(14%)、「店舗施設」(5%)、「問題解決」(1%)
ネット証券、新形態銀行:「手数料・金利」(27%)、「顧客対応(オンライン・コールセンター)」(25%)、
「口座情報」(25%)、「商品・サービス」(22%)、「問題解決」(1%)
*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国カリフォルニア州コスタメサ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。企業の顧客満足度改善やパフォーマンス向上のソリューション提供のため、現在、北米、南米、アジアパシフィック、ヨーロッパでビジネスを展開しています。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像