希少疾患患者、確定診断に平均3.4年間、3人に1人が診断までに5年以上 「希少疾患白書 『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言」を刊行

―AIやゲノム検査などを活用し、早期診断と医療の公平性向上を目指す―

アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都港区、社長:濱村美砂子、以下アレクシオンファーマ)は本日5月14日、希少疾患領域でのさらなる貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断の遅れ(診断ラグ)の分析、およびその解決策を提示した「希少疾患白書 『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言 ~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~」を刊行いたしました。

希少疾患白書 『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言 ~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~

希少疾患患者は、正確な診断にたどり着くまでに長い時間がかかることが多く、その影響は患者本人だけでなく、医療システム全体にもおよんでいます。それを踏まえ、白書では診断の遅れ(診断ラグ)が希少疾患患者のヘルスエクイティの実現における大きな障壁であると問題提起し、日本における希少疾患患者を取り巻く現状と課題を整理します。診断ラグが、希少疾患患者にもたらす負担について、直接的な医療費を含め定量的なデータで示しています。さらに、診断の迅速化や医療アクセスの公平性を高めるために、中長期的な視点に立った現実的かつ実行可能な提言も記載します。希少疾患白書が明示する主なデータは以下の通りです。

  • 希少疾患患者の診断までに要した期間が平均3.4年間※1

  • 診断に5年以上かかるケースは全体の35%(おおよそ3人に1人)※1

  • 希少疾患患者の59%が誤診を経験している※2

  • 希少疾患患者の医療費は一般対照群と比較して約3.4倍、通院日数は約2.2倍に達する※1

白書では、希少疾患患者が直面する実態とさまざまな課題を分析するとともに、診断ラグの解消に向けた下記の6つの提言をまとめています。

提言1. 新生児マススクリーニング検査対象疾患を拡大するとともに、重症新生児に全ゲノム検査を取り入れるための環境整備を推進する

提言2. 医師が早期に疾患に気付けるためのAI診断支援ツール(SaMDなど)の活用を促進する

提言3. 希少疾患の「Center of Excellence」を構築し、非専門医・専門医のつながりを強化する

提言4. 希少疾患に関するデータが早期診断に活用される環境整備を推進する

提言5. 患者の声が反映された社会の実現に向け、患者団体などの意見の政策への反映の推進、及びそれに必要となる資金基盤の強化を支援する

提言6. 政府が推進する中核的取り組みに、希少疾患の診断ラグ/診断ロス解消に向けた施策を組み込む


さらに、日本国内の現状だけでなく、海外の先進事例も取り上げながら診断ラグの改善案について述べています。AI診断の支援やゲノム解析等のテクノロジーの可能性に加え、患者データの利活用に必要な制度整備・環境構築、さらにそれを支える政府・医療機関・患者団体・企業など、多様なステークホルダーとの協業の重要性についても触れています。ヘルスエクイティは、世界保健機関(WHO)や世界経済フォーラム(WEF)などの国際機関においても、世界共通の優先課題とされています。アレクシオンファーマはこれまでも、ドラッグラグやドラッグロスといった未承認薬の課題解消に取り組んでまいりました。今後も、患者さんとそのご家族が直面する課題に真摯に向き合い、医療の公平性向上に貢献し、より良い未来の実現に向けて尽力してまいります。

アレクシオンファーマ合同会社 社長 濱村美砂子 コメント

希少疾患においては、特に診断ラグが起こりやすく、ヘルスエクイティが損なわれやすい側面があります。希少疾患における診断ラグを少しでも解消したいという思いから、この白書を取りまとめました。この白書が、希少疾患および診断ラグについて考えるきっかけとなり、社会全体での対話を促すとともに、希少疾患に関わる多様な関係者が連携し、迅速な診断、治療、ケアの実現に向けた具体的な解決策の実行へとつながることを願っています。誰もが正確な診断と適切な支援を受けられる未来を実現するためには、関係者の協働が不可欠と考えます。

特定非営利活動法人ASrid 理事長 西村由希子 コメント

希少疾患の診断遅延は、治療開始の遅れだけでなく、患者さんやご家族の人生設計や日常の選択にも影響を及ぼす、深刻な問題です。以前から様々な場で議論はされてきましたが、未だ多くの課題が残されています。この白書は、診断ラグという構造的課題に光を当て、データとともに多様な提言を盛り込み、改めて社会全体での議論を促す重要なステップだと受け止めています。本白書が広く社会の理解と連携を促す契機となるよう、ASridも引き続きこの領域の中間機関として、当事者の声を起点に、多様な立場の人たちと手を携えながら、誰もが適切なタイミングで診断と支援にたどり着ける社会の実現に向けて尽力してまいります。

株式会社インテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長 武藤真祐 コメント

白書でも言及されている「非専門医が希少疾患を見過ごしてしまう」という課題の解決策として、AI/SaMDが果たす役割は大きいと思います。これら機器の普及が進まない理由として、医師の中にはAI診断支援ツールの信頼性の低さや医療経済性が低いと考えている方もいます。しかし、最近では様々なAI/SaMDが開発され、既に精度の高い機器も出始めています。今後、医師の専門性とそれを補足する診断支援ツールを組み合わせることで早期診断・治療ができる未来の医療を共に創っていきたいと思います。

※1 株式会社JMDC(https://www.jmdc.co.jp/)とアレクシオンファーマの共同調査

※2 「Charles River Associates(CRA)による日本の希少疾患・難病患者を対象に行なわれたアンケート調査(2024年12月~2025年2月実施)」

参考資料
―希少疾患における「診断ラグ」課題

出典: 株式会社JMDCとアレクシオンファーマの共同調査

―希少疾患におけるヘルスエクイティの実現に向けた6つの提言

希少疾患白書
「診断ラグ」の実態と解消に向けての提言

電子版URL:https://alexionpharma.jp/sustainability/-/media/Alexionpharma_ajp/Sustainability/PDF/rare-disease-wp_alexion_20250514.pdf

参考サイト:アレクシオンファーマ ヘルスエクイティ関連コンテンツ

https://alexionpharma.jp/expo2025

アレクシオンファーマ合同会社について

アレクシオンファーマ合同会社は、アストラゼネカの希少疾病部門アレクシオン・アストラゼネカ・レア・ディジーズ(本社:米国ボストン)の日本法人として、患者さんの人生を一変させるような治療薬の発見、開発、提供を通じて、希少疾患ならびに深刻な病状の患者さんとそのご家族への貢献に注力しています。30年以上にわたり希少疾患領域の先駆的なリーダーであるアレクシオンは、補体系の複雑な仕組みを活用して革新的な治療薬を創製した最初の企業であり、現在も多くのアンメットニーズを有する疾患領域において、様々なイノベーションのもと多様なパイプラインを構築しています。アストラゼネカの一員として、より多くの世界中の希少疾患をもつ患者さんに治療薬をお届けできるよう、グローバル展開を拡大し続けています。

アレクシオンファーマ合同会社に関する詳細についてはhttps://www.alexionpharma.jp/を、日本におけるサステナビリティ活動はhttps://alexionpharma.jp/sustainabilityをご覧ください。YouTube はhttps://www.youtube.com/@alexionpharma_japanをご覧ください。

アストラゼネカについて

アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

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会社概要

URL
https://alexionpharma.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都港区芝浦3丁目1番1号 田町ステーションタワーN
電話番号
03-3457-9550
代表者名
濱村美砂子
上場
未上場
資本金
-
設立
2008年06月