12月第1週目はクローン病および大腸炎啓発週間 「クローン病」に関する医師・患者の実態調査
年間5万円以上の自己負担が7割、10万円超も2割超 4人に1人は社会的な交流を避けるように
株式会社ケアネット(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:藤井勝博、URL:https://www.carenet.co.jp)と株式会社マクロミルケアネット(本社:東京都港区、代表取締役社長:徳田茂二、URL:https://www.macromillcarenet.jp)は、12月1日から7日が毎年「Crohn's & Colitis Awareness Week(クローン病および大腸炎啓発週間)」であることから、クローン病の患者さん(125名)とその診療に携わる医師(241名)を対象に「クローン病に関する実態調査」を実施しました。
クローン病は、主に大腸および小腸の粘膜に炎症や潰瘍が繰り返し生じる慢性炎症性腸疾患(IBD)の一つです。若年期に発症することが多く、寛解と再燃を繰り返しながら長期間の治療を要するため、生活や就労への影響も大きい疾患とされています。令和元年には全国で44,245人※が医療受給者として報告され、増加傾向が推測されています。
調査結果の概要
■ 患者・医師ともに、診療への最⼤の不満は「医療費・経済的負担」
■ 年間⾃⼰負担5万円以上が約7割、10万円超も2割超
■ 8割が⽇常⽣活に影響、4割超が「症状が仕事や家事に⽀障あり」
■ 就労への影響あり7割、頻繁なトイレ利⽤・休職・転職経験も
■ 半数以上が受診までに2ヵ⽉以上経過、病識不⾜が影響
※難病情報センター クローン病 https://www.nanbyou.or.jp/entry/81(2025年11⽉時点)
主な調査結果
1.〈患者・医師ともに「医療費・経済的負担」が最大の不満〉
患者調査では、「医療費・経済的負担」への不満が50%と最多で、次いで「通院の負担」(44%)、「就労への影響」(42%)、「周囲の人の疾患に対する知識や理解」(41%)が挙げられました。
医師調査でも同様に、「患者さんの医療費・経済的負担」への不満が49%と最も多く、双方の認識が一致していました。
2.〈年間自己負担5万円以上が約7割、診療費以外の出費も多い〉
直近1年間にクローン病の治療で支払った自己負担額は、「5万円以上」と回答した患者さんが全体の66%、「10万円以上」は23%にのぼりました。平均自己負担総額は約7万9,000円でした。
支出の内訳では、普段の診療費が約6割を占める一方で、交通・宿泊費や栄養補助食品費など診療費以外の支出が全体の約3分の1を占めている実態が明らかになりました。
3.〈8割の患者さんが日常生活に影響、4割が「症状が仕事や家事に支障」〉
クローン病が日常生活に何らかの影響を及ぼしていると回答した患者さんは78%にのぼり、「症状により仕事や家事に支障があった」(45%)、「旅行や外出を控えるようになった」(37%)が上位を占めました。
さらに4人に1人(24%)は「社会的な交流を避けるようになった」と回答しており、身体的負担に加え、心理的萎縮も生じている実態が明らかになりました。医師調査でも42%が「患者さんの日常生活への影響」に不満を感じており、クローン病が日常生活に及ぼす影響の深刻さが双方の調査から示唆されました。
4.〈就労への影響あり7割、「頻繁なトイレ」「休職・転職」も現実〉
就労に影響があると回答した患者さんは70%に達しました。
具体的には「業務中の頻繁なトイレ利用による仕事の中断」(36%)、「病気が原因で休職したことがある」(26%)、「退職・転職したことがある」(18%)、「就職先の選択の幅が狭まった」(21%)など、キャリア形成にも影響が及んでいます。
就労を継続するために必要なことの患者調査では、「症状のコントロール状況の改善」(90%)、「医療費・経済的負担の軽減」(86%)、「治療薬の効果改善」(85%)、「周囲の理解向上」(75%)が挙げられました。
5.〈半数以上が受診までに2ヵ月程度経過、症状を軽視する傾向〉
患者調査において、症状を自覚してから医療機関を受診するまでの期間として「2ヵ月以上かかった人」は51%、「3ヵ月以上かかった人」が44%でした。
受診が遅れた理由として、「仕事や家事が忙しく受診を後回しにした」(30%)、「他の消化器疾患の悪化だと思った」(26%)が多く、病識の不足から受診が遅れる傾向も見られました。
受診前に感じていた症状としては「腹痛が続いた」(82%)、「下痢が長期間続いた」(50%)、「血便・粘液便が出た」(46%)などが挙げられました。
※詳しい調査結果は参考資料をご覧ください
本調査により、患者と医師が共通して「医療費・経済的負担」を最大の課題と認識していること、また就労や日常生活に多面的な影響が及んでいることが明らかになりました。これらの結果から症状のコントロールのさらなる改善と、周囲の理解の促進が急務であることが示されています。
ケアネットおよびマクロミルケアネットでは、希少・難治性疾患に関する調査や啓発レポートをLinkedInで継続的に発信しています。こうした実態を可視化することで、治療法の早期開発や適正使用の推進、さらにはドラッグラグ・ドラッグロスの解消に貢献してまいります。
ケアネット公式LinkedInにて「希少・難治性疾患を知る」配信中
https://www.linkedin.com/company/carenet-inc./posts/
◆ マクロミルケアネットについて
名称:株式会社マクロミルケアネット
代表者:代表取締役社長 徳田 茂二
所在地:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー11F
設立:2014年12月
資本金:4,500万円
主な事業内容:医療専門の市場調査事業
◆ ケアネットについて
名称:株式会社ケアネット
代表者:代表取締役社長 藤井 勝博
所在地:東京都千代田区富士見1-8-19 住友不動産千代田富士見ビル
設立:1996年7月
資本金:24億500万円
主な事業内容:製薬企業向けの医薬営業支援サービス、
医師・医療者向けの医療コンテンツサービス など
CareNet.com https://www.carenet.com
CareNet Academia https://academia.carenet.com
CareNeTV https://carenetv.carenet.com
CareNet Career https://career.carenet.com
Doctors’ Picks https://www.carenet.com/lp/doctorspicks
しろぼんねっと https://shirobon.net/
参考資料
【調査概要】
クローン病の患者さんとその診療に携わる医療従事者を対象に「クローン病」に関する実態を調査するインターネット調査
■ 患者調査:
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調査期間:2025年9月16日~2025年9月24日
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調査⽅法:インターネットリサーチ
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調査対象:クローン病の患者125名
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調査パネル:マクロミルモニタ+提携パネル
■ 医師調査:
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調査期間:2025年10月16日~2025年10月20日
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調査⽅法:インターネットリサーチ
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調査対象:クローン病の診療医師 241名
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調査パネル:CareNet.com登録医師
【調査結果とグラフ】
①〈患者・医師ともに「医療費・経済的負担」が最大の不満〉
患者調査:クローン病の診療や日常生活への影響についての満足度を教えてください。

