寄付検討者の約3割が「不動産(自宅)」の遺贈寄付を希望 〜不動産の有効活用として の遺贈寄付が地方創生・空き家問題解決の糸口となる可能性も〜【2023年「遺贈寄付」に関する実態調査】

「選択できる相続」としての遺贈寄付の普及を目指す 寄付の使途の不明瞭さや手続きの複雑さが課題、プロセスの簡略化や透明化が今後の展開の肝に

日本承継寄付協会

一般社団法人日本承継寄付協会(所在地:東京都文京区、代表理事:三浦美樹 以下「当協会」)は、「遺贈寄付に関する実態調査」の4回目となる2023年度の調査を実施しました。昨年まで全国の50代~70代を対象としていましたが、今回の調査では、初めて20代以降の若い世代にも調査対象を広げ、世代間による認知・評価の違いが浮き彫りとなりました。また、「遺贈寄付時の希望財産」の中で、「不動産(自宅)」を希望する人の割合がかなり大きかったことが特筆すべき結果となりました。本調査の実施と分析について、その結果をご紹介します。今回は、毎年12月に実施される「寄付月間」期間に合わせての発表となります。

本調査結果は2024年1月22日(月)実施のイベント(下記詳細)でも解説いたします。


■2024年1月22日(月)18:00~

『時代は「選べる相続」へ  多様化するニーズの中で、最新の相続の形とは?』

詳細/申込みページ:https://forms.gle/eKi2rcnJYBkRdVV86

※会場参加は「懇親会付き」/ オンライン参加は「無料」

*申込参加の上、イベント終了後アンケートに回答いただいた方に「調査結果レポート」を差し上げます。(アンケートはイベント当日にご案内させていただきます)


  •  実施背景

今日、財産の一部を亡くなった後に寄付する「遺贈寄付」について、老後のお金の心配をせずに誰もが実現できる新しい社会貢献として、関心が高まってきています。

少子高齢化による社会構造の変化等を背景に、相続人不在であるケースや、相続人も高齢化することで、日本の富の多くは60代以上の間で循環しており、若い世代に下りてこない状況が全国的な社会課題となっています。この状況を解消するため、資金支援を必要とするNPO等の社会的活動を行う団体や大学の研究資金、地域を通して、若い世代にも富を循環させ経済を活性化させる手段としても遺贈寄付は注目されています。


当協会は、遺贈寄付の普及を通じて、「おもいやりのお金が循環する社会」を目指して、遺贈寄付の実現を遠のかせている課題解決に向け事業を推進しています。その柱の一つとして調査事業があり、遺贈寄付が日本でも根付くようにと、当協会で2020年より実態調査を開始し、本年度で4回目の調査となりました。


遺贈寄付は「人生最後の社会貢献」ができる選択肢の1つとも言われ、使わずに残った財産を未来に届けることができ、社会貢献や叶えたかったことに使えます。英国はじめ欧州を中心とする国々では、遺贈寄付の普及啓発のためのキャンペーンを毎年実施しており、当協会では、少額からの遺贈寄付の遺言書作成において専門家報酬の助成金を出す「フリーウィルズキャンペーン」を開催中です。

(申請期間2024年3月29日(金)まで延長)


フリーウィルズキャンペーン特設サイト:https://freewills.izo.or.jp/



  • 主な調査結果

本年度の遺贈寄付に係る実態調査を通じて、大きく5つの示唆が得られました。


  1. 【遺贈寄付時の希望財産】

    遺贈寄付の意向がある方のうち、26.9%が「不動産(自宅)」を希望。

    遺贈寄付の希望財産については、「現金」が大半を占める他、次点で「不動産(自宅)」が多く、遺贈寄付検討者のおよそ4人に1人が希望する結果になった。遺贈寄付が、都市部・地方圏問わず重要な社会問題となっている「空き家問題」の解決に寄与する可能性がある。


  2. 【遺贈寄付の認知度推移】

    遺贈寄付の認知度は、50~70代に限定すると65.3%であり、前年度対比で上昇傾向

    20~70代における遺贈寄付の全体認知度は53.3%、50~70代に限定した場合には、65.3%の認知度に上り、前年度(2022年度)調査※と比較で約7%増加していた。当協会の取組を含むメディア出演等に一定の有効性がある可能性がある。

