コロナ禍で最優先「患者集め」に明暗
159大病院7月調査、45%再開も36%未着手
病院経営のコンサルティングなどを行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC ※1=本社・東京都新宿区、代表取締役社長・渡辺幸子)は7月、新型コロナウイルス感染症による病院経営への影響をアンケート調査し、その結果を公表しました。これによると、調査に協力した全国159の重症患者を受け入れる大病院のうち、コロナ禍の病院経営で最優先課題である周辺地域の医療機関からの患者集め(集患)を再開できているのは、全体の45%と約半数であることが分かりました。一方、36%は未だ集患に着手できておらず、病院間で明暗が分かれています。
9割が「患者集めが最優先課題」
アンケート調査は7月9日から19日までの10日間実施。その集計結果を29日公表しました。
病院は国内に8260(2020年4月時点)施設あります。このうち、今回の調査対象である主に入院を伴う重症患者を診療する「DPC対象病院 ※2」は1757(同)施設。DPC対象病院は200床以上の大病院であることが多く、DPC対象病院だけで国内総病床数の約半数を占めています。200床以上の病院は、かかりつけ医の紹介なしに患者を受け入れると、数千円の追加料金を患者から徴収する義務があるため(定額負担徴収)、多くのDPC対象病院が収益に直結する集患を行うためには、周辺医療機関からの紹介が欠かせません。
周辺医療機関からの紹介による集患は、これまでも病院経営の重要課題の一つでした。それが今年に入り、新型コロナの影響で患者数が激減。5月時点で新型コロナの入院を受け入れた病院の紹介入院数は23.8%減、受け入れていない病院においても13.8%減へ紹介入院が減少しています(5月データ分析:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000046782.html)。集患の優先順位はこれまで以上に高まりました。
「面会制限解除未定」94%
そのほかアンケートでは、面会制限や健康診断の再開、消耗品の調達状況などについて聞きました。
面会制限解除の時期は、ほぼすべての病院となる94%が「未定」としています。再び新型コロナの患者数が増えてきていることで、解除時期は決められないという判断かと推察します。
健康診断については、中止していた病院が多かったですが、既に大半の病院が再開しています。
当社ではアンケート調査のほか、449病院の5月データを分析したレポートも合わせて、DPC対象病院などへ無償で提供しております。今後も毎月のアンケート調査、データ分析結果について公表させていただきます。
(※1)株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医療専門職、ヘルスケア企業出身者、IT専門家らで構成される経営コンサルティングファーム。急速な高齢化で社会保障財政の破たんが懸念される中、「質の高い医療を最適なコストで」という理念を実践する具体的な手法として、米国流の医療マネジメント手法「ベンチマーク分析」を日本に初めて持ち込み、広めたパイオニアです。URL:https://www.ghc-j.com/
(※2)DPC対象病院
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1757病院(2020年4月時点)。
アンケート調査は7月9日から19日までの10日間実施。その集計結果を29日公表しました。
病院は国内に8260(2020年4月時点)施設あります。このうち、今回の調査対象である主に入院を伴う重症患者を診療する「DPC対象病院 ※2」は1757(同)施設。DPC対象病院は200床以上の大病院であることが多く、DPC対象病院だけで国内総病床数の約半数を占めています。200床以上の病院は、かかりつけ医の紹介なしに患者を受け入れると、数千円の追加料金を患者から徴収する義務があるため(定額負担徴収)、多くのDPC対象病院が収益に直結する集患を行うためには、周辺医療機関からの紹介が欠かせません。
周辺医療機関からの紹介による集患は、これまでも病院経営の重要課題の一つでした。それが今年に入り、新型コロナの影響で患者数が激減。5月時点で新型コロナの入院を受け入れた病院の紹介入院数は23.8%減、受け入れていない病院においても13.8%減へ紹介入院が減少しています(5月データ分析:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000046782.html)。集患の優先順位はこれまで以上に高まりました。
新型コロナの影響で深刻な経営危機に陥っている病院は多く、まずは収益の立て直しが急務です。今回7月に実施したアンケート調査で「最優先の経営課題」について質問すると、やはり「集患」が89%と最も多い結果でした。
さらに集患の具体的な再開状況について聞くと、「一部のみ再開」が26%で最も多く、「再開の見通しなし」23%、「全面的に再開」19%、「再開予定」13%――の順でした(「分からない」19%)。
この状況についてGHCコンサルタントでアソシエイトマネジャーの太田衛は、「集患活動の柱の一つは、近隣医療機関への訪問営業です。今回の7月時点のアンケート結果では、現時点の活動内容で明暗が分かれていました。集患は『競合』が存在する数少ない病院経営の課題の一つです。集患再開の遅れは、収益に直結するだけでなく、競合との差が開くことにより、中長期的な経営にも深刻なダメージを残す可能性があります」と解説しています。
「面会制限解除未定」94%
そのほかアンケートでは、面会制限や健康診断の再開、消耗品の調達状況などについて聞きました。
面会制限解除の時期は、ほぼすべての病院となる94%が「未定」としています。再び新型コロナの患者数が増えてきていることで、解除時期は決められないという判断かと推察します。
入院における面会制限は原則禁止であるという病院が前回は約9割でしたが、今回は約6割へ減少(前回調査:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000046782.html)。「原則禁止」から「制限」に緩和した病院が約3割になったためです。院内で工夫していることとして多かったのは「オンライン面会」。オンライン面会については、今後も患者側からの希望が継続される可能性が考えられます。
健診再開78%、「マスク調達に支障」35%
健康診断については、中止していた病院が多かったですが、既に大半の病院が再開しています。
マスク・防護服・アルコールなどの調達については、影響が出ていると回答した病院が前回の約半数から3割に減少し、「全く問題ない」という病院も約2割から約3割に増えました。少しずつですが、物品の調達については回復しているようです。
当社ではアンケート調査のほか、449病院の5月データを分析したレポートも合わせて、DPC対象病院などへ無償で提供しております。今後も毎月のアンケート調査、データ分析結果について公表させていただきます。
(※1)株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医療専門職、ヘルスケア企業出身者、IT専門家らで構成される経営コンサルティングファーム。急速な高齢化で社会保障財政の破たんが懸念される中、「質の高い医療を最適なコストで」という理念を実践する具体的な手法として、米国流の医療マネジメント手法「ベンチマーク分析」を日本に初めて持ち込み、広めたパイオニアです。URL:https://www.ghc-j.com/
(※2)DPC対象病院
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1757病院(2020年4月時点)。
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