廃棄を素材に変えるyuniが、環境省 令和6年度補正予算「イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業」に採択されました。
AIエージェント開発でローカルかつ最適な素材循環を実現。資源循環領域の技術開発を加速。

株式会社yuni(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:内橋 堅志、以下「yuni」)は、環境省が実施する令和6年度(補正予算)環境保全研究費補助金「イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業」に採択されたことをお知らせいたします。
本事業では、廃棄物を再生素材として活用する資源循環において、ローカルかつ最適な素材循環を実現するAIマッチングシステム・エージェント開発に関する研究開発を行います。これまでyuniが取り組んできた地産地消型資源循環モデルを、AI技術によってさらに進化させ、全国規模での最適な資源循環システムの構築を目指します。
■ 採択事業の概要
-
事業名 :「ローカルかつ最適な素材循環を実現するAIエージェントに関する研究開発事業」
-
採択プログラム:環境省 令和6年度(補正予算)環境保全研究費補助金「イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業」フェーズ2(技術開発(R&D))オープンイノベーション枠
-
環境領域:資源循環
-
事業概要:廃棄物を再生素材として活用する資源循環において、ローカルかつ最適な素材循環を実現するAIエージェント開発に関する研究開発事業。
■ 採択の背景と意義
▼ 日本の資源循環における課題
日本では年間約4,000万トンの一般廃棄物と3億7,000万トンの産業廃棄物が発生しています。特に寝具については年間約1億枚が廃棄され、リサイクル率はわずか2%という深刻な状況にあります。
現在の資源循環システムには以下の課題があります:
1. 最適なマッチングの困難性
廃棄物排出者、再生事業者、再生素材利用者のマッチングが非効率であり、地域ごとの廃棄物の種類や量、再生技術の多様性に対応できていない。情報の非対称性により最適な資源循環ルートが構築できない。
2. 地産地消型循環の実現の難しさ
輸送コストとCO2排出が資源循環の経済性を圧迫し、地域ごとの需給バランスの把握が困難。ローカルな素材循環を実現するための情報基盤が不足している。
3. スケーラビリティの限界
属人的な営業やマッチングに依存。全国展開時の効率的な運営が困難で、データに基づく最適化が不十分。
▼ yuniのこれまでの取り組み
yuniは2019年の創業以来、「日本を廃棄大国から資源大国へ変える」をビジョンに掲げ、焼却予定の廃棄物の回収と再生素材化を行うサービス「susteb」を運営してきました。
現在、全国3拠点(兵庫県西脇市、山梨県都留市、大阪府泉佐野市)に再生工場を展開し、東京都葛飾区、山梨県都留市・南アルプス市、和歌山県和歌山市、宮城県栗原市など、複数の自治体との連携を進めています。
また、2025年7月には環境省「令和6年度補正予算 地産地消型資源循環加速化事業(モデル事業)」にも採択され、地産地消型の資源循環モデルの構築を推進してきました。
■ 研究開発の内容
本研究開発で、以下の機能を持つサービスを開発します。
1. 廃棄物・再生素材のマッチング最適化
廃棄物の種類、量、性状を分析し、最適な再生技術とマッチング。再生素材の需要予測と供給計画の最適化、リアルタイムでの需給バランス調整。
2. ローカル循環の経済性評価
輸送コスト、処理コスト、CO2排出量を総合的に評価。地域内循環と広域循環の経済性比較、最適な工場配置と輸送ルートの提案。
3. 再生素材の用途開発支援
再生素材の特性分析と最適な用途提案。複数の廃棄物を組み合わせた新素材の可能性探索と、市場ニーズと再生素材のマッチング。
4. データ駆動型の事業拡大
地域ごとの廃棄物データの収集・分析。新規工場設置の最適地域選定、自治体連携の優先順位付け。
これにより、従来までの以下アプローチを、AIを活用した最適性・効率性を重視した仕組みに変えていきます。
従来のアプローチ:
-
人手による個別のマッチング
-
経験と勘に基づく意思決定
-
限定的な地域でのトライアル
AIを活用した新しいアプローチ:
-
データに基づく最適マッチング
-
定量的な評価と意思決定
-
全国規模での効率的な資源循環
■ 本事業で実現すること
本事業により、以下の効果が見込めると考えています。
環境面での効果
-
CO2排出量の大幅削減
ローカル循環により輸送距離を最小化し、ライフサイクル全体でのCO2排出量を削減 -
資源循環率の飛躍的向上
AI による最適マッチングで、これまで焼却されていた廃棄物の資源化を促進 -
新規資源採掘の削減
再生素材の供給量拡大により、バージン素材の需要を削減
経済面での効果
-
資源循環の経済性向上
輸送コスト削減と効率的な運営により、資源循環ビジネスの収益性を改善 -
新たな市場創出
AI による用途開発支援で、再生素材の新たな市場を開拓 -
スケーラブルな事業モデル
属人的業務をAI化し、全国展開を加速
社会面での効果
-
地域経済の活性化
地産地消型の資源循環により、地域内で経済循環を創出 -
雇用創出
全国各地での工場展開により、地域雇用を創出 -
環境教育の推進
データ可視化により、市民の環境意識向上に貢献
