変形労働時間制の適用をデジタル化して労使協定と就業規則を自動作成「レイバーズ(Labors)」プロジェクトをスタート、SEYMOUR INSTITUTE
労働者と使用者の合意(コンセンサス)をブロックチェーン技術でデータの価値に置き換える
背景
使用者と労働者が持つ交渉力と優位性は、労働者に有利とは言えません。労使ともに理解のある労働協定の締結には使用者の積極的な関与が必須です。とくに変形労働時間制の適用は、 就業規則と労使間協定に明記かつ行政監督機関への届け出が必要であり、法律に沿った内容でかつ、使用者が任意に変更しないこと、そして協定内容どおり運用されることが"適用"と考えます。
課題
旅館や飲食サービスの中小企業は家族経営も多く、使用者が労働者的な業務を行うこともあり、労働に関する法の改正を追って調整する人材に欠き、就業規則の内容についての認知・理解の促進 、労使協定の適切な労働者代表の選任、そして変形労働時間制の正しい導入と運用が難しいことが現状です。
- 変形労働時間制の導入割合
企業規模30~100人未満では60.1%、1000人以上では78.4%、全体では62.6%が導入(*1) - 変形労働時間制の種類別導入割合
1年単位と1ヶ月単位の比率は全体で 7:5、企業規模30~100人未満で 5:2、1000人以上で 2:5、企業規模が大きいほど1ヶ月単位の変形労働時間制の導入が多い(*1)
宿泊業、飲食サービス業に関しては 3:8で1ヶ月単位の導入が多い(*2) - 宿泊および飲食サービス業の中小企業数
約500,000企業(または人)(*3)、中規模企業1社あたり19.6人(*4) - 宿泊および飲食サービス業(中小企業)におけるIT導入割合
ERP導入比率40%(宿泊業28%、飲食業12%)(*5)
(*2) 現行の労働時間制度の概要(厚生労働省)
(*3) 2020年版 中小企業白書・小規模企業白書(中小企業庁)
(*4) 令和元年中小企業実態基本調査速報(中小企業庁)
(*5) 中小企業のIT・AI活用について(経済産業省)
課題の解決
変形労働時間制導入の制度設計と労働者代表選任投票をアプリケーション化、就業規則と協定書/届作成を自動化します。画面の流れに従って、必要項目を選択、数字の設定を行うだけで、自動的に行政監督機関への届け出に満たす書類が作成できるプロジェクトです。そして、そのデータが、またはデータを元に計算された値(ハッシュ値)がブロックチェーンへ記録されます。
このプロジェクトは2020年9月30日に発表した「36協定における労働者代表選出の正当性をブロックチェーン技術で保証、協力企業を募集」を発展させたものです。
*https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000056649.html
労働者代表選出投票アプリケーションの動作
・従業員番号でログイン
・立候補または他従業員を指名投票
・設定された期間で投票を終了
・結果データを36協定書/届に反映
・従業員による結果の閲覧が可能
・集計結果をブロックチェーンに記録
労使協定・就業規則作成の自動化アプリケーションの動作
・使用者が事業所としてログイン
・変形労働時間制の種類の選択
・変形時間、適応期間、対象労働者の入力
・労働者選出アプリと同期
・労使協定書/届と就業規則がPDF化
・従業員によるデジタル閲覧が可能
・データのハッシュ値をブロックチェーンに記録
データの流れ
- 使用者が導入する変形労働時間制の設計の設定項目を入力する
- 入力されたデータは従来のデータベースで管理する
- 1の情報をもとに36協定内容が作成され、労働者代表の選出と協定内容に合意するために従業員が参加する
- 選任データは集計され、決定事項に従って必要な労使協定書/届と就業規則が作成される
- 作成された労使協定書/届と就業規則はPDFファイルで出力される
- 労働者は、労使協定書/届、就業規則ともにデジタル閲覧ができる
- 選任結果、労使協定書/届、就業規則のデータまたはデータのハッシュ値がブロックチェーンに記録される
競合他社、競争優位性
厚生労働省が提供する「事業者のための労務管理・安全衛生管理サイト、スタートアップ労働条件」では、ウェブ診断などで、労働基準法等の法令や労務管理等に関連する基本的な知識を学ぶことができます。同サイトの「作成支援ツール(36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面)」は直感的に操作ができ、中小企業にとって心強いアプリケーションですが、労使協定と就業規則作成は連動しません。
*https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp
レイバーズは労使間で重要な従業員の合意をシステムで保証するアプリケーションと、正当なプロセスで締結された協定、就業規則が改竄されていないことの証明、さらに、労働者へデジタル閲覧を可能にすることにより、組織の透明性を向上させます。
伊豆大川温泉 いさり火 旅館の協力
いさり火の代表 村上氏は親の代からの旅館を引き継ぎ、現在2代目の主人として歴史ある宿を守っています。従業員数 約30名弱の小規模な旅館ですが、はやくからクラウドベースの予約・客室管理システムPMS(Property Management System)を導入しデジタル化による効率的な旅館運営を行ってきました。いさり火は現在、変形労働時間制の導入に向けて整備を進めています。今回のプロジェクトの協力の範囲は、変形労働時間制導入に伴うワークフローをデジタル化するための情報および、導入までの使用者と労働者のコミュニケーションと総合理解のステップ、の共有と検証を想定しています。
プロジェクトの期間
ビジネスモデル検証用プロダクト開発は、2021年3月から9月までの半年を予定しています。
プロジェクト参加予定者
- 旅館運営を行うオーナー経営者と旅館の従業員
- スイスのホテルマネジメントスクールを終了したホスピタリティ・アドバイザー
- 日本オラクルのホテルシステム導入コンサルタント経験者
- ブロックチェーン技術を活用した電力取引、医療データのプロジェクトを行う開発企業
サービス・製品化を希望する企業を募集
レイバーズ・プロジェクトのサービスコンセプトを自社のサービス・製品に付加価値として組み込むことを希望する中小企業向けの勤怠管理、経理業務、企業設立、事務管理のSaaSを提供する企業を募集します。
- 問い合わせ
SEYMOUR INSTITUTE 株式会社 https://seymour-inst.com
大学研究室、学生の教育への活動は、基本無償で行います。
株式会社 いさり火
創業1970年、伊豆大川温泉で「 いさり火」旅館を運営。 相模湾を一望できる、全室源泉かけ流し露天風呂付の宿として伊豆大川を代表しています。
URL:https://www.isaribi.co.jp
SEYMOUR INSTITUTE(シーモア インスティテュート)株式会社
スイスと日本のテクノロジーにおける産学連携活動、スイス事業進出に関連した機密性の高い活動を行います。
スイスの大学研究グループ、スイスのテクノロジー企業と提携・協力しています。
- 日本の対スイス投資事業に関する市場戦略情報 / シンクタンク
- スイスで会社を設立する日本企業へ向けた株式のデジタル化 / セキュリティトークン実装支援
- ブロックチェーン技術を活用した社会実装サービスのビジネスモデル / 企画 / 支援
アカデミック シンクタンクの貢献活動
- 2020年7月6日〜24日
公式スポンサー:チューリッヒ大学 インターナショナル・サマースクールプログラム 2020 - 2020年7月28日
講演:在日スイス大使館主催"ブロックチェーン先進国・スイスの最新技術動向とビジネス導入に迫る" - 2020年9月25日
講演:筑波大学 面研究室、他共催"第2回ブロックチェーンセキュリティ(BSEC)研究会"
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