ケイデンスとNVIDIA、AI時代に向けたエンジニアリング革新に向けパートナーシップを拡大
エージェンティックAIとデジタルツインで半導体・AIファクトリーのエンジニアリングを加速し生産性を革新
ケイデンス・デザイン・システムズ(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ市、Nasdaq:CDNS、以下ケイデンス)は、4月15日(米国時間)「CadenceLIVE Silicon Valley 2026」において、NVIDIA社との戦略的パートナーシップの拡大を発表しました。
本提携の強化により両社は、エージェンティックAI・物理ベースのシミュレーション・デジタルツインの高速化ソリューションの提供を通じ、半導体設計・フィジカルAIシステム・ハイパースケールAIファクトリーにおける次世代エンジニアリング設計フロー全体の生産性を飛躍的に向上させます。
本取り組みは、ケイデンスのAIエージェント設計、電子設計自動化(EDA)、システム設計・解析(SDA)におけるリーダーシップと、NVIDIA社のCUDA-X、AI物理、産業用デジタルツイン向けOmniverseライブラリを組み合わせることで実現されます。
■ケイデンスコメント
Anirudh Devgan(President and CEO)
― エージェンティックAIとデジタルツインは、半導体設計から地球規模のAIシステムに至るまで、エンジニアリングのあり方を変えようとしています ―
「NVIDIA社のパートナーシップ拡大により、設計と物理的実現の融合が加速されます。Cadence AgentStack、Physical AI Stack、AIファクトリーのデジタルツインを、NVIDIA社のアクセラレーテッド・コンピューティングと結びつけることで、シミュレーションやシステム開発はこれまでにないスピード・精度・信頼性を実現します。」
■NVIDIA社コメント
Jensen Huang氏(founder and CEO)
― 私たちはコンピューティングの大きな転換点に立っています。CUDAによって加速されたコンピューティングとAIが、エンジニアリングプロセスそのものを変えつつあります ―
「デジタル空間において、あらゆるものを高精度なデジタルツインとして構築することで、かつてないスピードとスケールでアイデアを探求・検証・最適化することが可能になりました。NVIDIAとケイデンスは、このビジョンを現実のものとし、エンジニアが世界を設計・構築・運用する方法を変革していきます。」
EDAおよびSDAツールの高速化
現在、ケイデンスはAI駆動のスーパーコンピュータ 「Cadence Millennium®™ M2000 Supercomputer」に、NVIDIA社のNVIDIA CUDA-X、AI-physics、Omniverseライブラリ、NVIDIA AIインフラストラクチャを搭載し、自社の電子設計自動化(EDA)ツール、およびシステム設計・解析(SDA)ソリューションの高速化を実現しています。
今回の提携拡大により、ケイデンスは様々な原理ベースのソルバーを高速化し、AI物理モデルを活用することで、エンジニアリングワークフローにおいて最大100倍のスピード向上を実現します。
ケイデンスの電子設計自動化(EDA)ツールおよびシステム設計・解析(SDA)ソリューションは、Ascendence、Argonne National Laboratory、Honda R&D、Samsung、SK Hynixなどの企業および研究機関に採用されており、これらの企業・組織はすでにNVIDIA社によって高速化されたケイデンスソリューションを活用し、製品開発の効率化と市場投入までのリードタイム短縮を実現しています。
次世代チップ設計に向けたエージェンティックAI “AgentStack”
ケイデンスは2026年2月、エージェンティックAIと原理ベースの電子設計自動化(EDA)ツールを組み合わせ、半導体のRTL設計および検証を変革する「ChipStack™ AI Super Agent」を発表しました。本ツールはすでに10社以上のお客様の初期導入において、設計および検証業務における生産性を最大10倍に向上させたことが確認されています。
そしてこの基盤のもと、ケイデンスは半導体およびシステム設計のあらゆる領域を統括的にオーケストレーションする「AgentStack™」を発表しました。
AgentStackは、ChipStack AI Super Agentのメンタルモデルおよびスーパーエージェント・アーキテクチャを拡張し、RTLおよび検証領域を超えて、物理設計、カスタム/アナログ設計およびマイグレーション、さらにはシステムレベル設計ワークフローへと展開するものです。
AgentStackは、ケイデンスの各種エージェントと電子設計自動化(EDA)プラットフォームを接続した上で、NVIDIA社のLLM(大規模言語モデル)であるNemotronを活用するとともに、同社のアクセラレーテッド・コンピューティング上で稼働することで、長時間実行されるマルチエージェントワークフローのオーケストレーションを実現します。
NVIDIA社は初期パートナーとして、同社の半導体およびシステム設計フローにおいてAgentStackフローを採用しています。実運用を通じたフィードバックをケイデンスに提供することでAgentStackの強化およびスケール化、ならびにより広範な業界展開を支援します。
この進化は、従来のスクリプト駆動およびGUI駆動の設計フローから、設計階層・関係性・プロトコルを推論可能なエージェント駆動フローへの大きな転換点となります。これにより、反復サイクルは数日単位から数時間へと劇的に短縮されることが期待されます。
物理AIのための組み込みエージェンティックAI
ケイデンスとNVIDIA社は、半導体設計にとどまらず、フィジカルAI領域におけるエージェンティックAIの分野でもパートナーシップを拡大しています。両社は、ケイデンスのPhysical AI StackとNVIDIA社のロボティクス・シミュレーションライブラリおよびアクセラレーテッド・コンピューティングを組み合わせることで、ロボットおよび自律機械における重要な「シミュレーションから現実へ(sim-to-real)」ギャップの解消を支援します。
