【保育施設におけるDX実態調査】DXに取り組む施設の約7割がコロナ禍により加速、過半数が業務改善に繋がったと回答
〜DX導入への最大の障壁は「知識不足」、デジタル人材の雇用が鍵〜
本調査から、コロナ禍により保育施設のDXは特に保育活動そのものに活用できるツールの導入で進んでいること、また、DXの推進により業務改善が進んでいる実態が明らかとなりました。一方で、DXの進捗を阻むのは、組織内の知見不足であることも判明しました。多くの業界で求められているデジタル人材は、ソフト面が重視されてきた保育施設においても同様に求められ、デジタル領域に知見のある保育関係者の価値が今後上昇していくことが予想される結果となりました。
【調査実施の背景】
保育の受け皿の整備、地域の子育て支援の活用が進む一方で、保育士の人材不足は変わらず深刻な状況です。その理由の一つとして保育士の業務負担の多さが挙げられ、政府では保育所等におけるICT化推進等事業*1として補助金の制度を整えるなど、業務効率化のために保育におけるICTシステムの導入を支援しています。更に、令和3年度の同推進事業では新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的に補助の対象が広がっており、保育業界では、コロナ禍によってより一層のデジタル活用が求められています。
一方で、保育業界のDX推進にあたっては、システム導入への時間的・金銭的コストや知識不足など、様々な理由によって取り組みが進まず停滞しているケースもあることが想定されます。
そこで今回、当社では、コロナ禍での保育業界におけるDXの進捗やそこから見えるDX推進への課題を把握するために本調査を実施しました。
*1厚生労働省子ども家庭局保育課 令和3年度 保育関係予算概算要求の概要
「保育所等におけるICT化推進等事業」
https://www.mhlw.go.jp/content/000677014.pdf
【主な調査結果】
- 保育施設の約4割(39.8%)がDXに取り組んでおり、その内7割(70.5%)がコロナ禍の影響でDXが進んでいると回答
- DXが進んでいる分野(活用しているツール)は、「保育記録ツール(37.7%)」「園児の写真管理ツール(33.6%)」「保護者との連絡ツール(32.8%)」がトップに
- 約半数がDXによって「業務が改善された(51.7%)」と回答、特に改善されたこととして「子供の安全管理(25.4%)」がトップに
- 今後DXに取り組みたい(取り組んでほしい)分野トップには「保育記録業務(32.9%)」「園児の見守り・管理業務(30.3%)」、立場によって課題も異なる傾向
- DXの課題トップは「知識・ノウハウが無い(41.7%)」と、当社実施の介護事業所のDX調査と同様の結果
【調査結果詳細】
1)回答者が勤務する保育施設では、約4割(39.8%)がDXに取り組んでおり、その内7割(70.5%)が コロナ禍の影響でDXが進んでいると回答。
取組みが進んでいる施設が4割に上る一方で、取り組んでいない施設も3割近くあり、取組み状況に格差が現れています。また、取り組みのある施設では、コロナ禍がさらにその推進状況に影響を与えていることがわかりました。
2)DXが進んでいる分野(活用しているツール)は、「保育記録ツール(37.7%)」「園児の写真管理ツール(33.6%)」「保護者との連絡ツール(32.8%)」がトップに。
現場の保育者が活用するツールが上位となり、保育の質の向上や効率的な業務に向けたDXが特に進んでいることがわかります。
3)DXに取り組んでいる職場に勤務する約半数が、DXによって「業務が改善された」と回答。特に改善されたこととして「子供の安全管理」がトップに。
DXにより改善されたこととして「残業時間が軽減された」、「これまで着手できなかった業務や保育に取り組めるようになった」も上位。DXは、保育士の離職理由の上位*2である「仕事量の多さ」や「労働時間の長さ」などの課題解決、また保育の質の向上に寄与していると考えられます。
4)今後DXに取り組みたい(取り組んでほしい)分野トップには「保育記録業務」「園児の見守り・管理業務」。施設内の立場によって、取り組みたい分野も異なる傾向。
保育施設では、現場の保育者の業務をサポートする分野でのDX推進が最も望まれていることがわかりました。また、施設内の立場によっても取り組みたい内容には差異があり、施設長などの立場では人事業務への関心、また、事務職を担う立場では、経理業務などの分野でのDX推進が望まれています。
5)DXの課題トップは「知識・ノウハウが無い(41.7%)」
