従業員の孤立はエンゲージメントやパフォーマンスにマイナスの示唆
クアルトリクスが埼玉大学宇田川准教授との共同研究「職場における孤立の実態調査」結果を発表
クアルトリクス合同会社(本社:東京都千代田区、カントリーマネージャー:熊代 悟、以下 クアルトリクス)は、日本で実施した「職場における孤立の実態調査」の結果(2021年10月に実施、有効回答数4,435人)を発表します。本調査は、コロナ禍を背景として、職場において孤立する従業員に焦点を当て、その実態と業務への影響を把握する目的で実施されました。
【調査結果】
1.仕事を通しての人と人との繋がりは総じて弱い
本調査においては、まず仕事を通して日常的にどの程度周囲と接点を持っているのかを多面的に尋ねました。56%が職場に仕事上の相談相手がいるとした一方、より広い繋がりとして職場以外にも相談相手がいたり、自分から積極的に他者に働きかけるとした回答者は5割に満たない水準でした。さらに、仕事上で密なコミュニケーションが発生するはずの直属上司についても、彼らからのアドバイスやワークライフバランスへのサポートを肯定的に捉えている回答者は全体の4割未満に過ぎません。勤務先が社内の人間関係を強化するような施策や制度を導入しているとした回答者に至っては、2割に留まります。全般的には、仕事を通した人の人との繋がりはどちらかといえば弱いと解釈することができます。
図表1:仕事関連での人との繋がり状況
2.「連携グループ」と「孤立グループ」の属性内訳の特徴
図表1の項目に対する回答傾向に基づき、周囲との繋がりが強い人、弱い人をそれぞれ「連携グループ」と「孤立グループ」、両グループの中間にいる人を「平均グループ」と分類しました。「連携グループ」と「孤立グループ」に分類された回答者の属性の内訳を比較すると、「孤立グループ」において以下の属性の方々の比率が、「連携グループ」よりも高いことが確認されました。
3.「孤立グループ」のエンゲージメント、ウェルビーイング、帰属意識は圧倒的に低水準
次に、昨今のHR分野における重要指標と考えられるエンゲージメント、ウェルビーイング、帰属意識に関し、弊社が標準とする設問項目に基づいて「連携グループ」と「孤立グループ」の回答を集計したところ、いずれも「孤立グループ」の水準の低さが顕著であることが示されました。人との繋がりが希薄化すると同時に、組織に対する帰属意識が低下することはもちろん、心身の健康やエンゲージメントまでも低い水準にことは、注目に値する結果であるといえます。
図表2:「エンゲージメント」「ウェルビーイング」「帰属意識」のレベル
さらに、「孤立グループ」の特徴として、業務分担の適切さ、関係者の議論に基づく意思決定のほか、職場において学び・成長する機会などに対して肯定的に捉えている回答者がわずか10%台にとどまっています。また、担当する業務量が少ない、自身の業績組織の平均以下とした回答者でみても、「孤立グループ」の方が高い比率となっています。一言でいえば、周囲との連携が弱い分、十分な仕事が回ってこなかったり、あるいは一人で仕事を抱え込んで、もがきながら業務を遂行しているような状態が発生しやすいと捉えられます。
図表3:日々の業務における各種体験
図表4:現在の回答者個人の業務量 図表5:現在の回答者個人の業績
5.「孤立グループ」のエンゲージメントと相関が強いのは、人との繋がりの関連項目
本調査においては、「連携グループ」と「孤立グループ」のエンゲージメントに対する回答と強い相関を示していた項目は、仕事を通して得る活力、ありのままの自分でいられること、成長の機会、帰属意識、働きやすい環境などで、上位5項目の内容は両グループで差異はありませんでした。ただし、「孤立グループ」では、「会社の一員であることを実感」の相関が最も強かった点、また上位10項目までチェックすると「連携グループ」では抽出されなかった「不安なく自分の意見を言える環境」が含まれていた点が特徴になっています。いずれも、人との繋がりに関連した項目であることが注目されます。
図表6:エンゲージメントのドライバー(相関の強い項目)
6.アフターコロナ時代の職場における従業員の孤立は看過できない課題
