11月は肺高血圧症啓発月間 肺動脈性肺高血圧症に関する実態調査
複数施設受診7割、「見た目は元気でつらさを理解されない」4割
株式会社ケアネット(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:藤井勝博、URL:https://www.carenet.co.jp)と株式会社マクロミルケアネット(本社:東京都港区、代表取締役社長:徳田茂二、URL:https://www.macromillcarenet.jp)は、11月の「Pulmonary Hypertension Awareness Month(肺高血圧症啓発月間)」にあわせ、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者さん(95名)と診療に携わる医師(165名)を対象に実態調査を実施しました。
肺動脈性肺高血圧症は人口10万人あたり数人程度とされる希少疾患です(2020年時点で患者数は4,230人※)。一般的に知られている高血圧とは異なり、肺動脈の血流が悪くなり血圧が高い状態が続くことで、右心不全に至る可能性がある進行性の疾患です。日常生活での息切れや動悸、失神などを引き起こし、軽い動作でも症状が現れるため就労・家事・学業にも支障をきたします。
調査結果の概要
■ 肺⾼⾎圧症の診療で複数医療機関を受診した患者が7割
■ 4割の患者が「⾒た⽬で元気そうに⾒えるためつらさを理解されない」
■ 半数超の医師が患者の受診遅延傾向を認識
■ 患者に医療費の経済的負担感、医師もその状況を懸念
※ 難病情報センター 肺動脈性肺⾼⾎圧症 https://www.nanbyou.or.jp/entry/171(2025年10⽉時点)
主な調査結果
1.〈肺高血圧症の診療で複数医療機関を受診した患者が7割〉
肺高血圧症と診断されるまで、あるいは診断後の経過観察を含めて、患者さんの31%が2施設、39%が3施設以上の医療機関に通院していました。受診のきっかけとしては「息切れ」「動悸」「むくみ」など異常とは気づきにくい症状が多く、確定診断の難しさを示しています。
2.〈4割の患者が「つらさを理解されない」と回答〉
患者調査において、「肺高血圧症と診断された時と現在における、あなた自身および周りの方の疾患理解度を教えてください」という質問では、患者本人と家族の理解度は診断直後よりも現在の方が上昇している一方で、友人の理解度は15%から11%、上司・同僚では21%から10%と低下しており、患者さんが周囲の理解度が低下していると感じていることがわかりました。
そう感じる理由として、「見た目には元気そうに見えるために、つらさをわかってもらえない」と答えた方が42%に上りました。また、「疾患名が知られていないため休みづらい」「症状を説明するのが嫌になる」といった声も3割前後に上がり、患者さんが周囲からの理解不足に苦しんでいる実態が明らかになりました。
3.〈半数超の医師が患者の受診遅延傾向を認識〉
医師調査では、51%が患者の受診遅延傾向を認識していることが明らかとなりました。背景には「症状を他の病気や年齢によるものと思い込んでしまう」ことなどが挙げられており、早期診断の妨げになっていることが示唆されました。
4.〈患者に医療費の経済的負担感、医師もその状況を懸念〉
患者調査では、54%が治療に不満、47%が経済的負担に不満、48%が通院に不満と回答しました。背景としては「根本治療がない」「薬剤費や検査費、交通費など継続的な費用がかかる」「専門医が遠方に限られる」ことが挙げられます。
医師調査でも、57%が経済的負担、53%が日常生活への影響、49%が患者の知識不足を懸念しており、治療や経済面での課題が患者・医師双方で共通していることが明らかになりました。
※詳しい調査結果は参考資料をご覧ください
近年、肺高血圧症は治療薬の進歩や開発により、患者の予後が大幅に改善されてきています。しかし、肺血管拡張による方法が中心で根本治療ではなく、また、医療にかかる経済的負担感も大きいなど課題が残る状況であることが明らかになりました。今後は、より効果的で負担の少ない治療薬の開発が期待されるとともに、本調査結果を通じて、希少疾患である肺高血圧症への理解と支援の重要性が広く認識されることが望まれます。
ケアネットおよびマクロミルケアネットでは、希少・難治性疾患に関する調査や啓発レポートをLinkedInで継続的に発信しています。こうした実態を可視化することで、治療法の早期開発や適正使用の推進、さらにはドラッグラグ・ドラッグロスの解消に貢献してまいります。
ケアネット公式LinkedInにて「希少・難治性疾患を知る」配信中
https://www.linkedin.com/company/carenet-inc./posts/
◆ マクロミルケアネットについて
名称:株式会社マクロミルケアネット
代表者:代表取締役社長 徳田 茂二
所在地:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー11F
設立:2014年12月
資本金:4,500万円
主な事業内容:医療専門の市場調査事業
ウェブサイト:https://www.macromillcarenet.jp
◆ ケアネットについて
名称:株式会社ケアネット
代表者:代表取締役社長 藤井 勝博
所在地:東京都千代田区富士見1-8-19 住友不動産千代田富士見ビル
設立:1996年7月
資本金:24億500万円
主な事業内容:製薬企業向けの医薬営業支援サービス、
医師・医療者向けの医療コンテンツサービス など
CareNet.com https://www.carenet.com
CareNet Academia https://academia.carenet.com
CareNeTV https://carenetv.carenet.com
CareNet Career https://career.carenet.com
Doctors’ Picks https://www.carenet.com/lp/doctorspicks
しろぼんねっと https://shirobon.net/company.html
参考資料
【調査概要】
肺高血圧症の患者さんとその診療に携わる医療従事者を対象に「肺高血圧症」に関する実態を調査するインターネット調査
■ 患者調査:
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調査期間:2025年8月15日~2025年8月25日
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調査⽅法:インターネットリサーチ
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調査対象:肺高血圧症の患者95名
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調査パネル:マクロミルモニタ+提携パネル
■ 医師調査:
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調査期間:2025年8月24日〜2025年8月30日
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調査⽅法:インターネットリサーチ
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調査対象:肺高血圧症の診療医師 165名
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調査パネル:CareNet.com登録医師
【調査結果とグラフ】
①〈肺高血圧症の診療で複数医療機関を受診した患者が7割〉
患者への質問:あなたが、肺高血圧症の診療で医療機関に初めて受診してから現在までに通院した医療機関の数を教えてください。