「医療費・経済的負担」への不満が最多(49.6%)、以降「通院の負担」(44.0%)、「就労への影響」(41.6%)、「周囲の人の疾患に対する知識や理解」(40.8%)と続いた。
医師調査:クローン病の診療における下記の内容について、先生の満足度を教えてください。

「患者さんの医療費・経済的負担」への不満が最多(49.4%)で患者調査と一致。「患者さんの日常生活への影響」(42.3%)、「患者さんの疾患に対する知識や理解」(38.2%)と続いた。
②〈年間自己負担5万円以上が約7割、診療費以外の出費も多い〉
患者調査:直近1年間にクローン病の治療で支払った費用(自己負担額)総額(円/年)

直近1年間にクローン病の治療で支払った自己負担額は、「5万円以上」が全体の66%、「10万円以上」は23%にのぼった。
患者調査:直近1年間にクローン病の治療で支払った費用(自己負担額)を教えてください。また、その内訳を教えてください。

③〈8割の患者さんが日常生活に影響、4割が「仕事や家事に支障」〉
患者調査:クローン病による日常生活への影響について、あなたにあてはまることを教えてください。

全体の77.6%がクローン病が日常生活に何らかの影響を及ぼしていると回答。
「症状により仕事や家事に支障があった」(44.8%)、「旅行や外出を控えるようになった」(37%)が続き、日常生活のあらゆる領域に影響を及ぼす疾患であることが浮き彫りとなった。また約4人に1人(24.0%)が「社会的な交流を避けるようになった」と回答しており「心理的萎縮」にも影響を及ぼしていることが示唆された。
④〈就労への影響あり7割、「頻繁なトイレ」「休職・転職」も現実〉
患者調査:クローン病による就労への影響について、あなたにあてはまることを教えてください。

全体の69.6%がクローン病が就労に何らかの影響を及ぼしていると回答。
「業務中の頻繁なトイレ利用による仕事の中断がある」が最多(36.0%)、「病気が原因で休職したことがある」(26.4%)、「退職・転職したことがある」(18.4%)、「就職先の選択の幅が狭まった」(20.8%)と続いた。「職場での業務内容を変更してもらった」(14.4%)や「勤務時間を短縮してもらった」(10.4%)といった回答からは、職場での理解や具体的な働き方の調整が必要であることがうかがえる。
患者調査:クローン病による「就労への影響」を改善するために必要と思うことを教えてください。

就労環境改善のために必要なことは、「症状のコントロール状況が今よりも改善する」が最多(89.6%)、「医療費・経済的負担の軽減」(86.4%)、「治療薬の効果改善」(84.8%)、が上位を占めた。
⑤〈半数以上が受診までに2ヵ月程度経過、症状を軽視する傾向〉
患者調査:クローン病の症状が気になってから医療機関に最初に受診(相談)するまでの期間を教えてください。

「症状の自覚から初診までに、2ヵ月以上かかった患者さん」(51.2%)
「3ヵ月以上かかった患者さん」(44.0%)
「1年以上かかった患者さん」(15.2%)
患者調査:医療機関に最初に受診(相談)するまでに、時間がかかった理由を教えてください。

「仕事や家事等が忙しくて受診を後回しにしていたから」(30.4%)
「他の消化器疾患の症状が悪化しただけと思っていたから」(25.6%)
「症状が軽度であったから」(19.2%)
患者調査:クローン病で医療機関に最初に受診する前から気になっていた症状を教えてください。

「腹痛が続いた」(81.6%)
「下痢が長期間続いた」(50.4%)
「血便・粘液便が出た」(46.4%)
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