DXを進める上での課題は「知識・ノウハウが無い」が課題のトップにあがり、続いて「予算がない」「費用対効果が低い・分かりにくい」が上位と、5月に行った介護事業所におけるDX実態調査*3と、上位3位が同様の結果となりました。
課題を取り組み状況別に分類すると、DXの取り組みのある施設では取り組みのない施設と比較すると、各課題をより強く感じている傾向があり、反対に、取り組みのない施設では約半数が課題を感じてないことがわかりました。
本調査では、保育施設におけるDXは、日々の保育業務をサポートする分野が先行して進んでいることがわかった一方で、取り組みが行われていない、もしくは取り組み状況がわからないと答えた保育関係者も6割近くおり、進捗状況には格差があることが判明しました。
また、DXの推進における課題は、知識やノウハウ不足を挙げる回答者が4割にも達しています。近年、多くの業界においてデジタル人材の需要が高まっています。保育業界でも、ICT導入などデジタル活用が求められており、これまでソフト面が重視されてきた同業界でもDXに関する知識を持つ人材の価値が高まっていくことが予測されます。本調査から明らかになったDX推進によって業務改善が進んでいる実態を鑑みると、今後保育施設でのデジタル人材の雇用やDXの推進が、豊かな保育環境の整備、保育の質の向上、保育士の働きやすさという保育業界の抱える課題解決に寄与するものと考えられます。
*2 「東京都保育士実態調査」(2019年5月公表)東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shikaku/30hoikushichousa.html
*3介護事業所におけるDX実態調査(トライトグループ、2021年3年5月27日)
https://tryt-group.co.jp/archives/1715/
【調査結果概要】
調査方法:インターネット調査
調査母集団:調査会社のリサーチモニター
調査対象:10代から60代以上の保育従事者男女307名
調査期間:2021年7月30日〜8月3日
- 執行役員 営業本部 第三事業部長(保育事業部):若林 利晃 コメント
保育施設におけるDXは保育士の業務負担の軽減や人件費の削減につながり、保育施設の運営において、効率化や質の向上などの良い効果をもたらすと感じています。その上で今回保育施設におけるDX実態調査の結果をみて浮き上がる課題は、DXは施設運営の向上に良い効果をもたらすものでありながら、一方で『どのように進めたらよいかの知見がない』という保育施設が多いということでした。弊社は保育士の転職支援をするだけでなくその先の人材定着や保育業界全体の発展に向けた課題解決を担うことが、保育士転職支援のリーディングカンパニーとしての責務だと感じています。今後は転職支援をしていくとともに、保育施設のDX推進も含めた様々な課題解決への橋渡しとなる活動を実施していきたいと考えております。
【トライトグループ概要】
トライトグループは、株式会社トライト、株式会社トライトキャリア、株式会社トライトエンジニアリングからなる人材紹介・派遣サービスグループです。「ひとりの明日を変えることから、社会の未来を変えていく。」という新たなビジョンのもと、主軸サービスである人材紹介・派遣業に加え人材育成・キャリア支援を強化し、医療・介護・保育業界を取り巻く慢性的な人材不足に関わるすべての社会課題の解決へ寄与することを目指しています。
本社所在地:大阪府大阪市北区曽根崎2-12-7 清和梅田ビル13 階
東京本部:東京都千代田区有楽町2-7-1 イトシアオフィスタワー16 階
代表取締役CEO:笹井英孝
社員数:2,934名(臨時雇用者を除く) ※2020年12月時点
【各社概要】
和文社名:株式会社トライト
英文社名:TRYT Inc.
事業内容:人材紹介・派遣サービス等の事業を行うグループ会社の競争力強化に向けた各種環境の整備と支援、経営計画・管理ならびにそれに付帯する業務
https://tryt-group.co.jp/
和文社名:株式会社トライトキャリア
英文社名:TRYT Career Inc.
事業内容:医療・福祉業界への人材紹介・派遣サービス等
https://tryt-career.co.jp/
和文社名:株式会社トライトエンジニアリング
英文社名:TRYT Engineering Inc.
事業内容:建設業界への人材紹介・派遣サービス等
https://tryt-eng.co.jp/
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