ケイデンスの高精度マルチフィジックス・シミュレーションおよびAIワークフローを、NVIDIA Isaacのオープンソース・シミュレーションライブラリおよびCosmosのオープンワールドモデルと統合し高速化することで、顧客はエンドツーエンドで全体を統合的に管理・制御するワークフローを利用できるようになります。本ワークフローは、世界モデルの学習、精密な物理シミュレーション、大規模シナリオテスト、そして現実世界からの継続的なフィードバックを一気通貫で連携します。
全体像として、ケイデンスとNVIDIA社の共同スタックは、複数のAIエージェントが連携して動作する一連のプロセスを、統合的に管理・制御します。
これは、トレーニングの最適化、物理サロゲートモデルの学習、ポリシー最適化から、検証およびデプロイ後のフィードバックに至るまでが含まれます。
このワークフローは、NVIDIA Isaac SimおよびIsaac Labによる仮想トレーニング、ケイデンスの高精度物理モデルによる評価、VTD(Virtual Test Drive)、VTDx(複雑な実世界シナリオ向けの拡張された高精度シミュレーション環境)におけるミッションスケールのシナリオシミュレーションに及びます。
その結果、NVIDIA JetsonロボティクスおよびエッジAIシステム上にデプロイされ、ライブの仮想ツインが継続的なモニタリングと改良を可能にします。トレーニング、検証および推論全体にわたって正確な物理を組み込むことで、ケイデンスとNVIDIA社の統合フローは、物理AIシステムの実世界展開における安全性と信頼性を高めつつ、開発サイクルの大幅な高速化を実現するよう設計されています。
AIファクトリー・デジタルツインによるトークン単価の最適化
本提携はAIファクトリー領域にも拡大しています。
ケイデンスはNVIDIA Omniverse DSX Blueprintを統合することで、次世代のAIファクトリー・デジタルツインを実現します。これによりお客様は、Vera RubinおよびGrace Blackwellといった大規模AIファクトリーを、学習および推論用途に向けて設計・シミュレーション・最適化することが可能になります。
また、これらのAIファクトリー・デジタルツインは、ハイパースケールAIにおける重要な新しい指標として「トークンあたりコスト」を重視しています。これは消費電力あたりに処理できるトークン数を指し、電力効率に対するモデル処理能力を示すものです。
ケイデンスのシステム解析およびデータセンター・シミュレーションツールと、NVIDIA社のDSXライブラリおよびOmniverse DSXブループリントを組み合わせることで、顧客は物理システムを構築する前に、GPUの電力設定、システム構成、冷却アーキテクチャのトレードオフを検討することが可能になります。
共同で実施した10メガワット(MW)規模のAIファクトリーのユースケースでは、GPUを低電力モード(MaxQ)でモデル化した結果、トークンあたり最大17%の電力効率向上が確認され、さらに大規模展開においてはギガワットあたり年間数十億ドル規模の追加収益創出の可能性が示されました。これにより、AIファクトリー設計におけるシミュレーション駆動型アプローチの価値が改めて裏付けられています。
また、NVIDIA DSXベースのAIファクトリー・デジタルツインにおいては、MaxQ運用とより高温の冷却条件を組み合わせることで、トークンあたり約32%の電力効率向上が得られる可能性が示されています。IT負荷、冷却システム、空気流、制御ロジック間の相互作用を高精度デジタルツインで捉えることで、運用者は電力および熱制約を維持しながら、AIファクトリーをトークン効率最大化の方向へ安全に最適化することが可能になります。
CadenceLIVEショーケース
ケイデンスは「CadenceLIVE 2026」において、同社のアクセラレーテッド・ソリューション、AgentStack、Physical AI Stack、ならびにAIファクトリー・デジタルツイン・ソリューションを紹介するとともに、NVIDIA社とのパートナーシップ拡大についても発表しました。
本イベントで両社は、AIエージェントやフィジカルAIシステムの開発プロセス全体において、エンジニアリングチームを支援し、初期コンセプトやトレーニング段階、デプロイメントに至るまでの一連の工程を、より迅速かつ高い精度で進められることを紹介します。
※本プレスリリースは、2026年4月16日に米国で発表されたプレスリリースを日本語に翻訳したものです。内容および解釈については、英語版が正式なものとされます。
ケイデンスについて
ケイデンスはAI分野とデジタルツインのマーケットリーダーであり、シリコンからシステムまでのエンジニアリング設計においてイノベーションを加速させる演算ソフトウェアのアプリケーションのパイオニアです。ケイデンスのIntelligent System Design戦略に基づくケイデンスの設計ソリューションは、ハイパースケールコンピューティング、モバイル通信、自動車、航空宇宙、産業、ライフサイエンス、ロボティクスなど、幅広い市場に対応するチップから電気機械システムまで、世界をリードする半導体およびシステム企業が次世代製品を構築するために不可欠なものです。2024年、ケイデンスはWall Street Journal紙により、世界で最も優れた経営を行っている企業トップ100に選ばれました。ケイデンスのソリューションは無限の可能性を提供します。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
この件に関する問い合わせ先
フィールド・マーケティング部
TEL: 045-475-2311 FAX: 045-475-2218
E-mail: japan_pr@cadence.com
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