PXPがソフトバンクをリードインベスターとするシリーズAラウンドで総額15億円の資金調達を実施
~軽量でフレキシブルかつエネルギー変換効率が高いPXPの次世代太陽電池を実用化し、さまざまな用途での活用を目指す~
軽くて曲がる次世代太陽電池の開発を進める株式会社PXP(ピーエックスピー、本社:神奈川県相模原市、代表取締役社長:栗谷川悟、以下「PXP」)は、ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)をリードインベスターとして、株式会社SOLABLE、興和オプトロニクス株式会社、豊田通商株式会社、合同会社J&TC Frontier(JFEエンジニアリング株式会社と東京センチュリー株式会社による共同投資ビークル)、株式会社自動車ファンド、三菱HCキャピタル株式会社、横浜キャピタル株式会社、TARO Venturesが参加するシリーズAラウンドにおいて、総額15億円の資金調達を実施しました。ソフトバンクは、約10億円の出資を行い、PXPの株式の約29.9%を取得しました。
PXPが開発を進める次世代太陽電池は、ペロブスカイト太陽電池とカルコパイライト太陽電池を組み合わせたタンデム構造※となっており、 従来の太陽電池と比較して1.5倍以上のエネルギー変換効率(理論値:約42%)を実現します。また、従来の太陽電池と比較して約10分の1の重量の軽くて曲がるフレキシブルな形状に、衝撃や振動に強い高い耐久性を備えており、 用途に応じてさまざまな場所に設置することが可能で、設置にかかるコストを安く抑えることも期待されます。PXPとソフトバンクは、将来の電力需要を見据え、PXPの次世代太陽電池を用いてソフトバンクのデータセンターをグリーンエネルギーで運用するなど、さまざまな用途での活用を目指します。
PXPは、カーボンニュートラルの実現に向け、早期に社会実装できる革新的な次世代太陽電池の開発に取り組んでいます。日本で芽吹いた化合物薄膜製造技術は、PXPの取り組みによって大きく進化し、超軽量かつフレキシブルという特性、そして高い信頼性を備えることが可能になりました。これにより、太陽電池の設置場所や用途などの幅を各段に広げ、太陽光発電の可能性を大きく伸長させることに貢献します。このたびのソフトバンクをはじめとする出資パートナーからの支援を通して、次世代太陽電池の早期の実用化・量産化、そして社会実装を目指し、PXPが目標とする「クリーンなエネルギーをいつでも、どこでも、だれでも自由に使える世界」の実現を加速していきます。
ソフトバンクは、デジタル社会の発展に不可欠な次世代社会インフラの構築に向けて、将来必要になるデータセンターや計算基盤環境の整備だけではなく、データセンターの運用に必要な再生可能エネルギーの調達を進めています。PXPの軽量でフレキシブルかつエネルギー変換効率が高い太陽電池により、データセンターに設置したソーラーパネルから電力を供給し、データセンターをクリーンエネルギーで運用することが可能になります。また、有事の際に被災地に運ぶ可搬型基地局への電力供給や、軽量で薄く、高いエネルギー変換効率の太陽電池をHAPS(High Altitude Platform Station、成層圏通信プラットフォーム)の機体に搭載するなど、さまざまな用途での活用が期待されます。
シリーズAラウンドに参加する企業のコメントは以下の通りです。
既存株主であり、PXPの設立時から支援を行っている株式会社SOLABLEの執行役員経営企画部長の勝田智之氏は、次のように述べています。
「当社は、持続可能な社会の実現に向け、『薄くて曲がる』『軽くて割れない』などの画期的な特性を備えた高変換効率の次世代太陽電池の開発とその普及を目指して、2020年7月にPXPを設立し、これまで研究開発をサポートしてきました。このたび、PXPの技術力や事業展開、PXPとの事業シナジーを期待する企業や金融機関などが新たに株主となることで、より大規模な研究開発が可能になり、次世代太陽電池の開発・実用化が加速度的に進むことを期待しています」
興和オプトロニクス株式会社の代表取締役の福嶋昌之氏は、次のように述べています。
「PXPでは、その技術背景や経験を踏まえて培われたノウハウの蓄積によって、実現性の高い次世代太陽電池の開発が進められています。さらに、材料の安全性や耐候性などさまざまな特長を備えたPXPの太陽電池の可能性が大きく拡がっていると感じています。今後、脱炭素社会の実現に貢献するように、当社の環境事業との取り組みなど、アライアンスを深めていきます」
