全国の一般社員・管理職2,106名へのアンケート調査 やる気が出ない男性30代、割り切って充実の女性30代
女性の転職理由「上司に不満」が各年代で上位、40代では1位 全体の54.4%が職場の人とは「あまり関わりたくない」、男性40代は比較的交流を望む
このたび、株式会社スコラ・コンサルトは、全国の社員100名以上の企業に勤める一般社員・管理職2,106名を対象に、転職や働くことに関する意識についてアンケート調査を実施しました。
本調査では、男女20代から50代までの8つのセグメントに分けて、転職や仕事に対する意識・実態を比較しました。30代では男性と女性で対照的な傾向が見られたため、その背景を考察しています。また、女性の転職理由では上司への不満が各年代で上位に挙がること、全体の5割以上が職場の人とは「あまり関わりたくない」と考えていることなども明らかになっています。本調査結果を受けて、性別・年代別の傾向と調査結果の活かし方を解説します。
なお、全体2,106名の集計結果については、8月4日配信のプレスリリース【「静かな退職者」は全体の16.3%、性別・年代問わず均等に存在】と9月4日配信のプレスリリース【転職経験者の61.8%が転職に満足、「前の会社の方が良い」は7.8%のみ】も併せてご参照ください。
【調査結果の要旨】
Topic1.男性は「成長・成果志向」、女性はプライベートを大事に「割り切り志向」
Topic2.男性30代は他の年代や女性よりも「やる気が低下」している
Topic3.女性の方が「やる気低下」の理由をたくさん挙げる。40~50代は人事評価や上司などに不満、30代ではプライベートな理由も
Topic4.職場の人とは「あまり関わりたくない」が54.4%。男性40代は比較的交流を望む
Topic5.女性は男性よりも「残業の少なさ・休みのとりやすさ」や「人間関係」に満足。「人間関係」の満足度は男性50代が最も低い
Topic6.転職経験と転職意向 各年代では女性の方が高い
Topic7.転職理由 女性では「上司に不満」が上位。30代では女性だけでなく男性でも「プライベートな理由」が上位に挙がる。男性40代の「負荷が集中」「評価に不満」が突出
Topic8.転職して「今の会社の方が良い」割合は20~30代が高い。50代は「仕事のやりがい」「人間関係」などが低く、総合評価も伸びず
Topic1.男性は「成長・成果志向」、女性はプライベートを大事に「割り切り志向」
仕事やキャリアの考え方について、あてはまる割合を性別に見ると、男性の方が〈成長・成果志向〉が高い、女性の方がやや〈貢献志向〉が高い、という傾向が見られます。女性は「⑦プライベートを大事に」「⑧仕事は収入を得る手段」と割り切る傾向が強くなります。性別役割意識が垣間見えますが、「⑨やる気が下がった」割合、「⑩割り当てられた業務以上のことはなるべくやらない」割合に男女差はありません。
Q.あなたの仕事やキャリアについての考え方について、当てはまるものを選んでください。(各単一回答)

※「よくあてはまる」「まああてはまる」の合計割合をグラフ化(その他の選択肢は、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」「分からない・答えられない」)
Topic2.男性30代は他の年代や女性よりも「やる気が低下」している
性別に年代を掛け合わせました。男性30代は「⑦プライベート」重視や「⑧仕事は収入を得る手段」の割合が他の年代や女性に比べて高くないにもかかわらず、〈貢献志向〉が低めで「⑨やる気が下がった」割合が高いという特徴があります。男性20~30代には「⑩割り当てられた業務以上のことはなるべくやらない」傾向が比較的見られます。男性20代の結果からは「③会社やチーム」「④顧客や取引先・仕事相手」への貢献よりも自身の「①キャリアアップや成長」を重視していることもうかがえます。
女性では、20代で「①キャリアアップや成長」を重視、30~50代で〈成長・成果志向〉が低めです。女性20~40代は〈割り切り志向〉が高めで、特に20代では「⑩割り当てられた業務以上のことはなるべくやらない」割合が高いです。(なお、男女ともに若年層が割り当てられた業務以上のことをやらない背景には、転職意向が関係していることを8月4日配信のプレスリリースで紹介しています)
Q.あなたの仕事やキャリアについての考え方について、当てはまるものを選んでください。(各単一回答)


