中小企業の昇給予定実態調査(2023年度)
株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所によるレポート
労働者が企業を選ぶ際に重要視する事項の一つとして給与があり、昇給はその大きな要素といえます。また、物価高騰の影響を受けて従業員の昇給に対する関心は特に高まっています。そこで、中小企業における昇給制度の実態を明らかにするため、エフアンドエムクラブ(※1)の会員企業に対してアンケート調査を行いました。昇給制度の有無や今年度の昇給予定金額等の設問について、1,873社の回答結果をまとめました。
※1 弊社が提供している中小企業の労働生産性向上を支援する公的制度・人事・労務・財務・IT活用のサブスクサービスの名称
調査期間:2023年2月1日~2023年2月28日
※1 弊社が提供している中小企業の労働生産性向上を支援する公的制度・人事・労務・財務・IT活用のサブスクサービスの名称
調査期間:2023年2月1日~2023年2月28日
1.昇給制度の運用状況
まず、正社員と非正規社員(パート・アルバイト等)のそれぞれに対する昇給制度を調査した。正社員において(図1)は、「毎年決まった時期に昇給を実施している」が1,110社(59%)、「不定期に実施している」が550社(29%)となり、「原則実施していない」が127社(7%)となった。業種別にみると、情報通信業は「毎年決まった時期に実施している」と回答した割合が他業種に比べて最も高く(83%)、「不定期に実施している・原則実施していない」は運輸業の割合が高かった(表3, 図3,4)。また、従業員数が多いほど、毎年決まった時期に昇給している企業が多いことが分かった(表4)。
次に、今年度の昇給予定について尋ねたところ(図5)、「実施する」が1,432社(76%)、「実施しない」が118社(12%)であった。前設問で昇給は「不定期に実施する」としていた企業のうち、63%(351社)が今年度は昇給を「実施する」と回答しており、物価高騰の影響を考慮して多くの企業が賃上げを実施するとみられる。また、従業員数別にみると、31名以上の企業はそれぞれ80%以上が「実施する」と回答しているが、11~30名の企業は75%、~10名以下の企業は69%で、ここでも従業員数による違いがあることが分かった。
続いて、昇給を実施すると回答した企業(1, 432社)に対して、月給ベースでの平均昇給額を尋ねたところ(図6)、「1,000円超~3,000円未満(287社)」、「3,000円超~5,000円未満(277社)」、「5,000円超~10,000円未満(270社)」がほぼ並んでそれぞれ約20%ずつだった。昇給は実施するものの金額は「未定・わからない」と回答した企業が438社(31%)あったが、1,000円~10,000円での昇給を行う企業が多いのではないかと推測される。
また、昇給金額が決まっている企業(994社)の昇給率は、最も多いのが「1%超~3%未満」が509社(51%)、次いで「3%超~5%未満」が266社(27%)、「1%未満」が98社(10%)と続いた(図7)。「2023春季生活闘争方針」(春闘)では5%程度の賃上げが要求されているが、それを下回る企業が大多数であることがわかる。
3.まとめ
今年度昇給を実施する企業は76%で、昇給を行う企業が多くあることが分かった。ただ、物価変動を考慮した実質賃金は減少が続いており、今後の物価高騰の影響によっては今年度の昇給以降も賃金上昇が物価高に追い付かず、厳しい状況が続く可能性がある。企業としては業績向上に努めるほか、公的支援制度なども活用して賃上げを図り、従業員の生活を保障していく必要がある。賃上げが関わる代表的な制度として、中小企業が前年度より従業員の給与を増額した場合に法人税の税額控除を受けられる「賃上げ促進税制」や、生産性向上に資する設備投資を行うとともに最低賃金を引き上げることで投資額の一部助成を受けられる「業務改善助成金」などが挙げられる。他にも、「事業再構築補助金」の成長枠・グリーン成長枠の大規模賃金引上促進枠では、事業場内最低賃金の年額45円以上の賃上げ等を達成することで、3,000万円の補助が上乗せされるなど、賃上げによって補助の拡充がされる制度もある。
