ベネッセ シニア・介護研究所 第24回日本認知症ケア学会大会における発表「マジ神解体新書」が「石﨑賞」を受賞
株式会社ベネッセスタイルケア(本社︓東京都新宿区、代表取締役社長︓滝山 真也)の社内シンクタンクであるベネッセ シニア・介護研究所は、2023年6⽉3~4⽇に国立京都国際会館にて⾏われた第24回⽇本認知症ケア学会⼤会にて、「マジ神」の視線解析によって見出した情報収集の共通パターンに関する発表を⾏い、「⽯﨑賞」を受賞しました。⽯﨑賞は⽇本認知症ケア学会⼤会において優秀な演題発表をした者に対し贈られる賞であり、認知症ケアに関する独創性・有⽤性・発展性の観点から評価され、今⼤会は195演題の中で19演題が受賞しています。
■発表タイトル:マジ神解体新書 ~専門性の高い介護職の認知症ケアのための情報収集における特徴~
■発表者:福田亮子、宮下ゆかり、松本知恵、祝田健
■発表内容:当社で開発中の「マジ神AI」注1を搭載した介護記録システム「サービスナビゲーションシステム」を用いて、専門性の高い介護職「マジ神」注2がご入居者様の情報収集をする際の視線解析を行った。
その結果、解析した4名のマジ神はいずれも、
①AI解析に基づき導出された認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の発生件数や日々介護職が記録した
ご入居者様の快もしくは不快な状態の件数等の時系列データによって、注目すべき変化があった時期を把握
②当該時期を中心に、食事や排泄、睡眠、体温や血圧等の各種定量データの時系列変化を確認
③生活記録等のテキストデータに基づき具体的な様子を把握
という3ステップで情報収集を行っていることが明らかになった。注3
図1:学会でのポスター発表の様子
図2:マジ神との視線解析・インタビューの様子
介護の「匠」や「熟練者」の持つ「コツ」の抽出は、従来は主にインタビュー等の主観データに基づいて行われてきましたが、本研究の特徴は「視線」という客観データを導入した点にあります。視線解析自体は、モノやシステムのユーザビリティ(使いやすさ)の検証やマーケティングリサーチ等で多く用いられてきているほか、近年では様々な分野における暗黙知の解明に用いられることも増えています。しかし、介護分野で視線解析を利用した研究はあまり見られません。
今回は、視線データによってマジ神の情報収集のプロセスを定量的に可視化できたことに加えて、そのデータをマジ神に見せながらインタビューしたことで、マジ神自身の思考の言語化を促進することもでき、ご入居者様の状況を把握するためにマジ神が「何を考えて、どの情報を収集したのか」を明らかにすることができました。
なお、当社での石﨑賞の受賞は、前回大会における介護付有料⽼⼈ホーム「グランダ常盤台弐番館」(東京都板橋区)の受賞(発表タイトル︓多職種連携による情報収集・分析で本⼈らしさを取り戻す)注4に続き、2大会連続となりました。
ベネッセスタイルケアは、これからも「その方らしさに、深く寄りそう。」を実現するための取り組みを推進するとともに、その効果を検証し広く発信してまいります。
注1:専門性の高い介護職のノウハウを採用し、経験の浅い介護職であっても同様に質の高い介護サービスの提供を可能とするもの。当該事業は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「ロボット介護機器開発等推進事業(開発補助)」の研究課題「AIによるBPSD要因及び“いつもと違う”予兆検知を通じ真の生産性向上を実現する介護業務支援システムの開発」として採択されたものです。
注2:ベネッセスタイルケアでは、高い専門性と実践力をもつ介護の匠を「マジ神」として認定する社内資格制度を設けています。マジ神には「認知症ケア」「安全管理と再発防止」「介護技術」「医療連携&ACP」の4つがあり、資格を取得した社員には資格手当も支給されます。マジ神たちが培った知見を言語化し、研修を体系化することで、次のマジ神の育成を行っています。
注3:2023年6月6日付リリース参照
https://www.benesse-style-care.co.jp/uploads/2fe926c2d11c395d165d6e4e4bb5369c.pdf
注4:ベネッセの介護付有料⽼⼈ホーム「グランダ常盤台弐番館」 第23回⽇本認知症ケア学会⼤会にて「⽯﨑賞」を受賞
https://www.benesse-style-care.co.jp/uploads/8af834ce2d4221e146de96d441e78ab2.pdf
ベネッセ シニア・介護研究所
https://www.benesse-style-care.co.jp/lab/
本内容に関するお問い合わせ
株式会社ベネッセスタイルケア 社長室広報 TEL 03-6836-1111
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