「日本マーケティング本 大賞2023」は、『イノベーションの競争戦略 ― 優れたイノベーターは0→1か? 横取りか? ―』内田 和成(編著)、東洋経済新報社

日本マーケティング学会員が選ぶ「日本マーケティング本 大賞2023」を発表!

日本マーケティング学会

 日本マーケティング学会(会長:西川 英彦)は、第6回「日本マーケティング本 大賞2023」の受賞書籍の発表と授賞式を10月29日(日)開催の「マーケティングカンファレンス2023(https://www.j-mac.or.jp/conference/)」にて、行いました。
 日本マーケティング本 大賞は、マーケティング理論や実践の普及のため、1年間に日本で出版されたマーケティング書籍(翻訳本を除く)を対象に、日本マーケティング学会の会員が推奨する優れたマーケティング書籍として投票形式で選出するものです。
https://www.j-mac.or.jp/bookaward/

本年は、8作品がノミネートされ、2次投票の結果、「日本マーケティング本 大賞 2023」の受賞書籍は以下のとおりとなります。なお、以下の推薦理由は、2次投票の際に記入された個別の推薦理由を事務局でとりまとめたものです。


  • 「日本マーケティング本 大賞2023」の受賞書籍

【大賞(1冊)】

『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?』  内田 和成(編著)『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?』 内田 和成(編著)

『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?』

内田 和成(編著)、東洋経済新報社、2022年4月刊行
推薦理由:「マーケターの実践に示唆を提示する、行動変容としてのイノベーションの理解」
 
本書では、顧客の行動変容こそがイノベーションの本質であると捉えた上で、それを実現するマーケティング戦略が明快に解説される。社会構造・心理変化・技術革新という「イノベーションのトライアングル」がドライバーとなり、新たな価値を創造し、その新しい価値が顧客の態度を変え、さらには行動を変えることによってイノベーションが創出されるプロセスが豊富な事例と共に描き出される。 

 従来、新製品・サービスの開発とマーケティングとは区別されることが多かったが、行動変容の達成までを射程に含めることで、著者は、イノベーションの創出のために、マーケターや大企業が何をなすべきかについて、革新的なアイデアと実践的戦略を提示する。


【準大賞(2冊)】

『応援消費:社会を動かす力』  水越 康介(著)、岩波書店『応援消費:社会を動かす力』 水越 康介(著)、岩波書店

『応援消費:社会を動かす力』

水越 康介(著)、岩波書店、2022年7月刊行

推薦理由:「応援と消費を結び付ける論理から、新しい消費社会の可能性を描く」

 本書は、「応援消費」と呼ばれる新たな消費行動に光を当て、これからの時代の消費を理解するための深く鋭い視点を与えてくれる一冊である。筆者によれば、東日本大震災からコロナ禍にかけて注目されるようになった、苦境の人や企業を消費で支援する動きが生み出された背景には、利他的な感情と経済の論理が対立し、時に調和していく歴史があった。

 ふるさと納税のような実際の事例を通じて、「贈与の交換化」という現象が解説されるため、実践的な洞察を得られると同時に、理論的な気付きが促される。新しい消費社会の可能性を明らかにする本書は、今後のマーケティングや本学会のあり方にも大きな影響を与えるものである。


『進化するブランド:オートポイエーシスと中動態の世界』  石井 淳蔵(著)、碩学舎『進化するブランド:オートポイエーシスと中動態の世界』 石井 淳蔵(著)、碩学舎

『進化するブランド:オートポイエーシスと中動態の世界』

石井 淳蔵(著)、碩学舎、2022年8月刊行

推薦理由:「進化するブランドの本質を、日本的ブランディングと新たな理論視座から探究する」

 本書は、「反進化型」と「進化型」という2つのブランディングを比較しながら、ブランドの動態と進化の本質、それを促す文化的土壌について、実践的・理論的に明らかにした大著である。「ブランドらしさ」の形成と進化を、オートポイエーシスや中動態といった新しい視点で探求しており、非常に深い示唆を得られる。同時に、無印良品など日本的なブランディングの豊富な事例を用いながら、平易な筆致で展開されるため、マーケティング初学者にも理解しやすい内容となっている。

 著者独自の優れた見解によって示される、ブランドに対する本質的な理解は、研究としての貢献だけでなく、実務者に対しても極めて高い重要性を持つものである。




●マーケティング本 大賞2023 ノミネート作品 2次投票結果

大賞:『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?』

 内田 和成(編著)、東洋経済新報社

準大賞:『応援消費:社会を動かす力』
 水越 康介(著)、岩波書店
準大賞:『進化するブランド:オートポイエーシスと中動態の世界』
 石井 淳蔵(著)、碩学舎
『アートプレイスとパブリック・リレーションズ:芸術支援から何を得るのか』
 川北 眞紀子・薗部 靖史(著)、有斐閣
『カスタマー・アドボカシー志向:デジタル時代の顧客志向戦略』
 山岡 隆志(著)、有斐閣
『地域プラットフォームの論理:プレイス・ブランディングに向けて』
 長尾 雅信・山崎 義広・八木 敏昭(著)、有斐閣
『デュアル・チャネル:B2Bマーケティングにおける流通戦略』
 石井 隆太(著)、千倉書房
『「持たない時代」のマーケティング:サブスクとシェアリング・サービス』
 髙橋 広行・CCCマーケティング総合研究所(編著)、同文舘出版


●「日本マーケティング本 大賞2023」について
対象:
 2022年4月1日から2023年3月31日までに日本で刊行(奥付の日付)された、マーケティング関連のオリジナル書籍(テキストおよび電子書籍を含む、翻訳を除く)

審査方法:

・1次投票として、学会員は一人1~3作品を投票

・1次投票の投票数上位10作品をノミネート本として発表

・2次投票として、学会員はノミネート作品の中から、上位1~3作品を選び専用フォームにて、順位をつけて投票および推薦コメントを記述

・2次投票の投票数上位より、大賞作品を決定

・マーケティングカンファレンスにて、結果発表、大賞・準大賞(ベスト3)の授賞式

■ 日本マーケティング学会の概要

日本マーケティング学会は、日本のマーケティング力を培っていくために、理論と実践、そして他分野との深いレベルでの交流を通して「探求と創発」を目指す、2012年に発足した日本学術会議協力学術研究団体です。

2000名を超える研究者や実務家の会員が所属し、学術誌マーケティングジャーナルおよびマーケティングレビューの発行をはじめ、マーケティングカンファレンスや、30を超えるテーマが研究されるリサーチプロジェクト、魅力的なゲストを招くマーケティングサロンなど多様な「探究と創発」の場を提供しています。


設立  :2012年8月2日

参加団体:日本学術会議協力学術研究団体

会長  :西川 英彦(会長 / 法政大学 経営学部 教授)

URL  :https://www.j-mac.or.jp/

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会社概要

日本マーケティング学会

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URL
https://www.j-mac.or.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都港区六本木3-5-27 六本木山田ビル9F(公益社団法人 日本マーケティング協会内)
電話番号
-
代表者名
西川英彦
上場
未上場
資本金
-
設立
2012年08月