【イベントレポート「一流料理人の、ウブな一皿。」第一弾開催】日本料理の予約困難店「出雲」が全力で挑んだ「普通の料理」
記憶を編集する『ウブ』× 記憶を破壊する『出雲』。六本木の夜に現れた“解像度の高すぎる”大衆料理の真髄。
株式会社はらぺこ(東京都港区/代表取締役CEO 見冨右衛門)が運営する、子どもの頃の“懐かしい”とラグジュアリーワインを提供する六本木のノスタルジック・ガストロノミー「ウブ」では、第一線で活躍する料理人を招き、誰もが記憶に残る“あの一皿”をテーマにした新シリーズイベントをスタートいたしました。
新プロジェクト「一流料理人の、ウブな一皿。」第一弾の、記念すべき初回ゲストとして迎えたのは、名古屋の完全紹介制・完全予約制の日本料理店「出雲」を率いる大谷重治氏。子どもの頃や修業時代の記憶に刻まれた“普通の料理”を、一流料理人の技術と感性で再構築するという、ウブらしい実験的な一夜となりました。

「ウブ」が掲げるのは、誰もが夢中になった“あの一皿”を現代の技術と感性で描き直す、ノスタルジック・ガストロノミー。一方の「出雲」は、食材への異様なまでの執着と即興性によって、既存の味覚の記憶を覆してきた店です。記憶を編集する店と、記憶を破壊する店。その両極にある個性が、あえて「普通の料理を全力でつくる」という難題に挑んだことで、この企画の輪郭は一気に鮮明になりました。

幕開けを飾ったのは、「白魚の目刺し」。本来は繊細さを愛でる白魚を、あえて保存食の文脈へ落とし込むという設計そのものがすでにユニークです。香ばしさの先に、内側に閉じ込められた旨味がふっと立ち上がる。料理の輪郭は親しみ深いのに、味の解像度だけが高い。その感覚こそ、この夜を象徴する体験でした。


続く「串カツ」や「アジフライ」もまた、懐かしい料理の記憶を丁寧に裏切る皿でした。衣の軽やかさ、火入れの精度、脂の設計、素材の密度。そのどれもが“食べ慣れた料理”のフォーマットを借りながら、着地点は未体験のジューシーさと立体感にありました。日常の延長線上にある料理が、技術によってここまで別次元へ引き上がるのか―そんな静かな衝撃が、カウンター全体を包み込みました。

そして面白いのが、「水菜の豚巻き」です。5年熟成のポン酢が全体を束ねることで、どこか家庭的なモチーフでありながら、味の奥行きは圧倒的に豊か。さらに、ウブらしさの象徴ともいえる「フィッシュバーガー」、香りと余韻が艶やかに重なる「トリュフ水餃子」へと続き、“大衆食”というテーマは一皿ごとに新たな輪郭を見せていきました。懐かしさに寄りかかるのではなく、懐かしさを素材として再編集する。その手つきに、この企画の独自性が凝縮されていました。


締めに供された雲丹入りの「焼きそば」は、この夜の思想を端的に表した一品だったかもしれません。麺の水分量、香ばしさの付け方、ソースの立ち方、余韻の残し方。そのどれもが緻密に計算されながら、着地する印象はあくまで「屋台で食べた、あの焼きそば」の延長にある。高級化でも、奇抜化でもない。記憶にある料理を、記憶以上の精度で差し出す。その難しさに真正面から向き合ったからこそ、この一皿は深く心に残るものとなりました。

このコース体験をさらに押し上げたのが、ウブによるワインペアリングです。ロゼシャンパーニュ、熟成ボルドー、重心の低いイタリア白といった構成は、料理の懐かしさをなぞるためではなく、料理の解像度をもう一段引き上げるために選ばれていました。子どもの頃の記憶に紐づく料理に、大人だからこそ享受できる深みを重ねる。その組み合わせは、まさにウブが得意とする編集行為そのものであり、この夜のテーマを味覚のうえで完成させていました。

今回の第一弾開催によって、「一流料理人の、ウブな一皿。」が単なるコラボレーション企画ではなく、料理人の原点や記憶、技術のあり方そのものを問い直すシリーズであることが明確になりました。完成された料理人が、あえて“普通”に向き合う。そのとき生まれるのは、奇をてらった特別料理ではなく、私たち自身の記憶に強く触れてくる、新しいノスタルジック・ガストロノミーです。六本木のウブで立ち上がったこの試みが、今後どの料理人のどんな記憶を呼び起こしていくのか。次回は初夏に話題の和食料理人「麻布室井」の大将、室井大輔(むろいだいすけ)氏とのコラボレーションを計画中。シリーズの次なる一皿にも、ご期待ください。
イベント開催概要
企画名:「一流料理人の、ウブな一皿。」第一弾
会場:六本木「ウブ」
第一弾ゲストシェフ:出雲 大谷重治氏
開催日:2026年3月27日(金)
店舗情報
名 称:ウブ
住 所:東京都港区六本木7-5-11 カサグランデミワ2F
営業時間:月・火・水・木・金・祝日・祝前日・祝後日 18:00 - 01:00
土・日 18:00 - 22:00 (L.O. 料理21:00 ドリンク21:30 )
土日は時短営業&アラカルト縮小メニューのみ
定休日:不定休
座 席 数:10席
インスタグラム:@ubu_roppongi
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