    ※2020年度~2022年度調査は50~70代のみが対象


  3. 【遺贈寄付に対する印象・評価の違い(寄付経験別)】
    寄付経験者は、未経験者と比較し、遺贈寄付に対して好意的に捉える傾向にある。

    特に、若年層は遺言書作成等に係る機会が限定的であることからも、まずは「寄付文化」を醸成することが重要だと示唆される。


  4. 【遺贈寄付に対する印象・評価の違い(年代別)】

    遺贈寄付に対して「子孫や親族の誇りになる(想いや人柄を伝えることができる)」と考える割合が、年代に応じて減少傾向にある等、年代間でも遺贈寄付に対する印象・評価にギャップがあった。

    被相続者として想定される子孫や親族がどのように捉えているか、遺贈寄付の説明時に正しく伝えることが重要だと考えられる。


  5. 【遺贈寄付の実施意向に係るペインポイント】

    遺贈寄付を考えるにあたり不安な点や準備していない理由として、遺贈寄付の認知有無関わらず「寄付の使途が不明瞭」「遺贈寄付のやり方が分からない」が多数を占めていた。

    遺贈寄付プロセスの簡略化や透明化は、今後の展開の肝になる可能性がある。



1.【遺贈寄付時の希望財産】

Q.遺贈寄付(ご自身が残す財産から「寄付をする」事)を考えた場合、どの財産を寄付したいと思いますか。お気持ちに近いものをお選びください。 (お答えはいくつでも)


遺贈寄付の意向がある方のうち、26.9%が「不動産(自宅)」を希望する結果となり、「現金」77.4%の次に相続を希望する方が多いことがわかりました。遺贈寄付検討者のおよそ4人に1人が希望することになり、相続財産として「不動産(自宅)」の遺贈寄付ニーズが十分にあることが窺えます。

また、保有財産が5,000万円~1億円未満の人で「不動産(自宅)」を選んだ人は27.1%、1億円以上の人は31.3%となり、保有財産が多くなるにつれ、「自宅以外」を選んだ人も含め、不動産の遺贈寄付を希望する傾向が高いと言えます。

「不動産」は換価がしづらい等の課題が指摘される一方で、遺贈寄付が不動産の流通や「空き家問題」の解決に寄与する可能性があることを示す結果となりました。

空き家は、 維持管理のコスト負担や災害に伴う倒壊の懸念、不法侵入・放火等による治安悪化等、様々なリスクを抱えています。 また総住宅数に占める空き家の割合を示す空き家率は、 過疎地で高い傾向にあり、空き家問題 は、地方圏を中心に大きな社会問題となっています。 その解決策として、空き家を高齢者や生活困窮者への住居として供給することで、住宅問題の緩和に繋がる可能性があり、また公共施設や文化施設として活用されれば地域の発展やコミュニティの強化に寄与するなど、地方創生にも繋がる一歩として、不動産の有効活用としての遺贈寄付が期待されます。



2.【遺贈寄付の認知度推移】

Q.あなたは遺贈寄付(亡くなった後のご自身の財産(の全部または一部)が寄付できる)のことを知っていましたか。(お答えはそれぞれ1つ)


遺贈寄付の認知度は53.3%。50~70代に限定すると65.3%であり、前年度対比で上昇傾向となっており、2022年度調査結果と比較すると、認知度は+7%と上昇しています。

ただし、年度により回答のバラつきが見られるため、依然として継続的な啓発・情報発信活動は必要と捉えています。

遺贈寄付について理解している人の割合は28.3%。年代別では、年代が上がるにつれて認知・理解度も上昇傾向にあります。具体的に内容まで理解している層の割合は低い一方で、保有財産1億円以上の富裕層は内容まで理解している割合が他より明らかに高い結果となりました。



3.【遺贈寄付に対する印象・評価の違い(寄付経験別)】

Q.呈示された「遺贈」についての説明をお読みになりお答えください。「遺贈寄付」に対するお気持ちや考えとして、下記の項目それぞれについて、ご自身にあて はまるものをそれぞれお選びください。(お答えはそれぞれ1つ)


「遺贈寄付」に対する考えとして、「少額でも遺贈寄付ができることが良い」と答えた人が全体の63.5%となり、寄付経験者に限ると77.4%に上り最も高い数値となりました。

また寄付経験者は、全ての項目において、未経験者を上回り遺贈寄付の特長を評価する傾向であり、寄付未経験者に比べて、寄付経験者の方が遺贈寄付を好意的に捉える傾向にあることが窺えます。