※「よくあてはまる」「まああてはまる」の合計割合をグラフ化(その他の選択肢は、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」「分からない・答えられない」)
Topic3.女性の方が「やる気低下」の理由をたくさん挙げる。40~50代は人事評価や上司などに不満、30代ではプライベートな理由も
やる気が下がった理由を性年代別のグラフにしました。特徴的な傾向は次のとおりです。
・ 女性40~50代は、「①評価や報酬が見合わない」「③昇給・昇進が期待できない」「④問題が改善されない」「⑥上司に不満」を挙げる割合が高い。
・ 女性30代もそれと似た傾向だが、「⑩プライベートな理由で余裕が無い」「⑧同じ作業の繰り返しでマンネリ化」が他の性年代に比べて高い。
・ 男性よりも女性の方が高い項目が多い。やる気低下原因を明確に意識しているのかもしれない。
・ 男性が高めの項目は30~50代の「②会社の体質や企業風土」、50代の「③昇給・昇進が期待できない」。
・ 男性20代では「⑧同じ作業の繰り返しでマンネリ化」が比較的多く3番目の理由になっているが、男女ともに20代は上の年代に比べて各項目の回答が少なく特有の不満があまり表れていない。
・ 男女ともに30代以上で「②会社の体質や企業風土」「④問題が改善されない」「⑤業務量が多すぎ」という組織的課題が多く挙がる。
・ Topic2でやる気低下傾向が比較的強かった男性30代は、「②会社の体質や企業風土」の割合が高く、1番の理由となっているが、他の性年代以上にやる気を低下させるような、彼ら特有の原因は見当たらない。
Q.あなたは「入社時は仕事にやる気があったが、今はやる気が下がった」について、「よくあてはまる」/「まああてはまる」と回答しましたが、それはなぜですか。(複数回答)

※全18項目のうち全体値の上位10項目を掲載、左から全体値が高い順、「やる気が下がった」人が対象、「分からない・答えられない」を選択した回答者を除く
Topic4.職場の人とは「あまり関わりたくない」が54.4%。男性40代は比較的交流を望む
職場の人とプライベートや業務外でも交流するような関係を望むのは全体の45.7%。一方、「業務上の関係だけにとどめ、できるだけ個人的な関わりは持ちたくない」と「業務上でもなるべく関わりを持ちたくない」を合わせると、職場の人とは「あまり関わりたくない」と考える人は54.4%で過半数を占めます。
性年代別に見ると、男性40代は比較的交流を望む傾向がありますが、それ以外の性年代は全体値と同じような傾向です。マネジメントする側は、統率するために部下に対してコミットメントを求めるかもしれませんが、全体として見ると上の年代でも「あまり関わりたくない」人が半数程度という結果です。
Q.あなたにとって望ましい職場の人との距離感はどれですか。(単一回答)

※「分からない・答えられない」を選択した回答者を除く
Topic5.女性は男性よりも「残業の少なさ・休みのとりやすさ」や「人間関係」に満足。「人間関係」の満足度は男性50代が最も低い
所属する会社で満足していることを性年代別のグラフにしました。特徴的な傾向は次のとおりです。
・ 男女20代は「①給与・賞与・福利厚生」の満足度が相対的に低めだが、「⑩キャリアアップや成長ができる」環境に満足する傾向。女性20代は「③上司・同僚・部下の人間関係」の満足度も高い。
・ 男性30代の「②残業や休日出勤が少ない、休みがとりやすい」は男性の中では高めだが、その他には男性30~40代が他の性年代よりも際立って高い項目はない(低めの項目は「③上司・同僚・部下の人間関係」「④仕事内容が希望や興味に合う」「⑦職場の環境(立地など)」)。
・ 女性30代の「②残業や休日出勤が少ない、休みがとりやすい」が突出している。「①給与・賞与・福利厚生」「③上司・同僚・部下の人間関係」なども高い。女性40代もそれに準じる。
・ 男性50代は「③上司・同僚・部下の人間関係」の満足度が他の性年代に比べて最も低い。女性50代は「①給与・賞与・福利厚生」「⑩キャリアアップや成長できる」が相対的に低い。
Q.あなたは今の会社のどのようなところに満足していますか。当てはまるものを5つまで選んでください。(複数回答)