昨年来のコロナ禍におけるリモートワークが定着する中で、その長所と短所が論じられてきました。空間と時間を共有しない働き方がもたらす最も代表的なデメリットとしては、コミュニケーションの不足や連携のしにくさが繰り返し指摘されています。本調査がテーマとする従業員の孤立に関しても、リモートワークが引き金となって悪化した面もあると推察されます。
しかし、実際には、「孤立グループ」出社勤務をしている回答者の比率が「連携グループ」よりも高めになっていました。この原因については、さらに深い分析が必要になると思われますが、ここで重要なメッセージは「出社して単に空間と時間を共有するだけでは、職場における孤立は解消されない可能性が高い」という点です。職場に出社していても、周囲との連携度合いは各自の働き方や業務内容に応じて異なるためです。
自分の殻に閉じこもって孤立を深めていく従業員については、エンゲージメントやウェルビーイングの低下、さらに業績不振に繋がる傾向がみられることから、従業員間の連携を維持・強化していくことは、企業にとって従来以上に重要な検討テーマになることは間違いないものと考えられます。
図表7:「連携グループ」と「孤立グループ」の現在のリモートワーク状況
埼玉大学 宇田川元一准教授のコメント
「日本社会における孤立の問題は様々な場所で指摘されています。今回、職場の孤立とパフォーマンスという観点から調査をしたところ、興味深い示唆が得られました。
成熟した組織は効率化を求めて機能分化することが言われてきましたが、同時に、近年は環境の変化に対応するために多様な職能が求められるようになりました。その中で、人々の職場での孤立化が進むことは、ある意味で必然なのかもしれません。この問題にどのように企業として対処していくのかを考えることは、今後の企業変革や、イノベーションを生み出していく上で重要な論点になりうると思います。
今後さらなる研究を重ねて、企業変革に不可欠な人と人のつながりや共同体としての再生、そして、企業のパフォーマンスの向上をどのように成し遂げていくかを考えていけたらと思います。」
■調査の概要について
本調査は、現在日本で働いている人を対象(性別・年代別で労働人口分布に沿って割付け)に2021年10月20日〜22日にかけて、インテージ社のアンケートモニターに対して実施しました。有効回答は4,435人でした。設問設計には、埼玉大学経済経営系大学院の宇田川元一准教授にもご協力いただきました。分析に当たっては、図表1の設問項目に対する回答の平均点が、全体の上位25%以上に含まれる回答者を「連携グループ」、下位25%以下に含まれる回答者を「孤立グループ」と分類しました。
■クアルトリクスについて
クアルトリクスは、企業や組織のエクスペリエンス・データ (X-data™)の収集から管理・分析、およびそのデータに基づくアクションに至るまでを同じプラットフォームで運用を行うテクノロジープラットフォームです。Qualtrics XM Platform™は、チーム、部門、組織全体がビジネスに欠かせない顧客、製品、従業員、ブランドという4つの主要なエクスペリエンスを一つのプラットフォームで管理するのみならず、アクションへつなげるシステムです。世界中の大企業13,500社超に、継続して人々に愛されるプロダクトの提供や、より多くのロイヤルカスタマーの獲得や、素晴らしい従業員文化の創造、あるいはアイコンとなるブランドを創るためにクアルトリクスを利用いただいております。顧客の中にはフォーチュン100企業の85%以上、米国のトップ100ビジネススクールの99校が含まれます。詳細と無料アカウントについては、www.qualtrics.com をご覧ください。
■クアルトリクス合同会社について
クアルトリクス合同会社は、2018年に国内で事業を開始した、Qualtrics LLC(本社: 米国ユタ州プロボ)が100%出資する日本法人です。
所在地 :東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング11階
代表者 :熊代 悟
事業内容:日本におけるクアルトリクス 製品の販売・サポート・導入支援
URL : www.qualtrics.com/jp/
【調査結果】
1.仕事を通しての人と人との繋がりは総じて弱い
