【イベントレポート】第13回 Xデザインフォーラム:「時代と踊る」を開催

Xデザイン学校およびXデザイン研究所が主催するイベント「第13回 Xデザインフォーラム 『時代と踊るデザイン』」にSTUDIO ZERO代表の仁科が登壇。

STUDIO ZERO

2025年9月7日(日)、Xデザイン学校およびXデザイン研究所が主催するイベント「第13回 Xデザインフォーラム 『時代と踊るデザイン』」が開催されました。

本イベントはGINZA SIXにあるプレイドオフィスの一角にある芝生スペースで開催され、80名近くの方々にご参加いただきました。

午前は「研究ワークショップ」、午後は「時代と踊るデザイン」をテーマとした講演とオープンセッションが行われました。終日活気に満ちた会場では、参加者は熱心に講演に耳を傾け、セッション後には活発な意見交換が繰り広げられました。

プログラム

10:00-12:00 研究ワークショップ「時代と踊る:ワークショップ」

13:00-13:40 キーノートスピーチ「時代と踊る:人類学とデザイン」

13:40-15:00  特別セッション「時代と踊る:デザインとキャリア・アダプ

タビリティー」

15:10-17:00 オープンセッション(口頭発表とポスター発表)

17:10-18:40 交流会


研究ワークショップ「時代と踊る:ワークショップ」

午前中に実施された研究ワークショップでは、参加者が主体となる体験型の活動として、3つの異なるテーマで実践的な学びが提供されました。どのワークショップも少人数制で、参加者は講師や他の参加者と密にコミュニケーションを取りながら、学びを深めました。

<講師プロフィール(研究ワークショップ)>

佐々木 俊弥氏:デザイナー・デザインスキル研究者

 千葉工業大学大学院デザイン科学専攻修了後、プロダクトデザイン会社、株式会社マネーフォワードを経て現職。マネーフォワードエックス株式会社にて、パートナー企業とともに新たな金融体験をつくるためのデザインコンサルティングや人材育成に従事。Xデザイン学校では、デザインスキルの設定、ビジョン構想のアプローチの研究に取り組む。

原 聡司氏:ソフトウェアエンジニア・子どもと大人創造性研究者

大学卒業後に精密機器メーカーでソフトウェアエンジニアとして映像機器や医療機器の製品開発に従事。2018年からXデザイン学校でデザインの学びを始め、2021年からは子どもと大人の創造性に関する共創プログラム作りの研究に取り組む。

平間 久美子氏:UI/UXデザイナー・電子工作研究者

受託開発会社にて中・大規模開発を経験後、フリーランスのUI/UXデザイナーとして独立。スタートアップ企業のサービス開発からグロースまで幅広く従事。2014年頃より電子工作を始め、初心者向けのイベント開催や書籍執筆も行うほか、子どもを対象にしたプログラミング道場CoderDojoしろいを主催。

ワークショップ① 「個人のビジョン構想に向けたアプローチワークショップ」

佐々木俊弥氏を講師に迎え、予測困難な時代における個人のビジョン構想に焦点を当てたワークショップが行われました。参加者は、創造性を育む方法論「アーティスト・ウェイ」から抽出した問いを活用し、内省と対話を通じて自身の情熱の源泉を探り、ビジョンの「プロトタイピング」を実践しました。プログラムの最後には、ビジョンに向かうための一歩を具体的に計画し、熱心に書き込む参加者の姿が見られました。終了後、参加者からは「抽象的な概念だったビジョンが、具体的な一歩として見えた」「内省の時間が、自分と向き合う良い機会になった」といった声が聞かれ、自分らしい未来をデザインするためのきっかけを得られたようです。


ワークショップ② 「身近な人にできることってある?これならやれそう!を見つけるワークショップ」

原聡司氏のワークショップでは、親子や友人同士がペアになり、身近な人のためにできることを考えるユニークな試みが行われました。カードゲームを用いた自己紹介では、参加者の笑顔がこぼれ、和やかな雰囲気の中でワークショップがスタート。身近な人を助けるためのアイデア出しでは、普段とは異なる相手の視点に立つことで、新たな発見が次々と生まれていました。参加した親子からは「子どもの意外な一面を知ることができた」「相手を思いやる気持ちを改めて考えるきっかけになった」といった感想が寄せられ、体験を通して絆を深める貴重な時間となりました。


ワークショップ③ 「はじめてのプロトタイプ作成入門〜動くおもちゃを作ってみよう〜」

平間久美子氏の指導のもと、電子工作を通じたプロトタイプ作成に挑戦しました。電子工作の経験がない参加者も、はんだ付け不要のシンプルな電子部品を使い、光ったり音が鳴ったりする「動くおもちゃ」を制作。画用紙やマジックを使って、それぞれの個性を表現したユニークな作品が完成しました。完成した作品を発表し合い、講師からのフィードバックを受けることで、製品開発におけるプロトタイピングの意義を肌で感じることができました。参加者からは「自分のアイデアが形になる過程が楽しかった」「プロトタイプ作りの敷居が下がった」という声が上がり、ものづくりの楽しさを改めて実感していました。

ワークショップの様子

メインセッション 「時代と踊るデザイン」

午後のメインセッションは、会場とオンラインを繋いだハイブリッド形式で開催されました。

<講師プロフィール(メインセッション)>

伊藤 泰信氏:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 先端科学技術研究科・教授。

 文化人類学やエスノグラフィの実務応用(ビジネス人類学・ビジネスエスノグラフィ)を20年近くにわたって牽引。企業や企業研究所との共同研究に加え、エスノグラフィ研修や医療者向けの人類学教育も積極的に行っている。