豊田通商株式会社のモビリティ本部CEOの原田繁氏は、次のように述べています。
「豊田通商は、安全で快適なモビリティ社会への移行を加速する『ネクストモビリティ』を重点分野の一つとしており、次世代自動車への進化をリードする新たなテクノロジーの活用やサービスを創出しています。PXPのフレキシブルソーラーパネルはモビリティとの親和性も高く、ソーラーパネル搭載車の普及を可能にします。当社は、これからも新たな技術のモビリティへの実装を推進し、モビリティ社会におけるGHG(温室効果ガス)削減およびカーボンニュートラル実現に貢献していきます」
JFEエンジニアリング株式会社の取締役専務執行役員の松川裕二氏は、次のように述べています。
「PXPの太陽電池が持つ革新性(薄さ、軽さ、柔軟性、耐久性、高効率)が再生可能エネルギーの新たな可能性を拓くものと期待しています。今回の出資を契機に、当社の電力ビジネスや新規事業における重要なパートナーとして連携を深め、更なる再生可能エネルギーの普及や持続可能な社会の実現に貢献していきます」
東京センチュリー株式会社の取締役執⾏役員副社長の佐藤浩氏は、次のように述べています。
「次世代太陽電池におけるPXPの革新的な技術は、太陽電池の設置場所や用途の幅を広げ、太陽光発電の可能性を大きく伸長させるものと考えています。クリーンエネルギーの未来を切り拓く重要な要素として位置付け、当社の再生可能エネルギー事業のさらなる発展が期待できることから、本出資に至りました。共に新たなエネルギーソリューションを推進することで、環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献していきます」
株式会社自動車ファンドの代表取締役会長(マークラインズ株式会社 代表取締役社長)の酒井誠氏は、次のように述べています。
「電動化が進む自動車産業において、車体への太陽光電池搭載は最適なソリューションであり、PXP社製品の特色「超軽量・フレキシブル・高耐久性」が生かされる用途です。本命は市場規模の大きい乗用車への搭載ですが、まずは脱炭素が強く求められている物流業界などで商用車から普及が進むものと見ています。今後、マークラインズが有する自動車業界での知見、世界5,500社超の情報プラットフォーム会員のネットワークを活用し、PXP社の成長を支援していきます」
三菱HCキャピタル株式会社の常務執行役員の北原克哉氏は、次のように述べています。
「PXPの次世代太陽電池は、今まで耐荷重不足や曲面などで太陽光パネルを設置できなかった場所への導入が可能となり、太陽光パネル設置の適地不足の課題解決に大いに役立つ技術です。また、さまざまな製品に太陽光パネルを設置し、発電機能を付加することで新たなビジネスが広がるものと期待しています。PXPとの協業により、多様化・高度化していく脱炭素分野において、お客さまのニーズに早期に幅広く対応するファイナンスやサービスを提供できるよう努めていきます」
横浜キャピタル株式会社の投資部次長の藤田秀隆氏は、次のように述べています。
「PXPは、次世代太陽光発電パネルにおける3つの課題(発電効率、耐久性、生産性)を解決する豊富なアイディアと知見を有しています。当社は、PXPが神奈川県発の有力なGX企業になることを期待して投資を行いました。今後も横浜銀行グループのネットワークを生かし、PXPの企業価値向上に向けたサポートを積極的に行っていきます」
TARO Venturesの無限責任組合員の佐藤太郎氏は、次のように述べています。
「PXPが開発する薄型・フレキシブルな次世代太陽電池は、社会の多様なクリーンエネルギーへのニーズに応えるものであり、世界の脱炭素化に貢献するイノベーションとなることを期待しています」
※ 分光感度が異なる複数の太陽電池を重ねて用いることで、幅広い波長の光を無駄なく電気に変換する構造。赤色光より短い波長の光(紫外光)の範囲で効率よく発電するペロブスカイト太陽電池と、赤色光より長い波長の光(赤外光)の範囲で効率よく発電するカルコパイライト太陽電池を重ねています。
株式会社PXP
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