■ 環境省SBIR制度について
環境省では、スタートアップを始めとする中小企業者等の研究開発支援を目的としたSBIR制度(※)の一環として、令和3年度より「イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業」を実施しています。
本事業は、スタートアップ企業等が環境保全に資する事業実施に向けた研究開発を支援するもので、yuniはフェーズ2(技術開発(R&D))のオープンイノベーション枠に採択されました。
※ SBIR(Small Business Innovation Research)制度:科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律に基づき、中小企業・個人(研究者等)が行う研究開発支援に特化した指定補助金等
▼ 今回の採択事業者(フェーズ2 オープンイノベーション枠)
-
株式会社Opening Line:森林・木造トレーサビリティ構築に関する研究開発事業(気候変動領域)
-
株式会社yuni:ローカルかつ最適な素材循環を実現するAIエージェントに関する研究開発事業(資源循環領域)
▼ 代表取締役CEO 内橋堅志のコメント
「この度、環境省『イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業』に採択いただき、大変光栄に思います。本事業は、yuniがこれまで取り組んできた地産地消型資源循環モデルを、AI技術によってさらに進化させる重要なプロジェクトです。
yuniは創業以来、寝具をはじめとする廃棄物の再生素材化に取り組んでまいりました。現在、全国3拠点の再生工場と複数の自治体との連携により、着実に事業を拡大しています。しかし、さらなる全国展開を進めるにあたり、人手に依存した営業やマッチングには限界があることも実感していました。
今回開発するプロダクトは、資源循環に関するプレイヤーを最適にマッチングし、ローカルかつ経済的な素材循環を実現するものです。これにより、輸送コストとCO2排出を最小化しながら、全国各地で効率的な資源循環を構築できると考えています。
7月に採択された環境省『地産地消型資源循環加速化事業』と合わせて、ハードウェア(工場・設備)とソフトウェア(AIシステム)の両面から、日本の資源循環を革新してまいります。
日本は世界で最も焼却施設が多い国であり、世界の約50%が日本に存在します。この『焼却大国』を『資源大国』に変えるため、AI技術を活用した革新的な資源循環システムの構築に全力で取り組んでまいります」
■ 今後の展望
本研究開発事業を通じて、2025年度中にAIマッチングシステムを完成させ、ベータ版の提供を開始します。その後、全国の工場・自治体連携での実装を進め、2026年度初頭での本格運用を目指します。
同時に、AI技術により、属人的だった営業・マッチング業務を効率化し、全国各地での工場設置と自治体連携を加速させます。現在の関西圏・関東圏・東北地方に加え、中部圏・九州圏への展開も視野に入れています。また、日本で確立したAI活用資源循環モデルを、アジアをはじめとする海外にも展開し、世界の資源循環に貢献することを目指します。
本事業はオープンイノベーション枠での採択であり、大学・研究機関、他のスタートアップ企業との連携も積極的に進めてまいります。
■ 連携先を募集しています
yuniでは、全国の自治体・企業との連携を積極的に進めています。また、AI開発における共同研究パートナーも募集しています。以下のようなお悩みをお持ちの企業さま・自治体さまは、ぜひお気軽にご相談ください!
-
資源化できそうな廃棄物があるがルートを作れず困っている
-
再生技術はあるが資源確保や素材販路ができていない
-
再生素材を使用したいが調達先に困っている
-
自社の廃棄物を自社製品に活用したい
-
サーキュラーエコノミーに取り組みたいが何から始めればよいか分からない
-
AI・データサイエンス分野での共同研究に興味がある
-
資源循環分野でのオープンイノベーションを検討している
▼ yuniについて
株式会社yuni(ユニ)は、「日本を廃棄大国から資源大国へ変える」をビジョンに、「焼却処分場を再生工場へ」、「すべての素材を正しい素材寿命に」、「廃棄物から必要とされる素材へ」をミッションに掲げ、2019年10月に創業した再生素材、脱炭素、サーキュラーエコノミー、GX(グリーン・トランスフォーメーション)領域のスタートアップです。
創業以来、代表の家業でもある寝具業界にフォーカスし、2021年9月、粗大ごみの中で最も多くリサイクル率2%の寝具を焼却処分から救うサービス「susteb」をリリース。寝具の自治体・法人・ご家庭からのお引き取りと再生素材化により、「焼却処分場をなくして再生工場を作る」ことを目標に自治体との連携を進めているほか、様々な企業と連携して廃棄を再生素材に変える取り組みを進めている。
▼ 会社概要
会社名:株式会社yuni
代表者:内橋 堅志
設立:2019年10月11日
所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東1-29-3 渋谷BRIDGE B棟 1c, 2b区画
事業内容:未焼却資源の再生素材化研究開発及び資源循環マッチング・コンサルティングサービス
sustebサービスURL:https://susteb.life/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像