※全17項目のうち全体値の上位10項目を掲載、左から全体値が高い順、「分からない・答えられない」を選択した回答者を除く
Topic6.転職経験と転職意向 各年代では女性の方が高い
転職を経験した割合は上の年代ほど高く、男女ともに20代から40代まではその傾向が顕著です。反対に、今後の転職意向は若年層ほど高いです。「転職経験あり」と「転職意向あり」の割合は、各年代の中では、女性の方が男性よりも高い傾向があります。
Q.あなたはこれまでに転職したことはありますか。または、転職を考えたことがありますか。(単一回答)
Q.あなたはこの先、転職することを考えていますか。(単一回答)

※転職経験は「5回以上転職」から「1回転職」までの合計、転職意向は「1年未満に転職」から「10年以上先に転職」までの合計、それぞれ「その他」「分からない・答えられない」を選択した回答者を除く
Topic7.転職理由 女性では「上司に不満」が上位。30代では女性だけでなく男性でも「プライベートな理由」が上位に挙がる。男性40代の「負荷が集中」「評価に不満」が突出
転職理由を性年代別のグラフにし、上位項目を表にまとめました。人によっては20~30年前に転職していることもあるので、現職の勤務年数が10年未満の人に限定しています(最近10年以内の転職理由となる)。特徴的な傾向は次のとおりです。
・ 「①給与・賞与・福利厚生」「②会社の体質や企業風土」はほとんどの性年代で3位以内に挙がる。次いで「⑥評価や人事が不透明」や「⑩自分の評価に不満」が男性各年代と女性40~50代でランクイン。
・ 男性20代で「(自分の)成長が不十分」、男性30代以上で「④将来性に不安」が上位に挙がる(男性40~50代は「⑧方向性に疑問」も上位)。男性40代の「⑦負荷が集中」「⑩自分の評価に不満」が突出。
・ 女性は各年代で「③上司に不満」が上位に挙がる(40代では1位)。その他には「⑤残業や休日出勤の多さ・休みのとりづらさ」「⑨プライベートな理由」というワークライフバランス関連も挙がる。男性でも30代で「⑨プライベートな理由」、50代で「⑤残業や休日出勤の多さ・休みのとりづらさ」がランクインする。
Q.あなたが転職した理由として、最も重要だと思うものから順番に1~5まで順位を付けて選んでください。(5つまで回答)

※全28項目のうち全体値10位タイまでの11項目を掲載、左から全体値が高い順、最近10年以内に転職した人が対象、「分からない・答えられない」を選択した回答者を除く


※内容が類似の項目は同系色にしている。なお、以下の項目はグラフでは非表示。全文は以下のとおり。
「成長が不十分」 :「キャリアアップや成長が十分にはできなかった」
「仕事量多すぎ」 :「職場全体の仕事量が多すぎた」
「能力発揮」 :「仕事で能力を発揮して価値を生み出していることを実感できなかった」
Topic8.転職して「今の会社の方が良い」割合は20~30代が高い。50代は「仕事のやりがい」「人間関係」などが低く、総合評価も伸びず
転職者が前職と現在所属する会社について各種項目を比較し、「今の(会社の)方が良い」と回答した割合を性別、性年代別にグラフにしました(Topic7と同じく最近10年以内に転職した人が対象)。
性別に見ると、「⑧人間関係」について「今の方が良い」割合は女性の方が5.6%高いです。その他の項目には大きな差はありません。
性年代別の特徴的な傾向は次のとおりです。
・ 男性20代の「②残業時間・休日出勤・柔軟な働き方」、女性20代の「①給与や福利厚生」は、「今の方が良い」が5割前後と低いが、男女20代のその他の項目は比較的高い。
・ 男女30代は、転職先の〈勤務条件〉〈成長できる環境・仕事のやりがい〉を評価。女性30代はそれに加えて「⑧人間関係」「⑨会社の体質や企業風土」の評価も高い。
・ 男女40代では、〈成長できる環境・仕事のやりがい〉が若年層に比べて低い。女性40代はそれに加えて「⑨会社の体質や企業風土」の評価も低い。
・ 男女50代では、〈成長できる環境・仕事のやりがい〉のほか、「⑧人間関係」「⑨会社の体質や企業風土」の評価も低い。特に男性50代の「⑧人間関係」は30%台にとどまる。
・ 「⑩総合的な評価」について「今の(会社の)方が良い」と回答した割合は、男女50代が低く、40代以下と開きがある。
Q.前職と今の会社を比べると、それぞれの項目についてあなたはどちらが良いと思いますか。(各単一回答)