特に、若年層は遺言書作成等に係る機会が限定的であることからも、まずは「寄付文化」を醸成することが重要になると考えます。



4.【遺贈寄付に対する印象・評価の違い(年代別)】

Q. 呈示された「遺贈」についての説明をお読みになりお答えください。「遺贈寄付」に対するお気持ちや考えとして、下記の項目それぞれについて、ご自身にあて はまるものをそれぞれお選びください。(お答えはそれぞれ1つ)


「子孫や親族の誇りになる(想いや人柄を伝えることができる)」と考える割合が、20代が最も高く48.2%、30代~50代においても40%を超えており、60代~70代と比べて高く、若年層のほうが好意的に捉えていることがわかりました。遺贈寄付に対する年代間での印象・評価にギャップが生じています。

被相続者として想定される子孫や親族がどのように捉えているか、遺贈寄付の説明時に正しく伝えることが重要だと思料いたします。



5.【遺贈寄付の実施意向に係るペインポイント】

Q. 遺贈寄付(ご自身が残す財産の一部を寄付をする)を考えたことがある方にお伺いします。あなたが遺贈寄付について考えたとき「断念した理由」や「不安に思うこと」もしくは「まだ準備をしていない」理由は何ですか。お気持ちにあてはまるものをすべてお選びください。(お答えはいくつでも)


遺贈寄付を考えるにあたり不安な点や準備していない理由として、回答者全体では、「寄付したお金がどのように使われるか不明瞭」が42.4%で最多となり、次点で「遺贈寄付のやり方がわからない」と回答した方は26.8%。「誰に、どこに相談したら良いか分からない」が25.6%という結果となり、昨年同様の順番となりました。

遺贈寄付を実施する上で懸念点となっているのが、遺贈寄付の認知有無関わらず「寄付の使途が不明瞭」「遺贈寄付のやり方が分からない」という点が大きな理由となっています。

遺贈寄付の普及に向けて、プロセスの簡略化や透明化は、今後の展開の肝になる可能性があることがわかります。そのため当協会で実施している遺贈寄付の専門家である承継寄付診断士の養成だけでなく、寄付先となる団体の透明性や魅力発信などの情報発信が鍵と考えます。



  • 考察と今後の展望について

一般社団法人日本承継寄付協会 代表理事 三浦美樹一般社団法人日本承継寄付協会 代表理事 三浦美樹

今回の調査結果に対して、一般社団法人日本承継寄付協会の代表理事で司法書士の三浦美樹は、下記のようにコメントしています。


今回の調査結果において、遺贈寄付検討者のうち26.9%が相続財産として「不動産(自宅)」を希望しており、不動産の遺贈寄付ニーズが十分にあることが窺えます。
関連して、日本の空き家問題は都市部・地方圏を問わず重要な社会課題となっています。
不動産は換価が難しいなどの課題も指摘されていますが、遺贈寄付検討者が抱えるニーズの高さから、遺贈寄付が空き家問題の解決にも寄与する可能性があると考えております。


50代以上の年齢層で遺贈寄付の認知は前年より高まっている反面、「寄付の使途が不明瞭」「誰に、どこに相談したらいいのか分からない」「遺贈寄付のやり方がわからない」という声が昨年までと同様に大きな課題として残っています。
引き続き啓発活動が必要であるという認識を再確認し、当協会の発行する寄付情報誌「えんギフト」の配布で「遺贈寄付は誰でもできる寄付」であることを広めてまいります。


当協会においては、不動産相続のサポートも担うことができる承継寄付診断士の育成も行っており、ますますその重要性が高まっていることを実感しております。「選択できる相続」として自分が望むお金の使い方を実現できるよう、引き続き様々な取り組みをしてまいります。



■「遺贈寄付が分かる」を届ける情報誌『えんギフト』(冊子またはPDFにて無料配布中):https://www.izo.or.jp/service/gift.html


遺贈寄付を実施する上で不安な点として挙げられているのが、「遺贈寄付のやり方が分からない」「誰に、どこに相談したら良いか分からない」という点が大きな理由となっています。当法人編集の遺贈寄付の情報発信メディア『えんギフト』はこのような声に応えるべく昨年度より発行を開始しました。

「遺贈寄付は少額からできるもの」「信頼できる相談先」「未来を託したい、信用できる寄付先」という、遺贈寄付をより良く知っていただくための情報発信を、これからも重要な施策として推進していきたいと考えています。




