「シニアの就業実態・意識調査」を公開 高齢になっても働き続けたい理由は「健康」「収入」「やりがい」
男女ともに、シニアの就業率は上昇傾向
本調査では、シニア就業者、およびプレ・シニア就業者の意識・実態から、企業・個人双方のシニア活躍の検討材料を提示することを目的に2次分析を実施しました。
特設サイトURL:「シニア就業者の意識・行動の変化と活躍促進のヒント」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/2023/
71歳以降も働きたい55~69歳就業者にその理由をたずねると、高齢になっても働きたいと考える理由は、「健康」、「収入」、「やりがい」に大別されることがうかがえる。
■主なトピックス ※トピックスの詳細については「主なトピックス(詳細)」をご確認ください
【シニアの働く意識の変化】
1. シニアの就業率は上昇しているが、働くシニアの「働き続けたい年齢」は変化していない
2. 高齢になっても働き続けたい理由は「健康」「収入」「やりがい」が多い(上記に記載)
【シニアの転職・副業の変化】
3. 60代での転職の理由は、「倒産・リストラ・契約期間満了」が減少し「給与への不満」が増加
4. シニアに特徴的な仕事選びの重視点は、「通勤の便」「働く時間を選べる」「過去のキャリアを活かせる」
5. 副業をするシニアは20代に次いで多い
【Well-beingにはたらいているシニア就業者の特徴】
6. 成長を実感しているシニアはWell-beingにはたらいている
7. シニア就業者は、仕事に「やりがい・意義」を感じることで成長を感じる
8. シニア就業者のはたらくWell-beingを高める上司マネジメント
■主なトピックス(詳細)
【シニアの働く意識の変化】
1. 2017年以降、シニアの就業率は高まっているが、シニア就業者の就業終了希望年齢には変化がみられない(いずれの雇用形態、職種、年収においても)。直近のシニアの就業率の上昇は、シニア本人の意欲や希望の変化というよりは、企業の雇用姿勢の変化や老後資金獲得の必要性など、外部要因により高まっている面が大きいと推察される。
【シニアの転職・副業の変化】
3. 60歳以降の転職理由、「給料に不満がある」は2021年から増加。一方、「倒産/リストラ/契約期間の満了」は減少。2021年に70歳就業法が施行されたことで、企業都合の退職が減少し、給与を理由とした自発的な転職者が増加していると推察される。2022年の厚生労働省の調査では、シニア就業者(60代)の18.2%が転職を経験し、他の世代の就業者と比較すると、30代の就業者に次いで多い水準であった。
4. シニア就業者の仕事選びの重視点は、「通勤の便」「働く時間を選択できる」。また、「自分の能力や個性を活かせる」「やりがいを感じられる」「自律的に自分の判断で仕事を進められる」など、過去のキャリアを活かして自律的に働くことを希望する傾向。
5. 副業をするシニア就業者は、20代に次いで多い。シニア就業者の「副業」の実施率は、2021年以降横ばいで推移し、2023年は7.5%であった。本業が短時間勤務であることが多いためか、シニア就業者の副業実施率は、20代に次いで高い。
【Well-beingにはたらいているシニア就業者の特徴】
6. 成長を実感しているシニアは、Well-beingに働いている。 シニア就業者は他年代よりも、はたらくことを通じて幸せを感じている割合が46.6%と高く、不幸せを感じている割合は10.9%と低い。
過去1年間で仕事を通じた成長を実感したシニア就業者ほど、はたらくことを通じて幸せを感じている。なお、この傾向は他の年代にも同様に見られる。
7. シニア就業者は、仕事にやりがい・意義を感じることで、成長を感じている。過去1年間に成長を実感したシニア就業者にその理由をたずねると、「仕事にやりがい・意義を感じることができた」が41.9%と最多で、他の年代よりも多い傾向。他方、上司からの助言や対話によって成長を感じる機会は、他の年代よりも少ない。
9. シニア就業者のはたらくWell-beingを高める上司マネジメント。Well-beingにはたらいているシニア部下に対する上司の行動の特徴は、「存在承認」「平等な接し方」「意見を取り入れる」「仕事の進捗支援」「組織目標の明確な伝達」であった。
■調査結果からの提言]
シニア就業率の推移と背景
近年の社会情勢の変化によりシニアの就業率は大きく高まっている。調査の結果、特に正社員(60代前半)やパート・アルバイト(60代後半)のシニア就業者が増加しており、70歳就業法や人手不足などによる雇用機会拡大の影響が見てとれた。
他方で、シニア就業者自身の「働き続けたい年齢」は上昇しておらず、働き続けるモチベーションはマクロな傾向としては変わりがないようだ。60代の転職の理由として、定年退職などが減少し「給与への不満」が増加していることからも、企業としては、継続雇用後のシニア就業者のWell-beingに目配りし、活躍を促すことが重要になるだろう。
シニアのWell-beingと求められる企業の対応
本調査から、シニア就業者がWell-beingに働くためには、まず、仕事を通じた成長実感が重要であることが分かった。シニア就業者は、上司の助言や対話からは成長を感じにくいが、「仕事の意義ややりがい」を通じて成長を実感している。上司(多くの場合、年下上司)は、ベテランとして尊重しながらもトップダウンな業務遂行上の支援もしっかりと行っていくことが、シニア部下のWell-beingにつながることを意識するとよさそうだ。
シニア就業者の活躍には、企業として、雇用継続の仕組みだけでなく、成長が実感できる業務分担や上司の対応といったソフト面もアップデートしていく必要がある。
● 本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
● 調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/2023/
● サイト内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
■調査概要
下記調査から、シニア就業者(60~69歳)、および数年後にはシニア就業者となるプレ・シニア就業者(55~59歳)の調査結果に着目し、分析しています。
■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
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