【世界初】CO₂資源化技術で「理想の書き心地」実現―次世代紙素材「カーボライト」開発
老舗紙屋とノートメーカーがCO₂資源化技術を用いて開発に挑戦。7/2(水)~6(日)大阪・関西万博で初公開。文具ソムリエ・石津大氏も開発に参加。

株式会社ペーパル(奈良市、代表取締役:矢田武博)は、CO₂資源化技術を応用し、「書き心地」と「脱炭素」を両立させた紙素材「カーボライト」を2025年6月に開発しました。
排ガス由来のCO₂を原料とする炭酸カルシウムを紙の「表面」と「内部」に使用し、「にじまず、裏抜けせず、なめらか」という理想的な筆記性能を実現した、世界初(*)の製品です。さらに、紙の製造量1トンあたり、約97kgのCO₂排出削減と、紙の製造量1トンあたり、約33kgのCO₂固定化を実現しました。大栗紙工株式会社(本社:大阪市生野区、代表取締役:大栗康英)、文具ソムリエ・石津大氏とともに共同開発。2025年7月2日(水)より大阪・関西万博で初展示します。
* 世界初:当社調べ(2025年6月時点)。カーボンリサイクル技術を用いてCO₂を固定化した炭酸カルシウムを、紙の表面と内部双方に実用レベルの筆記性能を両立する形で使用した紙製品において。
「カーボライト」の3つの特徴
1.CO₂を紙に「使う」:CO₂資源化技術(カーボンリサイクル)(*1)を応用
「カーボライト」には、排ガス由来のCO₂を、カルシウムを含む産業副産物と化学反応させてCO2を固定化した炭酸カルシウム(以下、CO2活用炭カル)を使用。この素材を紙の「表面」と「内部」に活用し、高い筆記性能を実現した紙製品は世界初(*)です。CO2活用炭カルを紙に混ぜ込むだけでなく、世界初となるCO2活用炭カルを紙の表面に塗る工程に挑戦。従来の石灰石由来の炭酸カルシウムをすべて置き換えることができ、原料段階からのCO₂排出削減も実現しました。これは、カーボンリサイクル技術の一つである、「CO2を資源ととらえ、再利用する技術」(CCU)を応用したソリューションです。

2.“プロの視点”で書き心地を追求
「カーボライト」は、ぺーパルが2023年から構想していたカーボンリサイクル技術を応用して、ノートのプロ(大栗紙工)、文具のプロ(石津大氏)とともに“理想の書き味”を徹底的に検証し、試作を重ねて作り上げました。本文用紙だけでなく、表紙用の板紙にもこの技術を適用しました。
・裏抜け防止:不透明度を高めて裏写りを抑制、インクの染み込みも抑制
・さらさらの手触り:摩擦係数を最適化し、滑らかな書き心地を実現。
・にじみ防止:紙表面の微細構造がインクの広がりを抑制。


開発の苦労や担当者の挑戦
これを可能にした一つの要素が、CO2活用炭カルを活かした設計です。紙の表面にこの素材を使い、内部に分散させることで高い不透明度を実現。にじみや裏抜けを抑えつつ、筆記時の“心地よさ”とサラサラとした触り心地を追求しました。開発の苦労や担当者の挑戦については、カーボライトの開発ストーリーを御覧ください。

3.具体的な環境貢献インパクト
通常、紙の筆記性や白色度を上げるために炭酸カルシウムを使用しますが、「カーボライト」はこの素材をすべて、CO2活用炭カルに置き換えました。
CO2活用炭カルは一般的な炭酸カルシウムと異なり、高温焼成工程を必要としないため、製造時のCO₂排出量も削減。同量を使用した場合、紙の製造量1トンあたり、約97kg(杉の木約11本分が1年間に吸収する量)の排出削減が見込まれます。その結果、約33kg(杉の木約3.8本分が1年間に吸収する量)のCO₂を固定化しています。これは、B5サイズノート1000冊(100kg相当)に換算すると、約9.7kgの排出削減と約3.3kgのCO2の固定化が見込まれます。(*2)
※LCA(ライフサイクルアセスメント)試算は、GreenCarbon株式会社が実施しました。