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  調査概要 
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調査名:遺贈寄付に関する実態調査
調査方法:Web調査
調査地域:全国

調査対象条件:20代~70代男女

サンプル数:1,000サンプル
割付:20代(男女各83人)、30代(男女各83人)、40代(男女各83人)50代(男女各83人)、60代(男女各84人)、70代(男女各84人)※モニター調査であるため、回答者バイアスの可能性がある点は留意
調査実施期間: 2023年10月31日(火) ~ 2023年11月6日(月)
調査項目:上記にあげたもの以外

・日本の社会課題に対する寄付への経験

・寄付を行ったことが無い理由

・寄付をしたきっかけ・動機

・寄付の継続性

・寄付をした後に取った行動

・寄付先団体・分野の希望

・家族の生前贈与、遺贈寄付に対して感じること

・財産の「寄付」検討経験

・遺贈寄付の実践意向

・遺贈寄付を考えたことがない理由

・法定相続人

・法定相続人と寄付金額の意向

・遺贈寄付の準備

・家族への遺言書作成に対する希望

・遺言書を書かない(まだ書いていない)理由

・「遺贈寄付」時の相談先重視点

・保有財産と遺贈寄付検討度の関係

※全ての調査結果を取得したい場合は、日本承継寄付協会までお問い合わせください


《これまでの実態調査》
・2020年
「遺贈寄付は少額でも遺贈できることが良い」と48.5%が回答『遺贈寄付に関する実態調査』結果発表
~普及には「支援機関の信頼性」と「きめ細やかな支援」が必要との認識~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000063820.html

・2021年
遺産の寄付先「子供の貧困」に36・0%で最多『遺贈寄付に関する実態調査2021』結果発表
~「配偶者、子、孫がいない人」の5人に1人が全財産または高額寄付の意向~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000063820.html


・2022年

親族のする少額の⽣前寄付・遺贈寄付、約8割が「好意的」な回答 〜3年目となる『遺贈寄付に関する実態調査2022』結果発表〜

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000063820.html


 

  • 一般社団法人日本承継寄付協会とは

「日本承継寄付協会」は、地域や社会の未来のために財産の一部を寄付することで社会貢献をしたいという方を支援し、持続可能な経済社会の実現を促進するプラットフォームとして事業を推進しています。

遺贈寄付の実現を遠のかせている課題解決に向け、非営利法人、民間企業、行政、大学、士業等の専門家が垣根を越えて連携できる機会の提供や情報発信を行っています。


遺贈寄付は「誰もが負担なく想いをかたちにできる」ものでありながらも、相談先も少なく、寄付の意志があっても実現できていないのが現状です。
当協会では、全国の第三者的立場である相続実務家が相談を受けるため、利害関係を生じることなく、財産の数%だけを遺贈寄付するといった、お手伝いをすることができます。そして、これからも情報発信や勉強会を通じて、「遺贈寄付はお金持ちがするもの」といった誤解を解消し、寄付したい人が誰でも無理なく寄付できる体制を整えることで承継寄付の間口を広げ、「おもいやりのお金が循環する社会」を目指していきます。

所在地:東京都文京区小石川二丁目3番4号 第一川田ビル7階
設立:2019年8月

代表理事:三浦美樹

URL:https://www.izo.or.jp/
事業内容:
(1)専門家育成研修・支援:「承継寄付診断士」認定講座の開催、遺贈寄付支援時に使える相談業務ツールの提供
​URL:https://consultant.izo.or.jp/
(2)相談業務・ 相談窓口の拡充・支援:全国の遺贈寄付を学んだ専門家を起点に、安心して相続や承継寄付の相談ができる窓口の拡充・支援、寄付希望者からの相談業務
(3)調査・啓発活動:「遺贈寄付に関する全国実態調査」や専門家調査の実施
(4)遺贈寄付の情報発信:遺贈寄付の魅力を発信するガイドブック『えんギフト』の発行、情報発信メディアの運営
URL:https://contents.izo.or.jp/engift
(5)遺贈寄付の遺言書作成費用助成:「フリーウィルズキャンペーン」
URL:https://freewills.izo.or.jp/

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会社概要

URL
http://www.izo.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都文京区小石川二丁目3番4号 第一川田ビル7階
電話番号
03-3868-7011
代表者名
三浦美樹
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年08月