【実証・ジェンダーレス消費】ジェンダーレス消費の実態を メンズコスメ市場の展開から検証!意外なほどの伸び “メンズファンデ” “カラーリップ”は前年+15%
市場拡大の鍵はメイクアップ商品の伸びにあるか 配荷率は高い状態のメンズコスメ、さらに伸びる機会はどこにある
第一弾は冒頭の「ジェンダーレス消費」のなかでもメンズコスメの展開に注目し、2022年3月~2024年3月の間でスーパー/総合スーパー/ドラッグストアにおける消費行動の実態をまとめました。
成長率の2トップはメンズファンデとカラーリップ。メイクアップ需要の伸びが見える結果に。
売上(数量)成長率をコスメカテゴリ別に見ると、カラーリップは前年比+19%、ファンデーションは前年比+15%と大きく伸長している結果に(右図1)。女性用商品は“コロナ明け”の社会情勢を反映し需要が増加しているとされるが、メンズコスメに関しても同じような理由でメイクアップ商品を中心に伸びが起きている可能性もある。
配荷率**2から見るメンズコスメ、売り場の状況はととのっている。
直近1年のメンズコスメの配荷状況を実購買データで見ると、化粧品カテゴリ全体では配荷率が8割を超えており、流通においては市場がある程度ととのっていることが見て取れる(右図2)。商品グループ別上位は化粧水と乳液で配荷率は79%。メンズファンデの配荷率も43%と、女性向け商品の配荷率の半分強にまで迫ることが分かった。男性も基礎化粧品以外のメイクアップ商品の購入機会が増えていることがうかがえる。
*1カタリナネットワーク内年間10兆円規模のID-POSデータ
*2配荷率:カタリナネットワークにて販売実績のある店舗の割合
商品別売上は化粧水が上位を独占、売れ筋は課題解決型。女性用とは違った構成に。
商品別購入ランキング(下記図3)を見ると、上位は基礎化粧品としてエントリーしやすい化粧水が席巻。
シミ対策などの課題を解消するための商品が多くを占めており、日常のケア用品とも言える化粧水に対しても明確な機能性が求められている(または明確な機能性を持ったものは選びやすい)状況にある。
成長が見えるメンズファンデとカラーリップ。メイクアップ需要をどこまで伸ばせるか。
現在、メンズコスメ売上の大部分を占めるのは基礎化粧品であるが、カテゴリー全体の売上(数量)が大きく変化していない現状をみると、今後カテゴリーが成長するために伸びる余地が大きいのはメイクアップ商品である。そこで基礎化粧品を除き、いま勢いのある商品グループが何なのか深掘りした。図4は横軸に購入者数、縦軸に購入者一人あたりの購入数量をとったバブルチャートである。前期、当期の比較で右上に動く(購入者、一人あたり ※図4:購買者数と1人あたりの購入量、バブルサイズが金額を表現の購入数量の両方が増えている状態)ほど、成長の勢いがついているといえる。チャートをみると、右上への移動が起こった商品グループはファンデーションとカラーリップであった。これらの商品グループは売上(数量)や購入者数の増加だけでなく、一人あたりの購入数量が増えていることから、1回のみの購入で終わらずに、リピート購入がされていることも分かった。今後の動きが注目されるカテゴリーである。
総括:さらなる市場拡大には成長著しいメイクアップ商品需要にどう応えるかが鍵に。
これまで女性向けが市場のメインであった化粧品カテゴリーにおいて、男性向け商品が盛り上がりを見せている。実購買データからもカタリナネットワークの約8割強の店舗で配荷が確認でき、流通においても市場ができあがっていることが分かった。また、メンズファンデやカラーリップの伸びが著しいことから、スキンケアだけでなく肌に色をのせるメイクアップ商品の需要も高まりを見せ、これまで女性向けがメインだったカテゴリーにも男性向け商品の拡大が予見されており、引き続きメンズコスメの成長が見込まれる。
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