治験、1例目を実施!~iPS細胞から作った細胞とバイオマテリアルのハイブリッド製品~

拡張型心筋症に新たな治療の選択肢を提供することを目指す

iHeart Japan株式会社

再生医療を〝特別な治療″から〝当たり前の治療″にするiHeart Japan株式会社(京都市、代表者:角田健治、以下「当社」)は、当社が開発しているヒトiPS細胞由来心血管系細胞多層体*1(以下「IHJ-301」)を、世界で初めて患者さんの治療に使用したこと(first-in-humanの治験のfirst-patient-in)をお知らせします。

当社は、IHJ-301を拡張型心筋症*3の治療に用いる治験*4を行っており、治験実施施設である東京女子医科大学病院において、IHJ-301を患者さんの心臓に貼付する手術が2025年5月23日に行われました。患者さんの安全確保のため、手術から1箇月ほど入院したまま経過を観察した後、患者さんは退院なさり、現在は通院による経過観察をしています。

*1【ヒトiPS細胞由来心血管系細胞多層体(IHJ-301)について】

当社の共同創業者である山下潤先生(東京大学特任教授)らによって生み出された細胞の分化を制御する技術を基盤としており、健常ドナーの細胞から作製したiPS細胞を出発原料とし、それから分化させた心臓や血管などの細胞の層とゼラチンハイドロゲル粒子*2の層から成る〝細胞とバイオマテリアルのハイブリッド再生医療等製品″です。ゼラチンハイドロゲル粒子の作用によって、細胞だけを貼付した場合よりも生着性が高くなり、その結果として治療効果が高くなることが動物実験によって示されています。
( JTCVS Open. 2021 Oct 1;8:359-374.  doi: 10.1016/j.xjon.2021.09.038. )

*2【ゼラチンハイドロゲル粒子について】

田畑泰彦先生(京都大学名誉教授)らによって生み出された素材です。田畑先生の監修を受け、澁谷工業株式会社(石川県金沢市、代表者:澁谷英利)が『GelART(ゼルアート)』という商品名で販売しています。GelARTは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から再生医療等製品の材料としての適格性を認められています。( https://www.shibuya.co.jp/pdf/news20250604-1.pdf )

*3【拡張型心筋症と心不全について】

心不全は、心筋梗塞等の虚血性心疾患や拡張型心筋症などが原因で、十分な血液を心臓が送り出せなくなった病態を指します。日本では130 万人、世界では 6,500 万人が心不全と推計されています。厚労省の『令和6年(2024年)人口動態統計』によると、日本では、「心疾患(高血圧性を除く)」が「悪性新生物(腫瘍)」に次ぐ死因の第2位です。

拡張型心筋症(DCM: Dilated Cardiomyopathy)は、心臓の筋肉が薄くなり、その結果として、心臓の内腔が大きくなることを特徴とする疾患で、国内の患者数は2万人前後と推計されている希少疾患です。遺伝子変異やウイルス感染などとの関連性が指摘されているものもありますが多くの場合は原因不明で、心臓移植以外に根治的な治療方法が無く、難病に指定されています。心臓移植には、ドナー不足や待機時間の長さ(平均で約5年)などの大きな課題があり、新たな治療法の開発が求められています。

*4【治験について( https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCT2033240447 )】

この治験では、最初の3例で安全性評価を行い、7例追加した合計10例で有効性評価をすることを意図しており、第I/II相(Phase I/II)に当たります。

治験に参加した患者さんの全員がIHJ-301を用いた治療を受けられる単群、非盲検、非対照の試験です。拡張型心筋症の患者さんのうち、心不全の程度を表す指標であるNYHA分類のIII又はIIIになったことがあるIIで、LVEFが15%以上40%未満である患者さんを対象としています。ラミンA遺伝子に病的変異がある患者を除外する点が、類似の他の治験と大きく異なります。

免疫抑制剤投与下で、左側の肋骨の間を切開し、器具を使って拡げた肋間から、IHJ-301を左心室の心外膜に貼付します。約6箇月後に免疫抑制剤の服用を止め、患者の免疫によってIHJ-301中の細胞を死滅させます。その約6箇月間にIHJ-301から出る様々な因子によって、心臓の組織が修復され、心機能が改善すると期待されています。

【iHeart Japan株式会社( http://www.iheartjapan.jp )について】

2013年に設立されて以来、「心臓移植をしなくても良い社会の実現」をビジョンとして掲げ、IHJ-301の開発などに取り組んでいます。IHJ-301の開発に関し、当社科学顧問の山下先生および田畑泰彦先生ならびに当社代表取締役の角田健治は、2016年の産官学連携功労者表彰で日本学術会議会長賞を受賞しました。2021年に、経済産業省の『J-Startup』に選定されました。

【問い合わせ先】

info@iheartjapan.jp

iHeart Japan株式会社

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会社概要

iHeart Japan株式会社

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URL
http://www.iheartjapan.jp/
業種
製造業
本社所在地
京都府京都市左京区吉田下阿達町46 京都大学医薬系総合研究棟
電話番号
-
代表者名
角田健治
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2013年04月