※「今の方が良い」「どちらかと言えば今の方が良い」の合計割合をグラフ化(その他の選択肢は、「どちらもあまり変わらない」「どちらかと言えば前職の方が良い」「前職の方が良い」「答えられない」)、最近10年に転職した人が対象
【スコラ・コンサルト解説】
~性別・年代別の分析結果を相互理解の入り口に~
従業員意識調査では、課長・課長代理クラスや30代の満足度が低いという結果がしばしば見られます。その背景を深掘りするために今回行なったのが、転職や働くことに関する意識の性年代別分析です。結果からは次の傾向が明らかになりました。
● 20代男女
不満があってもアンケートで(おそらく職場でも)積極的に表明するのではなく、自分のキャリアアップや希望条件に合う転職に意識が向かっているのではないかと推察されます。
● 30代以上の女性
プライベートな理由による余裕のなさや人事評価、職場や上司への不満を抱えていますが、転職の機会を柔軟に活かしつつ、休みのとりやすさや人間関係にはある程度満足しているようです。特に30代はプライベートを大事にし、収入のためと割り切って仕事をしながらも、職場で満足できるポイントを見いだしている様子がうかがえます。
● 30代男性
やる気が低下している背景は、一見わかりづらいですが、転職理由には「自分に仕事の負荷が集中」や「経営や将来性に不信・不安を感じた」「プライベートな理由」が挙がります。転職経験者に関しては、それらの不具合を解消する転職ができているのかもしれないことが転職前後の比較分析から読み取れます。
● 40代男性
仕事で成果を出すことを重視し、企業風土や職場の人との交流にも関心を払っていますが、人間関係には満足できておらず、仕事の負荷も集中しているなど、孤軍奮闘している印象があります。
● 50代男性
仕事の成果や職場での貢献を重視しつつも、人事評価が今以上に高まることはあまり期待できずに、そろそろワークライフバランスをとろうと考え始めているかもしれません。一方、50代男性全体においても転職経験者においても、人間関係の満足度が高くない点が気にかかります。
今回の分析では、性別2種×年代4種の8つのセグメントを分析しました。「男性はこういう傾向である」「若者にはこういう特徴がある」と分かったことをもとに男女各年代の活躍を促すことも分析結果の使い道の一つです。ただし、実際の人々にはもっと多くの属性情報があります。仮にもう一種類、男女のような2値のデータを掛け合わせると16セグメントに、さらにもう一種類加えると32セグメントに増えます。何回か繰り返すだけで100以上になるので、分析して対策をとることが難しくなります。
人は多様である、という複雑な現実に対応するためには、扱いやすい数に分解してマクロな傾向を把握しつつ、ミクロな現場では一人ひとりが個別に抱える背景にも目を向けていくことが大切です。この分析結果が、職場の人を型にはめて見るためではなく、違う事情もあるかもしれないと想像しながら相互理解を深めるための入口になることを期待しています。
【調査概要】
調査主体:株式会社スコラ・コンサルト
調査方法:調査会社のインターネットアンケートモニターによる回答
調査期間:2025年5月23日~2025年5月26日
有効回答数:2,106人
・性別・年齢内訳:右表のとおり
・役職内訳:一般社員・係長1,868人
管理職(課長・部長)238人

■株式会社スコラ・コンサルトの会社概要
※当社の社名「スコラ・コンサルト」は「スコラ・コンサルタント」と誤認されがちですので、表記にはご注意ください。
社 名 :株式会社スコラ・コンサルト
本 社 :東京都品川区東五反田5-25-19 東京デザインセンター6F
代 表 者 :代表取締役 簑原 麻穂
事 業 内 容 :プロセスデザインによる企業風土改革コンサルティング
人 員 数 :プロセスデザイナー34名、スタッフ11名(2025年3月現在)
設 立 :1986年1月
資 本 金 :4,000万円
決 算 期 :12月
ホームページ :https://www.scholar.co.jp/
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