𠮷野家セントラル工場に『過熱蒸煎機』の本格導入が決定。年間約250トンの玉ねぎ端材の「かくれフードロス」ゼロを目指して
𠮷野屋、ASTRA FOOD PLAN、食品メーカーの3社合同で持続可能な「循環型フードサイクル」構築へ
ASTRA FOOD PLANは、𠮷野家の玉ねぎ端材の一部を使用した商品開発の実証実験を2023年2月から実施(※1)してきました。今回『過熱蒸煎機』が導入されることで、𠮷野家がこれまで廃棄してきた年間約250トンの玉ねぎ端材のほぼ全量を、有効活用できるようになります。
『過熱蒸煎機』導入後は、𠮷野家が製造する『タマネギぐるりこ(※2)』をASTRA FOOD PLANが買い取り、食品メーカー等に販売します。食品メーカー、𠮷野家、ASTRA FOOD PLANの3社で新商品の共同開発を開始しており、3社合同の取り組みにより、持続可能な循環型フードサイクル構築を目指します。
(※1)実証実験
『タマネギぐるりこ』用途開発の実証実験。ポンパドウルからオニオンブレッドが発売されました。
▼実証実験開始時のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000099210.html
(※2)『ぐるりこ©』
過熱蒸煎機で製造する食品パウダーの総称。『ぐるりこⓒ』は特許庁商標登録済み商標です。6723114号
▼商標出願時のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000099210.html
𠮷野家の『過熱蒸煎機』導入の背景
年間1億食の牛丼を提供する𠮷野家では、牛丼用玉ねぎのスライス加工を行うセントラル工場(吉野家東京工場、埼玉県加須市)で、1日最大700kgの玉ねぎの端材が発生しています。むき玉ねぎの芯をくりぬく工程や、表面の硬い部分をトリミングする工程、スライス工程で発生する規格外の大きさのものなどが端材となっています。
生の玉ねぎは人間以外の動物にとっては中毒症状を引き起こす可能性があるため飼料化ができず、また抗菌性が強いため堆肥化することも難しく、活用方法を模索してきましたが、やむを得ず全量廃棄されてきました。
2023年2月から開始した『タマネギぐるりこ』を使用した商品開発の実証実験から、高品質な食品パウダーに加工することができ、食品原料として需要も見込めるとわかりました。また、『過熱蒸煎機レンタル&ぐるりこ買い取りモデル』により経済性の担保が確立されたことを受け、今回本格導入に至りました。
全量廃棄されていた玉ねぎの端材は『過熱蒸煎機』で粉末化することにより、新たな食品原料『ぐるりこⓒ』へと生まれ変わります。
『過熱蒸煎機レンタル&ぐるりこ買い取りモデル』
ASTRA FOOD PLANは、今回新たに『過熱蒸煎機レンタル&ぐるりこ買い取りモデル』のサービスを𠮷野家に提供します。
1.𠮷野家に『過熱蒸煎機』をレンタル
ASTRA FOOD PLANは、『過熱蒸煎機』を製造委託先からリースで取得し、𠮷野家にレンタルします。このモデルにより、ASTRA FOOD PLANも𠮷野家も、固定資産を持つことなく『過熱蒸煎機』を利用することができます。
2.ASTRA FOOD PLANが『タマネギぐるりこ』を買い取り
『タマネギぐるりこ』は𠮷野家が製造し、ASTRA FOOD PLANが買い取ります。𠮷野家は『タマネギぐるりこ』の営業をする必要がなく、玉ねぎ端材の廃棄をほぼゼロにすることができ、収益化することができます。
3.『タマネギぐるりこ』を食品メーカー等に販売
𠮷野家から買い取った『タマネギぐるりこ』は、ASTRA FOOD PLANが食品メーカー等に販売します。『タマネギぐるりこ』を原料として、𠮷野家・ASTRA FOOD PLAN・食品メーカーの3社でカレーの商品開発も進めています。最終的には𠮷野家の店舗でカレーとして提供する循環型フードサイクルの実現を目指しています。
三方良しを超えて五方良しのビジネスモデル
『過熱蒸煎機レンタル&ぐるりこ買い取りモデル』は、全方位にメリットをもたらします。
𠮷野家
・年間数百万円の玉ねぎ端材の廃棄コストがほぼゼロに
・『タマネギぐるりこ』にアップサイクルして販売することで玉ねぎ端材を収益化
ASTRA FOOD PLAN
・自社の工場を持たずに『ぐるりこⓒ』の量産・販売が可能になる
・『過熱蒸煎機』の販売のみのビジネスモデルに比べて、収益性が向上
食品メーカー
・風味の良い新素材『ぐるりこⓒ』を活用したSDGsを訴求できる新商品の開発・販売
地球環境
・端材の焼却処分と比較して、大幅にCO₂の排出量が削減される
・食糧危機、フードロスなど様々な社会課題の解決に繋がる
消費者
・『ぐるりこ©』が使用された商品を購入することで、おいしくSDGsに貢献
・『ぐるりこ©』が使用された商品を通じた食育
𠮷野家に導入される『過熱蒸煎機』の機種
今回𠮷野家に導入される過熱蒸煎機は、1時間あたり200㎏の生原料を乾燥・殺菌処理することができる200typeの機種です。𠮷野家で発生する玉ねぎの端材1日700㎏は、約3.5時間の稼働で全量を乾燥することができます。乾燥に24時間程度かかるフリーズドライや熱風乾燥機と比較すると大幅な時短となり、エネルギーコストも抑えられています。
『タマネギぐるりこ』の生産量
𠮷野家で生産される『タマネギぐるりこ』は、月間1.5トン前後、販売開始は2024年4月ごろを見込んでいます。
今後の展望
𠮷野家の玉ねぎ端材の量には限りがあるため、『タマネギぐるりこ』の需要が大きくなった場合は、『過熱蒸煎機レンタル&ぐるりこ買い取りモデル』を別事業者に横展開し、製造拠点を増やしていく計画です。
現時点では、ASTRA FOOD PLANが買い取ることができる品目は玉ねぎのみとなっていますが、将来的には人参やキャベツ、ゴボウなど別の品目にも同モデルが適用できるように、用途開発と販路開拓を進めていきます。
関係者からのコメント
𠮷野家ホールディングス 執行役員 グループ商品本部 副本部長 素材開発部長 辻智子氏