69.5%の患者が2施設以上の医療機関を受診
②〈4割の患者が「つらさを理解されない」と回答〉
患者への質問:あなたが肺高血圧症と診断された時と現在における、あなたご自身および周りの方の肺高血圧症の症状に対する理解度を教えてください。

「理解度が高い」との回答は患者本人と家族においては診断直後よりも現在の方が上昇している一方で、友人では14.8%から10.5%、上司・同僚では20.7%から10.0%と低下している。
患者への質問:あなたの周りの方の肺高血圧症の症状に対する理解度の不足によって、あなたが経験したことを教えてください。

「見た目には元気そうに見えるために、つらさをわかってもらえない」42.1%
「疾患名が知られていないので、体調が悪い時に休みを取りづらい」32.6%
「疾患名が知られていないので、自分の症状を周囲の人に説明するのが嫌になる」31.6%
「高血圧や他の病気と間違えられることがある」29.5%
患者への質問:肺高血圧症で、医療機関に受診するきっかけとなったことを教えてください。

「日常生活で息切れを感じるようになった」38.9%
「動悸を感じるようになった」32.6%
「足や腹部にむくみが現れた」26.3%
「胸に痛みや圧迫感を感じるようになった」23.2%
③〈半数超の医師が患者の受診遅延傾向を認識〉
医師への質問:現在のご施設で診療した肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者さんについて、症状が発生してから来院までのタイミングが遅い、と思った方の割合を教えてください。

51.6%の医師が診療するPAH患者の半数以上が「来院タイミングが遅い」と感じると回答。
医師への質問:症状が発生してから来院までに時間がかかる理由として、患者さんがどのような気持ちでいることが理由になっていると思いますか?

「息切れや疲労感を「年齢のせい」や「運動不足のせい」と思っていた」55.2%
「急激な症状の悪化がなかった」43.6%
「症状が軽度であった」38.2%
「基礎疾患の症状が悪化しただけと思っていた」35.2%
患者への質問:医療機関に最初に受診するまでに、時間がかかった理由を教えてください。

「他の併発疾患の症状が悪化しただけと思っていたから」31.6%
「息切れや疲労感を「年齢のせい」や「運動不足のせい」と思っていたから」28.4%
「仕事や家事等が忙しくて受診を後回しにしていたから」24.2%
「症状が軽度であったから」16.8%
④〈患者に医療費の経済的負担感、医師もその状況を懸念〉
患者への質問:肺高血圧症の診療や日常生活への影響についての満足度を教えてください。

「治療全般についての不満/やや不満」53.7%
「症状のコントロール状況についての不満/やや不満」49.5%
「医療機関への通院についての不満/やや不満」48.4%
「医療費・経済的負担についての不満/やや不満」47.4%
「周囲の人の疾患に対する知識や理解についての不満/やや不満」45.3%
患者への質問:肺高血圧症の診療の中で不満に感じていることを教えてください。

「肺高血圧症の専門医がいる医療機関が自宅から遠い」27.4%
「治療薬の薬剤費が高い」21.1%
「定期的な検査が必要である」18.9%
「通院のための交通費・宿泊費の負担が大きい」18.9%
「根本治療がない」17.9%
医師への質問:肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診療における先生の満足度を教えてください。

「患者さんの医療費・経済的負担についての不満/やや不満」57.0%
「患者さんの日常生活への影響についての不満/やや不満」52.7%
「患者さんの疾患に対する知識や理解についての不満/やや不満」49.1%
「症状のコントロール状況についての不満/やや不満」47.9%
「治療全般についての不満/やや不満」46.7%
医師への質問:肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診療について、先生が問題・課題と感じていることを教えてください。

「根本治療がない」44.2%
「専門医が少ない」38.8%
「患者さんの経済的負担(医療費)が大きい」36.4%
「患者さんが病気に気づかず診断が遅れる」32.7%
「確定診断までに時間がかかる」30.9%
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