漁網から新ユニフォーム。廃漁網由来生地が仙台うみの杜水族館の新ユニフォームに初採用
開館10周年を記念して、宮城県発スタートアップとのコラボレーション

廃漁網の回収・リサイクルに取り組む漁網アップサイクルベンチャー amu株式会社(以下、amu)は仙台うみの杜水族館に漁網由来の生地「amuca®」を提供しました。
2025年7月1日に仙台うみの杜水族館は開館10周年を迎えたことを記念して、開館以来初めてスタッフユニフォームをリニューアルしました。amuはユニフォームの素材として漁網由来の生地を提供しました。ユニフォームへの採用と宮城県内企業とのコラボは、amuとして今回が初めての事例になります。
漁網は海域に流出して海洋汚染の原因になったり、漁業者に処分費として経済的な負担を強いたりと、適切な処理において多くの課題があります。amuは全国の漁港から原料として買い取った廃漁網を分別・加工し、amuca®という素材に再生します。amuca®の販売を通じて、漁具の海洋流出を未然に防ぎ、漁業者の負担軽減に寄与します。
今回提供した生地は、宮城県で回収した漁網からできています。美しい海を守っていく思いと「海と人、水と人と ”融け合う” ユニフォーム」というコンセプトにマッチしたことからこの度のコラボレーションが生まれました。
海洋プラスチックゴミの6割が漁具。ゴミを資源にして海を守り漁師も救う
世界ではプラスチックごみが毎年約800万トン海洋に流出しており、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もあります。また、日本の海岸に漂着している海洋プラスチックごみのうち、漁業関連ごみが質量ベースで59.5%を占めています。(※)流出した漁具が海洋生物に絡まり命を落とす「ゴーストネット」も同時に引き起こします。
使用済みの漁具は塩分や汚れを含んでおり、素材ごとの分別が必要な場合も多く、容易に焼却処理やリサイクルができません。そのためほとんどの漁具は産業廃棄物として埋め立て処理されますが、埋め立てによる環境負荷が高いことも問題視されています。また、産廃処理にかかる高額な処分費用を漁業者が負担する必要があり、漁師に経済的な負担を強いているのが現状です。
amuは漁具の回収・リサイクル・販売の仕組みを一貫して構築することで、廃漁網から新たな価値を創造します。漁業者から廃漁網を買い取り、分別・加工の工程を経て、amuca®に再生します。amuca®の販売・製品開発を通じて、漁具の流出を未然に防ぎ、海洋保全や生物多様性保全、さらには漁業者の負担の軽減に貢献しています。
※環境省 海洋ごみをめぐる最近の動向
廃漁網由来素材「amuca®」生地が初採用。
開館10周年を記念した、新ユニフォームプロジェクト

今回のプロジェクトは、生きものたちと同じようにお客さまと接する機会の多いスタッフのユニフォームにも、水族館の想いを反映させた装いを整えるべく発足しました。「機能性・デザイン・使いやすさ」などに加えて、【海と人、水と人との、新しい「つながり」をうみだす水族館】というコンセプトを象徴するべく、仙台うみの杜水族館と密接なつながりを持つ気仙沼で廃漁網のアップサイクルを推進する私たちamuを中心として、地域とのつながりを生み出す共同プロジェクトが誕生しました。
「海と人、水と人とが ”融け合う” ユニフォーム」

新ユニフォームは、単なるデザイン変更ではなく、これまでの当館とお客さまとのつながりをベースに、水族館の顔である“生きもの”、その生きものの魅力をさまざまな角度からお客さまに伝えていくスタッフ、ご来館いただくお客さまとがこれまで以上に「つながり」を持てるようにとの想いが詰め込まれています。
【海と人、水と人との、新しい「つながり」をうみだす水族館】という仙台うみの杜水族館のコンセプトを象徴するものになっています。
飼育スタッフ、パフォーマンススタッフ、運営スタッフ、各セクションの水族館との関わりをさまざまなパターングラフィックで表現しました。柄は1セクションごとに幅広で制作し、切り取る位置で一つひとつ違いが生まれます。
amuca®タグで宮城の海と人をつなぐ