本調査においては、まず仕事を通して日常的にどの程度周囲と接点を持っているのかを多面的に尋ねました。56%が職場に仕事上の相談相手がいるとした一方、より広い繋がりとして職場以外にも相談相手がいたり、自分から積極的に他者に働きかけるとした回答者は5割に満たない水準でした。さらに、仕事上で密なコミュニケーションが発生するはずの直属上司についても、彼らからのアドバイスやワークライフバランスへのサポートを肯定的に捉えている回答者は全体の4割未満に過ぎません。勤務先が社内の人間関係を強化するような施策や制度を導入しているとした回答者に至っては、2割に留まります。全般的には、仕事を通した人の人との繋がりはどちらかといえば弱いと解釈することができます。
図表1:仕事関連での人との繋がり状況
注:肯定的=「非常にそう思う」+「そう思う」/中立的=「どちらとも言えない」/「否定的」=「そう思わない」「全くそう思わない」を選択した回答者の比率(以下同様)。
2.「連携グループ」と「孤立グループ」の属性内訳の特徴
図表1の項目に対する回答傾向に基づき、周囲との繋がりが強い人、弱い人をそれぞれ「連携グループ」と「孤立グループ」、両グループの中間にいる人を「平均グループ」と分類しました。「連携グループ」と「孤立グループ」に分類された回答者の属性の内訳を比較すると、「孤立グループ」において以下の属性の方々の比率が、「連携グループ」よりも高いことが確認されました。
- 性別では男性
- 年齢別では40代
- 役職別では一般社員(非管理職)
- 勤務先の従業員規模別では500人未満の中小・中堅企業
3.「孤立グループ」のエンゲージメント、ウェルビーイング、帰属意識は圧倒的に低水準
次に、昨今のHR分野における重要指標と考えられるエンゲージメント、ウェルビーイング、帰属意識に関し、弊社が標準とする設問項目に基づいて「連携グループ」と「孤立グループ」の回答を集計したところ、いずれも「孤立グループ」の水準の低さが顕著であることが示されました。人との繋がりが希薄化すると同時に、組織に対する帰属意識が低下することはもちろん、心身の健康やエンゲージメントまでも低い水準にことは、注目に値する結果であるといえます。
図表2:「エンゲージメント」「ウェルビーイング」「帰属意識」のレベル
4.「孤立グループ」は日常業務がうまく回っていない状態
さらに、「孤立グループ」の特徴として、業務分担の適切さ、関係者の議論に基づく意思決定のほか、職場において学び・成長する機会などに対して肯定的に捉えている回答者がわずか10%台にとどまっています。また、担当する業務量が少ない、自身の業績組織の平均以下とした回答者でみても、「孤立グループ」の方が高い比率となっています。一言でいえば、周囲との連携が弱い分、十分な仕事が回ってこなかったり、あるいは一人で仕事を抱え込んで、もがきながら業務を遂行しているような状態が発生しやすいと捉えられます。
図表3:日々の業務における各種体験
図表4:現在の回答者個人の業務量 図表5:現在の回答者個人の業績
注:業績に関しては、組織の平均以上の業績を上げているとした回答者を「ハイパフォーマー」、平均以下の業績にとどまっているとした回答者を「ローパフォーマー」と分類。
5.「孤立グループ」のエンゲージメントと相関が強いのは、人との繋がりの関連項目
本調査においては、「連携グループ」と「孤立グループ」のエンゲージメントに対する回答と強い相関を示していた項目は、仕事を通して得る活力、ありのままの自分でいられること、成長の機会、帰属意識、働きやすい環境などで、上位5項目の内容は両グループで差異はありませんでした。ただし、「孤立グループ」では、「会社の一員であることを実感」の相関が最も強かった点、また上位10項目までチェックすると「連携グループ」では抽出されなかった「不安なく自分の意見を言える環境」が含まれていた点が特徴になっています。いずれも、人との繋がりに関連した項目であることが注目されます。
図表6:エンゲージメントのドライバー(相関の強い項目)
注:エンゲージメントとの関連が強い項目を相関係数の高さに沿って抽出した結果。
6.アフターコロナ時代の職場における従業員の孤立は看過できない課題
