音楽業界の変化についての調査データをまとめました!
音楽の流行を作り出すメディアが「マスメディア」から「ソーシャルメディア」へ
以前は音楽の流行をテレビをはじめとする「マスメディア」が作っており、音楽番組の数が現在より多く存在していました。多くのアーティストが音楽番組に出演し、それをきっかけにCDが売れていく時代でしたが、現在は音楽番組の数が減少しており、番組のスタイルもバラエティ要素が強くなっています。2006年~2022年のメディア接触時間の統計を見ると近年はパソコン、タブレット端末、携帯電話/スマートフォンの接触時間が増加しており、2022年にはテレビの視聴時間をパソコン、タブレット端末、携帯電話/スマートフォンが上回っています(表01)。この統計からも分かるようにマスメディアの中でも特にテレビの影響力が低下していると考えられます。一方で、スマートフォンの普及によりSNSが登場し、年々利用者が増えていきました(表02)。
SNSの普及は音楽活動のスタイルにも影響を与えました。今までは個人で活動をするにはハードルが高く、事務所や養成所にまず所属することが主流でしたが、インターネット・SNSの普及により、誰でも気軽に発信できるようになったのです。SNSの中でも特にTikTokは若年層のトレンドを作り出すきっかけとなっています。2017年のサービス開始から利用ユーザーが増加しており(表03)、TikTokをきっかけに楽曲がヒットしたり、デビューにつながるアーティストも増えています(表04)。
リアルの活動にプラスしてオンラインでの活動が増加、顔出しをしないアーティストも
音楽活動と言えば以前はリアルのイベントが中心でしたが、2020年以降オンライン上での活動も活発化しています。音楽ライブや演劇などのコンテンツ市場はCOVID-19の流行をきっかけに勢いを増し、今後も右肩上がりで伸びていくことが予想されています(表05)。
また、近年増加しているのが顔を出さずに活動をするアーティストです。2022年のビルボード年間ランキング100位以内の約1割がプロフィールや顔を出さずに活動しているアーティストでした。SNSの普及やオンライン上でのライブ活動が活発化したため、ネット中心での活動が増えており、顔を出さずに活動することが容易になり増加しています。
音楽の視聴スタイルが変化したことでヒットの概念も変化
音楽の視聴スタイルも近年変化が進んでいます。2000年代に音楽プレイヤー「iPod」が流行し、多くの楽曲を気軽にどこでも聴けるようになりました。CDの売り上げが1998年をピークに減少傾向にあり(表06)、楽曲の入手方法が「CDを購入」から「楽曲をダウンロード」に変化したのです。2015年以降、定額で聴き放題となるサブスクリプション型の音楽配信サービス(ストリーミング配信)が立ち上がり、音楽配信売り上げ金額の中でストリーミング配信が9割になっています(表07)。
また、ストリーミング配信が主流になってから、「ヒットの概念」も変化してきています。2008年と2022年のビルボード年間ランキングTOP5の楽曲を比較すると、2008年のヒット曲はその年に発売されたものでしたが、2022年のヒット曲は前年以前にリリースされたものが80%を占めています(表08)。このデータから分かるように、いつでもどんな曲でも気軽に聴けるようになったストリーミング配信の影響で、ヒットするタイミングとリリースタイミングがずれるようになりました。この変化は接触メディアの変化も影響していると考えられます。発売時にマスメディアを中心にプロモーションをかけてヒットにつなげていた時代との違いと言えるでしょう。
※表01. 1日あたりのメディア接触時間の推移
株式会社ビデオリサーチ、2021年実施
https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/report/20210524_29812.html
※表02. 日本におけるSNS利用者数
ICT総研「2015年度 SNS利用動向に関する調査」
https://ictr.co.jp/report/20150729000088-2.html/
※表03. 代表的なSNSのユーザー数推移
スタティスタ・ジャパン株式会社
https://www.statista.com/chart/28412/social-media-users-by-network-amo/
※表04. ビルボード年間ランキング50位以内でネットをきっかけにヒットしたアーティスト(一部抜粋)
Billboard JAPAN Year End2020~2022/Hot100
https://www.billboard-japan.com/charts/year_end/
※表05. デジタルライブエンターテインメント市場規模予測2020年ー2024年
株式会社CyberZ、株式会社OEN、株式会社デジタルインファクト
https://cyber-z.co.jp/news/research/2020/0730_9838.html
※表06. 過去10年間のオーディオレコード全体の生産実績2022年
一般社団法人 日本レコード協会
https://www.riaj.or.jp/f/data/annual/ar_all.html
※表07. 音楽配信売上金額の推移
一般社団法人 日本レコード協会「日本のレコード産業2023」
https://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2023.pdf(11ページ下部)
※表08. ビルボード年間ランキングTOP5のリリース日比較
Billboard JAPAN Year End2022・2008/Hot100
https://www.billboard-japan.com/charts/year_end/
株式会社アプラ 会社概要
ミッション :自己実現を、あらゆる人へ。
本社所在地 :東京都渋谷区神宮前6-17-11 JPR原宿ビル7F
代表者 :代表取締役 新妻 快介(にいつま よしゆき)
設立 :2017年
URL :https://apra.co.jp/
FACTBOOK:https://apra.co.jp/factbook/
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