万博にて「世界初公開」決定!
以下の通り先行展示を予定しています。7月2日(水)12時-18時は、両社の代表がブースに立っております。(別日程でもご取材いただけますのでご連絡ください)
イベント: 2025年大阪・関西万博
期間:2025年7月3日(木)- 6日(日) 10時-20時(最終日は12時まで)
場所:EXPOホール「WASSE」「第3回日本国際芸術祭/大阪・関西万博展」内
D-16「ステーショナリーマーケット」内「大栗紙工ブース」
内容:「カーボライト」技術および開発ストーリーの、ノート製品の先行展示・販売
今後の展開
・ノート製品 :「OGUNO」ブランドにて今後AmazonやBASEでの販売を予定
・パッケージ用紙展開:カーボライト技術を応用した、環境配慮型パッケージ用紙を始め、新たな製品ラインナップへの展開も目指してまいります。
開発の背景
脱炭素社会と、手書き文化の未来のために。
一つは、世界的な課題である「脱炭素社会への移行」です。何か脱炭素に貢献できる取り組みができないか。そう考えた時に、カーボンリサイクル技術に着目しました。カーボンリサイクルは、世界的に注目されている脱炭素技術で、CO2を資源としてとらえ、再利用する技術。日本政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)戦略においても重要な取組の1つとして位置付けられます。早期の社会実装が期待されていますが、用途開発が課題となっています。今回、書くという日常行為を環境貢献につなげる技術として本製品を構想しました。
そしてもう一つが、「手書き文化の再評価」です。デジタルコミュニケーションが主流の今だからこそ、思考を整理し、創造性を育む「手書き」が見直されています。手帳の売上が伸びたり、万年筆などで、インクの濃淡や紙の上を滑る感覚を愉しむ人々が増えていたりするなど、手書き文化が再び盛り上がりを見せています。
私たちは、こうした現代のニーズに応える素材を届けたいと考えました。脱炭素に貢献しながら、書く人の「愉しみ」や「豊かな時間」をも最大化する。それが私たちの「カーボライト」に込めた想いです。
会社概要
株式会社ペーパルについて
1890年(明治23年)に奈良で創業して以来、135年に渡り紙の販売を通じて日本の紙文化を支えています。2008年にFSC®/COCを取得して以来、「紙」という循環可能な素材を社会に提供し、啓発活動を行うことで、SDGsへの取り組みを推進しています。SDGsの取り組みをさらに拡大させるため、2020年4月より「フードロスペーパー」の開発を行うプロジェクトを立ち上げ、「kome-kami」や「クラフトビールペーパー」など様々な素材をアップサイクルした紙を開発。2023年からは「ゼロCO2ペーパー」を発売。森林のカーボンクレジットのみでオフセットした紙の販売を通じで、日本の林業を応援することを目標としています。2025年には50トンをオフセット達成。新展開としてCO2実質ゼロの“パッケージ用紙”「GXアイボリー片面-FS」を発売しました。
会社概要
会社名 :株式会社ペーパル
所在地 :奈良県奈良市池田町76-7
代表者 :矢田 武博
資本金 :3,000万円
創業 :1890年(明治23年)
事業内容 :紙や紙製品の開発・販売
WEBサイト : http://www.pepal.co.jp/
URL
カーボライト公式サイト:https://www.pepal.co.jp/carbowrite/
GXアイボリー片面-FS:https://zeroco2paper.com/gxivory
ZERO CO2 PAPER:https://zeroco2paper.com/
kome-kami公式サイト:https://foodlosspaper.com/kome-kami
ラフタクト-FS公式サイト:https://www.pepal.co.jp/roughtacto/
大栗紙工株式会社について
年間1800万冊の無線とじノートを製造する老舗ノートメーカー。大手文具メーカーの請負生産が中心ですが、2020年2月に発達障害当事者の声から生まれたノート「mahora(まほら)」を初のオリジナル商品として発売。「mahora」は、2021年グッドデザイン賞 ベスト100、第30回日本文具大賞2021 デザイン部門優秀賞など数々の賞を受賞しました。
会社名 :大栗紙工株式会社
所在地 : 大阪市生野区巽北3-15-7
設立 : 創業 昭和5年/設立 昭和40年
資本金 : 1,000万円
代表者 : 代表取締役 大栗 康英
ウェブサイト : https://og-shiko.co.jp/ (公式)
https://www.oguno.jp/ (OGUNOブランドサイト)
Green Carbon 株式会社について
所在地 :東京都千代田区麹町2-3-2 半蔵門PREX North 9F
設立 :2019年12月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業及びESGコンサルティング事業
代表者 :代表取締役 大北 潤
URL : https://green-carbon.co.jp/
*1 カーボンリサイクル:CO₂を“炭素資源”として捉え、回収したCO₂を再利用する最先端の取り組みです。これにより、従来の化石燃料由来の製品と比べて大気中へのCO₂排出を大幅に削減し、気候変動問題の解決に貢献します。
*2 数値について:数値は生産条件等によって変動する可能性があり、保証値ではありません。CO₂の算出に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)試算は、GreenCarbon株式会社が実施しました。
杉の木のCO2吸収量は林野庁WEBサイト参照。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/20141113_topics2_2.html
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