富田 誠氏:東海大学教授 デザイナー

武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業(原研哉ゼミ)。早稲田大学大学院国際情報通信研究科修了(長幾郎研究室)。デザインエンジニアリング系のスタートアップ創業、早稲田大学政治学研究科助手などを経て、現職。近年は様々な人たちによる共創を支援するための視覚的対話について取り組んでいる。

田口 和磨氏:ReDesigner for Student キャリアデザイナー

美術系大学の職員として、学生募集〜教務・学科運営〜進路支援に関わった後、デザイナー採用特化型のサービス“ReDesigner”立ち上げ直後のグッドパッチに入社。年間約50校でのクリエイティブ業界に関する講演及びポートフォリオ制作ワークショップを実施しつつ、200名以上の学生と面談。

三野宮 定理氏:株式会社グラグリッド 代表取締役・ビジョンデザイナー

2011年に共創デザインの会社「グラグリッド」を設立。分野を問わず、さまざまな企業のビジョン策定、事業開発の現場に伴走する。デザイナーの視点で創造的な解決策を提案するとともに、独創的なワークショップで組織の中から創造的な文化づくりを支援している。

三澤 直加氏: 株式会社OpenHeart取締役/CDO

UIデザイナーとしてキャリアを重ねたのち、博士課程にて「課題解決から活動構成デザインへ」をテーマに研究。京都のUIデザイン事務所ソフトデバイスを経て、現在はスタートアップにて3Dを活用したWebサービス「TAVIO」シリーズの開発・運営を行う。

「時代と踊る:人類学とデザイン」

キーノートスピーチには伊藤泰信氏が登壇。「時代と踊る:人類学とデザイン」と題し、変化の激しい現代において、デザインがどのように時代と向き合うべきか、その本質を人類学的な視点から深く掘り下げて考察しました。伊藤氏は、生成AI、パンデミック後の社会変容、複雑化する価値観といった現代のリズムを捉え、デザインがどのように応答できるか、そして「踊るデザイン」と「踊らないデザイン」の両面から、創造性のあり方を提示しました。

「時代と踊る:デザインとキャリア・アダプタビリティー」

続く特別セッションでは、富田誠氏、田口和磨氏、三野宮定理氏、三澤直加氏による講演とディスカッションが行われました。各自の専門分野から、変化する社会や技術、ビジネスに対応するためにデザイナーが持つべき「キャリア・アダプタビリティー」について、具体的な事例を交えながら語られました。キャリア形成の視点、組織内でのデザイナーの役割、デザイン思考の経営への応用など、多角的な視点から議論が交わされ、参加者は自身のキャリアを考える上での多くのヒントを得ることができました。

オープンセッション

オープンセッションでは、多様なデザイン実践や研究をテーマに、事前に応募のあった参加者による口頭発表とポスター発表が行われました。

口頭発表ではSTUDIO ZERO(スタジオゼロ)代表の仁科も加わり、計8名の発表者が、UX/CXデザイン、ユーザーリサーチ、ビジョン、カルチャー、経営/組織/人事、行政/地域、情報デザイン、デザインとAIなど、多岐にわたるテーマで発表を行いました。各発表は15分間の講演と4分間の質疑応答で構成され、参加者からは具体的な実践方法や研究結果に関する鋭い質問が飛び交い、活発な議論が交わされました。

仁科からは、過去スタジオゼロが支援した日本たばこ産業とJTBの事例を紹介しながら、観客を魅了する「踊るデザイン」(プロダクトやサービス)と、その本質を支える「踊らないデザイン」(理念や組織構造)の両面から、創造性のあり方を提示しました。更に、創造性の源泉は試行錯誤が許される「稽古場(社内の組織環境)」にあると強調し、デザイナーは優れた「役者」や「脚本家」であるだけでなく、「演出家」の視座を持つべきだと提言しました。

スタジオゼロ仁科の口頭発表の様子

また、ポスター発表では20名の発表者が、会場内にポスターを展示し、参加者と直接意見交換を行いました。ポスター発表では、ビジョン構想のアプローチ、地域コミュニティのデザイン、組織におけるデザイン文化の実装など、各発表者の研究や実践が視覚的にわかりやすく示されました。参加者は関心のあるポスターの前で足を止め、発表者と個別にディスカッションすることで、より深い学びを得ることができました。

ポスター発表の様子

イベント終了後には、参加者同士で感想や学びを共有する交流会が自然発生的に行われ、熱気に満ちた時間となりました。

また、今回のイベントを通じて、デザインが特定の専門分野に留まらず、個人の生き方、人間関係、社会変革といった多岐にわたる領域で、実践的な役割を果たすことが示されました。

スタジオゼロでは、今後もXデザイン学校と連携し、デザイン文化を組織や地域の発展に活かせるような取り組みを、積極的に行っていく予定です。次回のイベントにも、ぜひご期待ください。


スタジオゼロは、「産業と社会の変革を加速させる」をミッションとした事業家集団です。各産業のフラッグシップとなる事例を創出するべく、日本を代表する大企業や地域経済を支える中小企業、スタートアップ企業、行政・公的機関などのパートナーとともに、データを活用した顧客視点での新規事業創出や既存事業の変革を目指しています。

スタジオゼロとともに、さまざまな新しいことに挑戦してみたい、産業のフラッグシップとなるような新しい事例を創出したい…という方は、こちらより、お気軽にお問い合わせください。


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会社概要

URL
https://plaid.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 10F
電話番号
-
代表者名
倉橋 健太
上場
東証グロース
資本金
-
設立
2011年10月