エフアンドエムクラブでは、このような公的支援制度の情報を取り逃がさないよう、会員企業向けの公式LINEアカウント「補助金はやみ」にて、国・地方自治体の支援策に関する情報提供を行っている。また、昇給に関する規程整備や賃金テーブル、評価制度の策定などについても専門アドバイザーが相談を受け付けている。今後もエフアンドエムクラブでは各種情報提供だけでなく、様々なサポートを通じて中小・零細企業のバックオフィス強化に努めていく。
>>>レポート全文はこちら
https://www.fmltd.co.jp/info_cat/chushou
まず、正社員と非正規社員(パート・アルバイト等)のそれぞれに対する昇給制度を調査した。正社員において(図1)は、「毎年決まった時期に昇給を実施している」が1,110社(59%)、「不定期に実施している」が550社(29%)となり、「原則実施していない」が127社(7%)となった。業種別にみると、情報通信業は「毎年決まった時期に実施している」と回答した割合が他業種に比べて最も高く(83%)、「不定期に実施している・原則実施していない」は運輸業の割合が高かった(表3, 図3,4)。また、従業員数が多いほど、毎年決まった時期に昇給している企業が多いことが分かった(表4)。
次に、今年度の昇給予定について尋ねたところ(図5)、「実施する」が1,432社(76%)、「実施しない」が118社(12%)であった。前設問で昇給は「不定期に実施する」としていた企業のうち、63%(351社)が今年度は昇給を「実施する」と回答しており、物価高騰の影響を考慮して多くの企業が賃上げを実施するとみられる。また、従業員数別にみると、31名以上の企業はそれぞれ80%以上が「実施する」と回答しているが、11~30名の企業は75%、~10名以下の企業は69%で、ここでも従業員数による違いがあることが分かった。
続いて、昇給を実施すると回答した企業(1, 432社)に対して、月給ベースでの平均昇給額を尋ねたところ(図6)、「1,000円超~3,000円未満(287社)」、「3,000円超~5,000円未満(277社)」、「5,000円超~10,000円未満(270社)」がほぼ並んでそれぞれ約20%ずつだった。昇給は実施するものの金額は「未定・わからない」と回答した企業が438社(31%)あったが、1,000円~10,000円での昇給を行う企業が多いのではないかと推測される。
また、昇給金額が決まっている企業(994社)の昇給率は、最も多いのが「1%超~3%未満」が509社(51%)、次いで「3%超~5%未満」が266社(27%)、「1%未満」が98社(10%)と続いた(図7)。「2023春季生活闘争方針」(春闘)では5%程度の賃上げが要求されているが、それを下回る企業が大多数であることがわかる。
3.まとめ
今年度昇給を実施する企業は76%で、昇給を行う企業が多くあることが分かった。ただ、物価変動を考慮した実質賃金は減少が続いており、今後の物価高騰の影響によっては今年度の昇給以降も賃金上昇が物価高に追い付かず、厳しい状況が続く可能性がある。企業としては業績向上に努めるほか、公的支援制度なども活用して賃上げを図り、従業員の生活を保障していく必要がある。賃上げが関わる代表的な制度として、中小企業が前年度より従業員の給与を増額した場合に法人税の税額控除を受けられる「賃上げ促進税制」や、生産性向上に資する設備投資を行うとともに最低賃金を引き上げることで投資額の一部助成を受けられる「業務改善助成金」などが挙げられる。他にも、「事業再構築補助金」の成長枠・グリーン成長枠の大規模賃金引上促進枠では、事業場内最低賃金の年額45円以上の賃上げ等を達成することで、3,000万円の補助が上乗せされるなど、賃上げによって補助の拡充がされる制度もある。
エフアンドエムクラブでは、このような公的支援制度の情報を取り逃がさないよう、会員企業向けの公式LINEアカウント「補助金はやみ」にて、国・地方自治体の支援策に関する情報提供を行っている。また、昇給に関する規程整備や賃金テーブル、評価制度の策定などについても専門アドバイザーが相談を受け付けている。今後もエフアンドエムクラブでは各種情報提供だけでなく、様々なサポートを通じて中小・零細企業のバックオフィス強化に努めていく。
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