昨年来のコロナ禍におけるリモートワークが定着する中で、その長所と短所が論じられてきました。空間と時間を共有しない働き方がもたらす最も代表的なデメリットとしては、コミュニケーションの不足や連携のしにくさが繰り返し指摘されています。本調査がテーマとする従業員の孤立に関しても、リモートワークが引き金となって悪化した面もあると推察されます。
しかし、実際には、「孤立グループ」出社勤務をしている回答者の比率が「連携グループ」よりも高めになっていました。この原因については、さらに深い分析が必要になると思われますが、ここで重要なメッセージは「出社して単に空間と時間を共有するだけでは、職場における孤立は解消されない可能性が高い」という点です。職場に出社していても、周囲との連携度合いは各自の働き方や業務内容に応じて異なるためです。
自分の殻に閉じこもって孤立を深めていく従業員については、エンゲージメントやウェルビーイングの低下、さらに業績不振に繋がる傾向がみられることから、従業員間の連携を維持・強化していくことは、企業にとって従来以上に重要な検討テーマになることは間違いないものと考えられます。
図表7:「連携グループ」と「孤立グループ」の現在のリモートワーク状況
埼玉大学 宇田川元一准教授のコメント
「日本社会における孤立の問題は様々な場所で指摘されています。今回、職場の孤立とパフォーマンスという観点から調査をしたところ、興味深い示唆が得られました。
成熟した組織は効率化を求めて機能分化することが言われてきましたが、同時に、近年は環境の変化に対応するために多様な職能が求められるようになりました。その中で、人々の職場での孤立化が進むことは、ある意味で必然なのかもしれません。この問題にどのように企業として対処していくのかを考えることは、今後の企業変革や、イノベーションを生み出していく上で重要な論点になりうると思います。
今後さらなる研究を重ねて、企業変革に不可欠な人と人のつながりや共同体としての再生、そして、企業のパフォーマンスの向上をどのように成し遂げていくかを考えていけたらと思います。」
■調査の概要について
本調査は、現在日本で働いている人を対象(性別・年代別で労働人口分布に沿って割付け)に2021年10月20日〜22日にかけて、インテージ社のアンケートモニターに対して実施しました。有効回答は4,435人でした。設問設計には、埼玉大学経済経営系大学院の宇田川元一准教授にもご協力いただきました。分析に当たっては、図表1の設問項目に対する回答の平均点が、全体の上位25%以上に含まれる回答者を「連携グループ」、下位25%以下に含まれる回答者を「孤立グループ」と分類しました。
■クアルトリクスについて
クアルトリクスは、企業や組織のエクスペリエンス・データ (X-data™)の収集から管理・分析、およびそのデータに基づくアクションに至るまでを同じプラットフォームで運用を行うテクノロジープラットフォームです。Qualtrics XM Platform™は、チーム、部門、組織全体がビジネスに欠かせない顧客、製品、従業員、ブランドという4つの主要なエクスペリエンスを一つのプラットフォームで管理するのみならず、アクションへつなげるシステムです。世界中の大企業13,500社超に、継続して人々に愛されるプロダクトの提供や、より多くのロイヤルカスタマーの獲得や、素晴らしい従業員文化の創造、あるいはアイコンとなるブランドを創るためにクアルトリクスを利用いただいております。顧客の中にはフォーチュン100企業の85%以上、米国のトップ100ビジネススクールの99校が含まれます。詳細と無料アカウントについては、www.qualtrics.com をご覧ください。
■クアルトリクス合同会社について
クアルトリクス合同会社は、2018年に国内で事業を開始した、Qualtrics LLC(本社: 米国ユタ州プロボ)が100%出資する日本法人です。
所在地 :東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング11階
代表者 :熊代 悟
事業内容:日本におけるクアルトリクス 製品の販売・サポート・導入支援
URL : www.qualtrics.com/jp/
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