amuca®︎を使用した全ての商品には「amuca®︎タグ」というブランドタグが付与されます。タグに記載されたQRコードを読み取ることで、原材料となる廃棄漁具の回収地域や製品化までのプロセスをプロダクトのストーリーとして知ることができます。購入者が、これまで「ごみ」とされていた漁具が新たな価値を持つ資源へと生まれ変わるストーリーを知ることで、商品にさらなる愛着が湧き、より長く使いたくなるような新しい循環の形を目指します。今回のユニフォームのamuca®タグでは、原料の漁網が宮城県で回収されていることや、三陸の海でどのように使われていたか、また、ユニフォームの制作過程などをビジュアルで知っていただくことができます。
株式会社横浜八景島 取締役執行役員
仙台うみの杜水族館 館長 増渕修 コメント

amu株式会社さまの廃漁網由来生地を使った制服デザインは、まさに私たちが目指す「海と人、水と人との『つながり』をうみだす水族館」の象徴的なプロダクトができたと感謝しております。
その過程で、飼育・運営など当館の様々な部署で働くスタッフが実際に気仙沼へ行って、廃漁網の回収や素材の分解などの実作業を体験することで、これまで見過ごされてきていた廃漁具の新たな価値に気づいたり、地域の特性を活かしたアップサイクルやサスティナブルな活動への強い関心がうまれていきました。
サスティナブルや多様性を意識した「新ユニフォーム」で装いを整え、海の生きものたちの環境も整える。そして、開館10周年を迎え、さらに地域に愛される水族館を目指して参ります。
amu株式会社 代表取締役CEO 加藤広大 コメント

10年前、気仙沼から車を走らせ、開館したばかりの仙台うみの杜水族館を訪れ、大水槽を見た日のことを、今でも鮮明に覚えています。
あれから10年、その水族館に、私たちが開発したアップサイクル素材「amuca®」が採用されるという、まるで夢のような出来事が現実となりました。もし、10年前の自分に「いつかこの場所で、自分の手がけた素材が使われるようになるよ」と言っても、きっと信じられなかったと思います。
amuca®は、ただ「環境に良い素材」を目指しているわけではありません。私たちが大切にしているのは、地域の特性がその素材にしっかりと息づいていることです。今回ユニフォームの一部として採用された素材は、宮城県気仙沼市の廃漁網を原料とし、役目を終えた漁網に新たな命を吹き込んだものです。海とともに生きてきたこの地域だからこそ生まれた素材であり、その文脈ごと伝わるプロダクトであることを願っています。
このような形で、未来へとつなぐ一端を担えることに、心から誇りを感じています。そして、開館10周年おめでとうございます。
「海と人、水と人との、新しい『つながり』をうみだす」仙台うみの杜水族館
豊かな三陸の海を再現した大水槽をはじめとした日本のうみの展示や、世界の個性的な生きものたちの展示を通じて、うみの魅力をたっぷりとお楽しみいただけます。
仙台うみの杜水族館公式HP:https://www.uminomori.jp/umino/index.html
「廃漁網アップサイクルベンチャー」amu株式会社について
全国の漁港から回収した廃漁網をアップサイクルして価値ある製品を生み出す、宮城県気仙沼市発の廃漁網アップサイクルベンチャーです。「いらないものはない世界をつくる。」をビジョンに世の中のゴミ、無価値とされているものを再資源化して新たな価値を吹き込みます。
amu 会社概要
社名:amu株式会社
本社所在地:〒988-0017 宮城県気仙沼市南町2丁目2-25
代表取締役:加藤広大
出資元:ANRI株式会社/UBE株式会社/株式会社ANOBAKA
事業内容: 廃漁網の回収、プロダクト開発販売
設立: 2023年5月
ブランドサイト:https://amuca.world/
ブランドサイト(EN):https://amuca.world/en
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