フィリピン台風上陸から3週間。子どもたちが絵に描いた「今欲しいもの」は? フィリピン台風被災地の調査結果
カテゴリー5の猛烈な台風22号により壊滅的な被害を受けたフィリピン各地の村を国際NGOが調査。子どもたちを対象にした調査結果には生活への影響が如実に表れていた。
2021年12月16日から18日にかけてフィリピン中部地域を襲った台風22号(ライ/フィリピン名:オデット)の被害状況は、1月11日までに分かっているだけでも797万人(223万世帯)、倒壊家屋127万棟(全壊36万軒、半壊91万軒)にのぼっており、この数字は今後、交通網や通信網の回復が進むにつれてまだ増える可能性があります。
過去の大型台風上陸の際にもフィリピン国内の被災者支援に取り組んできたアドラは、12月から1月にかけて、ミンダナオ島、セブ島、レイテ島、ネグロス島、ディナガット島、パラワン島に、台風被災者支援活動の経験があるスタッフを派遣。特にネグロス島では甚大な被害が出ているにも関わらず、他の援助団体がほとんど支援に入れていない地域があったため、ネグロス島において複数分野にわたる包括的な調査を実施することを決め、実際に被災地域を歩いて調査を行うトランセクトウォークや、家庭ごとの調査、グループごとに話しやすい環境で被災した方に直接話を聞くフォーカスグループディスカッション等の手法を用いて調査を行いました。
調査した分野は、食糧・生計手段・栄養確保、交通アクセス、水・衛生、日用品(食料以外の物資)、住まい、健康、社会的に弱い立場にある人々の保護、心の健康、教育、情報アクセスと多岐にわたります。
子どもたちを対象にした調査は、被災した状況や今すぐに欲しいものをそれぞれの子どもに絵や文字でかいてもらう方法で実施。子どもたちの絵には、勢いよく流れてきた水により家が流されていく様子や、今なくて困っている屋根や釘、食べ物、衣類などの絵が描かれていました。食べ物以外の物資で特に多かった3つは、洋服、サンダル、スプーンで、家がまるごと流されてしまった影響がつぶさに表れていました。
農家を対象にした調査では、収穫間近だった家庭消費用のお米、野菜、果物の80%と、収入のために育てていた換金作物の90%が流されてしまい、食料と収入減の両方を失ったうえに、田畑が深い泥に埋まってしまったため、生活を立て直すための資金と時間が必要なことが明らかになりました。また漁やボート観光を収入源としていた世帯でも、舟が壊れてしまい、事業の再開が難しい現状であることもわかりました。
アドラは今回の調査結果から総合的に判断し、すでに取り組んできた食料や日常必需品の緊急支援物資の配付に加えて、今月から数か月の間は、収入減を失った方を支えながら地域の復興を助けるため、がれきの撤去作業に対して賃金を支払うキャッシュフォーワークの支援と、家屋の修復支援に取り組んでいくことを決定しました。
家屋の修復支援には1軒あたり7~10万円、キャッシュフォーワークには1地域の実施で300~400万円が必要だと見積もられており、そのほか生計回復支援として、舟や種子の購入費用などの支援も今後必要になると考えています。アドラでは支援活動の資金を確保するため助成金の申請を進めているほか、一般の企業や個人の方からの寄付を引き続き募集しています。
【寄付先情報】
フィリピン台風22号被災者支援のためのアドラ緊急募金特設サイトはこちら https://www.adrajpn.org/Emergency/Philippines2021/Philippines2021.html?Prt |
【フィリピン全体の状況】
被災者数:7,974,767人(2,232,384世帯) (参照:DSWD DROMIC Report #49 on Typhoon “ODETTE” as of 10 January 2022, 6PM) ※食料、日用品、きれいな水、衛生設備、衛生用品、シェルター、医薬品、生計の立て直しへの支援が必要とされている |
【ネグロス・オクシデンタル州の状況(調査結果)】
被災者数: 1,144,077人(288,732世帯) ※アドラが行った調査レポートの全文はこちらよりダウンロードが可能 https://www.adrajpn.org/Emergency/Philippines2021/Philippines2021.html#report |
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