今回のASTRA FOOD PLAN社との『タマネギぐるりこ』の取り組みによって、日々発生する規格外玉ねぎのもつ風味と美味しさを存分に生かすモノつくりが出来たことを大変嬉しく思っています。過熱蒸煎という機構と風味豊かな素材の組み合わせが高い品質を生むことにより、今後も複数の企業様との協働が実現し、食に関わる産業の持続的循環が可能になると感じています。
当社の地球環境保全への取り組みは、単に「もったいない」だけではなく「こんなに美味しくなる」ことによってお客様に喜んでいただくことを目指しています。
ASTRA FOOD PLAN株式会社 代表取締役社長 加納千裕
𠮷野家様との出会いは2022年2月でした。完成して間もない『過熱蒸煎機』で何度も乾燥テストを重ね、実証実験を経て約2年かけて導入決定に至ったことを、本当にありがたく、嬉しく思います。多くの学びを得ることもできました。ここまで来られたのは、ひとえに私たちと𠮷野家様が「もったいない」「何とかしたい」という想いを共有したからではないかと思います。
今回新たに生み出した『過熱蒸煎機レンタル&ぐるりこ買い取りモデル』は、全国の「かくれフードロス」問題を解決するためのソリューションになると確信しています。それを実証するには『過熱蒸煎機』導入後が、勝負です。タマネギをはじめ、多種多様な『ぐるりこ©』の用途開発、販路開拓を進め、新たな仕組みと市場を確立できるように速度を上げて邁進していきます。
ASTRA FOOD PLANのこれまでの歩み
「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」によると、2019年における日本国内の食品ロスは、約570万トンと推計されていますが、農林水産省がまとめた「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」(※3)では、食品ざんさや未利用農作物などの不可食部分も含めた「食品由来の廃棄物等」は2531万トンにおよぶことがわかっており、大きな社会課題となっています。
ASTRA FOOD PLANは、この一般的な食品ロスの約4倍となる年間約2000万トン(※4)の食品廃棄を「かくれフードロス」と呼び、その削減とアップサイクルに取り組んでいます。
「かくれフードロス」を新商品『ぐるりこⓒ』に変え、循環型フードサイクルの構築を目指すASTRA FOOD PLANは、2020年に創業し、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥・殺菌機『過熱蒸煎機』を独自開発しました。
『過熱蒸煎機』は従来の乾燥機とは異なり、5~10秒で乾燥と殺菌を同時に行うことができるため、高い生産効率を生み出します。この圧倒的なスピードを持つ食品乾燥装置は、当社の相談役、加納勉(※5)が約20年間におよび研究を行なってきた過熱水蒸気技術を応用して開発しています。
『過熱蒸煎機』を利用して食品ざんさや規格外農作物等をアップサイクルし、風味や栄養価の減少を抑えた高付加価値パウダーは『ぐるりこⓒ』と命名して商標登録し、今後ブランディングを行っていきます。
𠮷野家とポンパドウルとの実証実験や、「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト」などの産学官連携など、実証実験を行いながら『ぐるりこ©』の用途開発を進めていいます。
(※3)農林水産省『~食品ロス量(令和元年度推計値)を公表~』(2021年11月30日)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/211130.html
(※4)「年間2000万トンのかくれフードロス」=「2531万トン(食品由来の廃棄物等)」-「約570万トン(本来食べられるのにも関わらず廃棄される食品ロス)」
(※5)代表取締役社長 加納千裕の父。過熱水蒸気技術の第一人者。過熱水蒸気オーブンを開発。元セブン‐イレブン・ジャパン常務取締役。
『過熱蒸煎機』について
『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置です。以下の3つの特徴により、野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能です。
1.食材の風味の劣化と酸化を防止
数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぎます。食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっています。
2.低コスト、高い生産効率を実現
ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現。連続式で生産効率が高く、従来型乾燥技術のコストの課題をクリアしました。
3.スピード殺菌乾燥
過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5~10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できます。
製品名:過熱蒸煎機
発売日:2022年4月4日
※『過熱蒸煎機』カタログダウンロード https://www.astra-fp.com/download/
『ぐるりこⓒ』について
『ぐるりこⓒ』は、『過熱蒸煎機』によって風味、栄養価の減少を抑えながら製造される高付加価値パウダーの総称です。素材別には”玉ねぎぐるりこ”、”キャベツぐるりこ”などとなります。
サスティナブルで循環型のフードサイクルを目指していることと、『過熱蒸煎機』内で原料をぐるぐると回転させながら乾燥殺菌する製造工程の様子を表したキーワード「ぐるり」と、Collaborate、Cooperation、粉の「こ」を組み合わせた造語です。
・会社概要
ASTRA FOOD PLAN株式会社
本社所在地:埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26
代表取締役:加納千裕
設立:2020年8月
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